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星野陽子の金持ち母さん投資術

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コワーキングスペースについて解説

目次

大家の間で注目を集めている、シェアオフィスやコワーキングスペースとしての物件の活用。賃貸住宅をスペースレンタルするというビジネスとは、どのような取り組みなのでしょうか。実際にシェアオフィスやコワーキングスペースを訪れ、感じた魅力をご紹介します。

賃貸住宅をスペースレンタルというビジネスに

入居者さんがいないと投資が成り立たない私たち大家の中には、単に住居を提供し入居者さんを募集するだけでなく、部屋を別の使い方で使おうと考えている大家が増えています。

たとえば、物件をシェアオフィスやコワーキングスペースとして、使用したり貸したりするといったことです。東京都心のオフィスでは空室率がバブル期以来の低水準となっていますし、副業をする人やフリーランサーは今後も増加すると思われるので、需要がありそうです。

スペースレンタルでの私の失敗

ただ、スペースレンタルは普通の住居賃貸とは異なるビジネスであるため、集客や運営に苦労されている方々もいらっしゃるようです。

私自身もずっと前に、所有物件の中の一部屋を会議室のようにしてレンタルスペースとして貸そうとしたことがあります。当時はレンタルスペースの予約ができるプラットフォームがなく、夜中に近所の家に数百枚のビラをポストインしたのですが、予約がひとつも入らず……。まもなく止めてしまったという苦い経験があります。

事前調査もせず、借りてくれる会社や個人がたくさんいるだろうと安易に思いこんでしまったのです。また、後から思えば数百枚のビラでは集客には不十分でした。

最近はWebのプラットフォームがいくつもあり、スペースを貸すことが容易になっています。そして「普通に住居として貸すよりも儲かる」という話が広まり、大家さんだけでなく部屋を借りてレンタルスペースを運営する人たちも現れ、都心の駅に近い場所でも競争が激しくなってきました。差別化のためか、ヒーリングやネイルサロンとして使う女性に向けた内装など、特色のあるスペースが次々と登場しています。

コワーキングスペースの成功へのヒントをWeWorkから学ぶ

「つながる」ためのコワーキングスペースとして、米国のWeWork(ウィーワーク)が今注目されています。「コワーキング」の定義が日本ではまだ曖昧ですが、私の手元にある英英辞典によると、

The use of an office or other working environment by people who are self-employed or working for different employers, typically so as to share equipment, ideas, and knowledge
(自営業者、または複数の異なる雇い主のもとで働く人が、オフィスやその他働く環境を、一般的には設備やアイデア、知識などを共有するために使うこと)

と、あります。
つまり、オフィススペースにあるデスクを使うだけでなく、アイデアや知識などをシェアすることが特色になっています。

WeWorkのコンセプトは単なるスペース貸しではありません。私はWeWorkで専用デスクを借りているのですが、最初に渡された小冊子には「WeWorkコミュニティへようこそ」と書かれてありました。
また「Do what you love(大好きなことをしよう)」とコーヒーカップなどに書かれていますが、WeWorkはそれをサポートするべく、メンバーが成功するために必要なコミュニティ・スペース・サービスを提供してくれるのです。

WeWorkのミッションは、
「ただ生きるためではなく、人生を満たすために働く。そんな世界をつくり出すこと」
だそうです。

楽しい雰囲気のラウンジ、他の働いている人たちが見える透明な仕切り、コーヒーやビールを飲む人、ゲームやドローンを操作している人など、周りの景色を目にすると、「自分の大好きなことをしたい」という気持ちになる仕掛けのようなものがある気がします。

実は今回、このコラムを書くための取材で、オフィスを見学させてもらったのですが、ワクワクしたため私も専用デスクを借りてしまいました! ミイラ取りがミイラになるみたいな話でしょうか。

WeWorkのアプリに登録するときにプロフィール(スキル)や自己紹介や連絡先(ウェブサイト、Twitter, Instagram, Facebookなど)を書くことができるので、自分のビジネスを成長させるために他のメンバーに連絡したり、人材を見つけたり、顧客を獲得したりすることができます。

WeWorkに入居してまもなく「ウェルカムランチ」に招待されました。広いラウンジの一角でピザ(会社の方針でミートフリー)やチップスが出されていました。その月に入った人たちをスタッフが紹介してくれたり、自己紹介をしたりしました。私は「翻訳者を探している」という人たちに声をかけられました。また、私は不動産売買をしている人に声をかけました。

また、別の日にはビジネスピッチナイトというイベントがありました。1社3分でプレゼンができるというもので、たくさんの人たちが参加していました。参加者は20代~40代の男性が圧倒的に多いように見えました。

成功しているスタートアップ企業は華々しいので、そちらに目を奪われがちですが、実際に成功する企業は本当に少なく、10社のうち9社が失敗するという米国人が書いた記事を読んだことがあります。まだ事業が安定しないスタートアップ企業は、オフィスを構えるよりも、デスク一つから借りられるコワーキングスペースで仕事をする方が拡大も縮小(撤退)もしやすいでしょう。

また、足りない部分が出てきたら、他の利用者との協業で補うことができるかもしれません。借りている人たちの中には大手企業の社員もいますが、彼らは新しい風を自社内に吹かせる目的で会社から送られてきているようです。

WeWorkではベースとなるロケーションを決めるのですが(私の場合は池袋が拠点です)、世界中の他のロケーションでのイベントに参加できるとか! 一度、私も海外でのイベントに参加してみたいです。そういえば、日本在住の日本人の知人は、マレーシアのWeWorkを拠点として、マレーシア価格で「ノリで」メンバーになったそうです。

WeWorkのこれまでの成功の要因は、先に述べたような新しい出会いが生まれる仕組みがある点、ある程度稼げている感度の高いメンバーたちに出会えるコミュニティ作りに成功している点ではないかと思います。WeWorkは世界中に拠点を増やしていますが、日本でもソフトバンクグループが1兆円近く投資しており、急増しています。

そして部屋は町へ開かれる

部屋(空間)の新しい使い方のひとつとして、人とつながりのため、まちづくりのため、地域活性化のため、部屋を町に開く大家さんたちが、シェアオフィスやコワーキングスペースなどを作る動きがあります。

愛知県一宮市にある「ハウスカパイッカ」は、尾州を知る場、尾州を発信する場、外とつながる場所として、尾州を楽しくする人たちが集まるシェアオフィス・シェアアトリエです。繊維産業が盛んだった一宮市で、ヒツジを飼っているのが特色で、羊毛作家さんがワークショップを開いたりしています。

尾州には多くの魅力、木曽川、真清田神社、毛織物、七夕祭りなどがあるので、尾州をもっと楽しくする場所を作ろうという思いがあるそうです。地域の子どもたちがヒツジを見に遊びに来ていました。

「職住近接」に向けて規制緩和

こういった取り組みは政府の規制緩和とともに拡大しそうです。

2019年1月12日の日経新聞によれば、政府は「職住近接」の実現へ向けて規制を緩和することになっています。今まで住居専用地域では、物件は商業施設としての使用が認められていなかったのですが、地域再生法の改正により用途規制が緩められ、住居専用地域内の空き家や廃校となった校舎などをシェアオフィスやサテライトオフィスに活用できるようになります。

たとえば郊外の団地などの住宅地にシェアオフィスや商業施設を設けることにより、高齢化している団地に若年層を呼び込み、空き家問題を解決したり、働く人の通勤時間を減少させたりすることが政府の狙いです。「家から近いところで自分の都合のいい時間に短時間働く」など柔軟な働き方ができると、女性や高齢者も働きやすくなりますね。

不動産投資家はその規制緩和をチャンスとして捉えることができるかもしれません。そういったエリアに物件を持っているのであれば、入居者付けが容易になりそうです。
またそういうエリアに物件を買ったり借りたりして、シェアオフィスを運営することも考えられます。私も世の中が良くなるように大家として考えていきたいと思います。

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著者紹介

星野 陽子
星野 陽子

不動産投資家。著者。特許翻訳者。
東京都出身。外資系メーカー、シティバンク勤務を経て、イスラエル国籍のユダヤ人と結婚。子ども二人に恵まれるも離婚。フリーランスとして在宅で翻訳の仕事をしながら、シングルマザーとして子ども達を育てた。東欧からの移民の子で、14歳から働き、資産ゼロから財産を築いたユダヤ人の義父からは不動産投資を学び、投資物件(6億円)などの資産を築いた。著書に『ユダヤ人と結婚して20年後にわかった金銀銅の法則50』『ユダヤ人大富豪に学ぶ お金持ちの習慣』『貧困OLから資産6億をつかんだ金持ち母さんの方法』がある。オンラインサロン「マネサロ」主宰。 オフィシャルブログも定期更新中。

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