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星野陽子の金持ち母さん投資術

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不動産投資の代表的なリスクとその対策方法

目次

不動産投資には様々なリスクがあります。しかしながら、リスクは対策を講じることができれば軽減することができるので、むやみに恐れるものではありません。自分が取れるリスクかどうか考えてみるといいかと思います。投資に慣れていない人は「こわい」という一言で検討することすらしませんが、リスクを取ることにより、高いリターンを得られる場合が多々あるからです。今回は思いつく限りのリスクを列挙して、その対策についても、私が考えて実行している範囲でご紹介したいと思います。

大家本人の知識不足によるリスク

・業者に騙される

【原因】不動産を買う人の知識が不足していることが最大の原因です。不動産の売買が成約したらお金になるので、どんな手を使ってでも買わせたいという不動産会社の人たちがいることを知っておく必要があります。また、リフォーム業者などでもあくどい人たちがいます。
【トラブル】新築ワンルームなどで、投資として失敗の儲からない物件を買ってしまい、キャッシュフローどころか持ち出しになってしまうことがあります。売ろうと思っても売値がローン残高を下回るため売ることができません。また、リフォーム業者のなかには、高額なリフォームを言葉巧みに勧めてくる業者もあり、相場よりずっと高い料金でリフォームをしてしまい、キャッシュフローに悪影響が出ることもよく耳にします。
【対策・予防】
不動産投資の勉強をするのが最も効果的な対策です。知識があれば、相手が騙そうとしているかどうかを見抜けるようになります。業者の話ばかりでなく、実際に投資している人たちの話を聞きましょう。運用してみないと分からないリスクは意外と多いものです。物件を所有してからは、地元の大家の会などに入り、情報交換をするようにしましょう。その地域ならではのリスクにいち早く気づいて対処できるようになります。そして、きちんと戦略を持ってから不動産投資をするようにしましょう。なんとなくで始めることが、失敗する可能性が最も高くなる行為なのです。

・一棟目に銀行の評価が低い物件を買ってしまう

【原因】「騙されるリスク」の原因と同じ。不動産投資の知識がないために戦略性のない投資をしてしまいます。
【トラブル】不動産投資は、銀行の融資をいかに引き出して物件を増やしていくかが、成功の秘けつと言えます。そのためどんどんと物件を買い足していきたいところですが、一棟目の物件として銀行の評価が低い築古の木造アパートなどを買ってしまうと、融資が引けずに二棟目が買えない状態になってしまいます。これは、不動産投資としては失敗の物件を買ってしまったと言えます。
【対策・予防】「騙されるリスク」の対策・予防と同じく、不動産投資の勉強をして、戦略を持ってから購入するようにしましょう。

自然災害によるリスク

・自然災害(風災、落雷、水災など)による被害

【原因】自然現象です。近年の局所的豪雨や記録的な長雨などで、被害に遭う確率が上がっていると感じます。
【トラブル】水災としては、川の氾濫などによる床上浸水や床下浸水などの水害、大雨や長雨で引き起こされる土砂災害や雨漏りなどがあります。また、台風の時に物が飛んできて建物が破損する風災、雹による建物の破損、落雷時の過電流で家電の故障などが、想定しておくべき主な自然災害の被害です。
【対策・予防】物件購入時にハザードマップで災害リスクを確認しましょう。また、格付けの高い損害保険会社で火災保険に加入するようにしましょう。避難についてあらかじめ考えておくなど、ソフト面でも備えるようにしておくことも大切です。

・自然災害(地震)による被害

【原因】自然現象です。日本は地震が多く、大きな地震は滅多にないものの油断できません。
【トラブル】建物(「旧耐震」の建物)や設備や土地が被害を受けます。また、二次災害として火災の発生もよくあります。家財道具の倒壊などで入居者が被害を受けることもリスクの1つです。入居者が被災して家賃を払えず、家賃収入がなくなってしまうこともあります。
【対策・予防】私はリスクを軽減するために地震保険に入っておいた方がいいと思います(火災保険に入っていないと地震保険には入れません)。「旧耐震」(1981年の「新耐震基準」以前)の建物は、必ず耐震補強もしておきましょう。万が一、地震で耐震基準を満たしていない建物が倒壊し入居者が死傷した場合、オーナーは責任を問われ、損害賠償の支払いをしなくてはなりません。もちろん、それ以前に入居者の命を守れるオーナーでありたいので、可能な限りリスク軽減のための措置を取りたいところです。
購入前にハザードマップや活断層マップで物件の場所を確認して、リスクの高さを認識しておきましょう。しかし、ハザードマップ通りに災害が起きるわけではありませんので、複数の物件をお持ちになる場合、違うエリアに持ってリスクの分散を図るという方法もあります。

建物老朽化などによる事故リスク

・火災による被害

【原因】入居者の失火が多いですが、エアコン室外機など電気器具の故障によって出火する場合もあります。もちろん、放火の可能性も忘れてはいけません。
【トラブル】物件が一時または長期使えなくなります。被害がひどければ物件を失ってしまい、建て直しをする必要に迫られます。
【対策・予防】オーナーはもちろん火災保険に加入し、入居者にも義務として加入してもらいます。消防設備点検は定期的にしましょう。廊下やベランダはいざという時に避難通路になるため、物を置かないよう周知しておきます。また物が置いてあると放火をされる可能性も高まるので、外にも物を置かないように入居者に伝えましょう。

・建物の老朽化や土壌汚染など

【原因】建物の経年劣化や、放漫経営による陳腐化で建物の魅力が低下します。また、築古物件の場合、アスベストの使用や土壌汚染があるリスクも考えられます。
【トラブル】老朽化がひどいと、屋上防水や配管取替など大きな修繕が必要になります。陳腐化した建物は、なかなか入居者が決まらなくなります。また、もしアスベストや土壌汚染があったら、その除去などの対策には、時間や費用がかなりかかってしまいます。
【対策・予防】アスベストや土壌汚染は購入前に必ず調査を依頼しましょう。物件を取得してすぐに大きな修繕が必要になることもあるので、中古物件を購入する際はあらかじめ修繕費を用意しておくことをおすすめします。物件を購入してからは毎月の家賃から修繕費を積み立てておきましょう。日頃からメンテナンスを怠らないことが大事です(きちんと手を入れると建物は長持ちします)。陳腐化した建物は、入居者の望む新しい魅力的な設備を設置するなどセンスの良いリフォームをする必要があるでしょう。

・建物による事故

【原因】外壁や看板の落下によって、入居者や通行人が怪我をしてしまうことがあります。またエレベーターが誤作動を起こしてしまうことがあります。
【トラブル】怪我人が出たら賠償をする必要があります。エレベーターが動かなくなると高層階の入居者が困り、クレームが発生します。修理にも高額な費用がかかることがあります。
【対策・予防】建物による事故は、新築だからと油断せず、起こるときは起こるものと考えたほうがいいでしょう。その時に備えて、賠償責任保険に入っておきましょう。また、建物やエレベーターの定期メンテナンスをして、突然のトラブルの防止を心がけましょう。

出口戦略に悪影響を与えるリスク

・物件の値下がり

【原因】人口減少傾向のエリアの土地の値下がりや、建物老朽化によって、不動産の価格が値下がりしてしまいます。
【トラブル】売却時に、不動産の購入価格が想定より下がってしまい、実質の累計家賃収入と売却代金がローン残高を下回ってしまうと投資をした意味がなくなってしまいます。
【対策・予防】ロケーションの良い場所の物件を購入しましょう。将来の街の人口予測や開発計画を調べ、値下がりの可能性の少ない場所を選ぶようにしましょう。また、資産価値を下げないよう管理を怠らないことです。家賃を下げない工夫(リフォーム、追加設備など)をして利回りを下げないようにしましょう。

・不動産は流動性が低いのですぐに売却できない

【原因】不動産は他の金融商品に比べて価格が高く、特に融資を使う場合には手続きに時間を要するので、売買には時間がかかることが多いというデメリットがあります。
【トラブル】株とは違い、不動産を売ろうと思ってもすぐには売れないので、すぐに現金が欲しい場合は、価格を相場よりも低くする必要がある。
【対策・予防】安定経営を心がけて、売り急ぎの状況を避けるようにしましょう。

・積算評価額が低くて売却できない

【原因】積算評価額が低い物件に、自己資金をたくさん入れて購入してしまった。
【トラブル】売却時に、購入する人も同じように自己資金をたくさん投入しなくてはならなくなるので、買い手がなかなか現れないという状態に陥ります。
【対策・予防】融資が出やすい(積算評価額が高い)物件を買うようにしましょう。

社会現象や政治・経済の変動によるリスク

・空室が埋まらない

【原因】人口は減っているのに、投資用不動産物件の過剰建設などが起きている地域は空室が増えるでしょう。もしくは、物件に魅力がない、物件の管理が悪い、入居付けの努力をしていない、などの理由で空室率が高まる場合もあります。
【トラブル】部屋が埋まらなければ、当然家賃が入りませんし、良い投資になりません。
【対策・予防】東京都内など人口の減りにくいエリアを選ぶようにしましょう。また、多くの人に好まれる良い物件を購入することです。リフォームを適宜することで、建物の価値をキープする、または向上させることができます。モニターホンをつける、宅配ボックスを設置するなど、入居者に快く住んでもらえる追加投資をすることも効果的です。共用部をきれいにするなど、管理を良くしておくことも大事です。また、リーシング活動も積極的に行いましょう。

・金利上昇による利息の増額

【原因】日本政府はインフレターゲットを設けており、政策的な理由で金利が上昇する可能性があります。
【トラブル】融資を使って不動産投資をしている場合、毎月支払い利息を払って返済をしていますが、金利が上がると返済額も増えてしまうことになります。
【対策・予防】利回りを計算する際に、金利上昇想定4%程度までのシミュレーションをしておいて、返済に困らないことを確認しましょう。状況によっては固定金利を選択することもあります。銀行に対して、不動産賃貸業の経営を評価してもらい金利を引き下げる交渉をするという方法もあります。実績を積み重ねて、低い金利で借りられる投資家になるようにしましょう。

・税制改正による経費増額など

【原因】税制は国の財政状況などに合わせて毎年改正され、場合によっては不動産経営に不利な変化が起きます。
【トラブル】税制の改正により、収支が悪化してしまうことがあります。たとえば消費税が上がることにより取得時のコストが増える、などです。
【対策・予防】情報収集をし、予測できるものについては、手を打つようにしましょう。税理士と税務顧問契約を締結し、一緒に対策を考えると最善の対応ができるようになります。

・法改正による建築基準の変化など

【原因】法律の改正は常に起きています。
【トラブル】法律の改正により建築の基準が変わり、たとえば不動産の価格が下がるようなことにつながります。
【対策・予防】情報収集を怠らないことが大切です。法改正は公布から施行までに期間があるので、アクションが必要な場合はす早く動くようにしましょう。

入居者によるリスク

・家賃滞納・夜逃げ

【原因】家賃を滞納したり、滞納した挙句に夜逃げしたりする入居者がいます。
【トラブル】家賃が入らないことになります。しかも、滞納されたときの経理処理は「未収金」(売上)となり課税されるので要注意です。
【対策・予防】最大の対策は、入居時の審査を厳しくすることです。また、信用できる連帯保証人を立てるか家賃保証会社を使ってリスクを減らしましょう。

・入居者によるトラブル

【原因】規約違反を行うような入居者がいます。
【トラブル】不良入居者が他の入居者の迷惑になる行為をしたりしてトラブルになります。また、入居者の自殺や殺人、孤独死なども大きなトラブルです。
【対策・予防】やはり、入居時の審査を厳格にしましょう。ただ、確率からすると低いですし、万が一そういうことが起こっても、家賃を下げれば入居する人たちもいるので、それほど心配しなくてもよいかもしれません。心配であれば自殺や孤独死発生時の損失を補償する保険に入るようにしましょう。

以上、思いつく限り書き連ねましたが、書ききれていないリスクがまだまだあります。私が最初のマンション一棟を購入したときには、メンターやアドバイザーや不動産投資家の友人や知人にリスクを聞いて、それでも想定できていないリスクがあるかと思い、不安でたまりませんでした。銀行の融資担当者と二人で話をしていたときに、「想定できていないリスクがある気がするんですよね……。あ、たとえば、ゴジラが現れて物件を踏みつぶしてしまったら、どうなるんでしょうか」と真剣に聞いたところ、「星野さん。その時は私たちも督促に行けないと思います」と真顔で答えてくださいました。呆れていたのでしょうが(笑)、もう一歩進んで考えていればよかったかと思います。ゴジラは核の落とし子として描かれていたという説がありますが、核から原発に発想がいかなかったのは残念です。原発リスクは想定していませんでした。

リスクを想定しておけば、いざという時の対処に困らなくなります。ぜひ皆さんも他のリスクがないか考えてみてください。

著者紹介

星野 陽子
星野 陽子

不動産投資家。著者。特許翻訳者。
東京都出身。外資系メーカー、シティバンク勤務を経て、イスラエル国籍のユダヤ人と結婚。子ども二人に恵まれるも離婚。在宅で翻訳の仕事をフリーランスとしてしながら、シングルマザーとして子ども達を育てた。東欧からの移民の子で、14歳から働き、資産ゼロから財産を築いたユダヤ人の義父からは不動産投資を学び、投資物件(6億円)などの資産を築いた。著書に『ユダヤ人と結婚して20年後にわかった金銀銅の法則50』『ユダヤ人大富豪に学ぶ お金持ちの習慣』『貧困OLから資産6億をつかんだ金持ち母さんの方法』がある。オンラインサロン「マネサロ」主宰。 オフィシャルブログも定期更新中。

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