星野陽子の金持ち母さん投資術
3,285 view
2018年12月17日(月)
海外不動産投資の成功と失敗
海外不動産投資については、私もとても興味があり、海外旅行では必ず現地の不動産を見るほどです。そこで海外の不動産に投資している人たちの話を聞いたり、セミナーや販売会社の説明を聞いたりしています。しかし、周りで成功している人をあまり知りません。聞くのは失敗の話ばかり……。どうして海外不動産投資で失敗してしまうのでしょうか。そして成功している人たちはどんなことをして成功しているのでしょうか。アメリカのデトロイトなどの戸建、マレーシアやフィリピンのプレビルドなど、流行りの不動産投資というものが過去にいくつかありました。主に、私が実際に現地に行って検討した、アメリカとフィリピンの不動産について書いてみたいと思います。
海外不動産投資のメリットとリスク
どの国に投資するにしても、為替やカントリーリスクについて考えなくてはなりません。海外の不動産に投資する人は、日本のカントリーリスクが高いと感じて海外に目を向けているのかもしれませんね。
人口が増えていたり、経済成長が高かったりする国などでは、不動産価格が上がってキャピタルゲインを得られる可能性もあります。為替も差益が出たら円での資産が増えます。
アメリカでは、エスクローという第三者が入るシステムがあるので安心して取引ができ、物件のデータがわかりやすくまとめられており、日本と違って住宅総量管理をしているので住宅が供給過剰になりにくいので、空室リスクが低いです。
また、土地と建物割合については、日本と比べて建物の割合が高いので、減価償却が大きく取れます。加えて、購入ごとに耐用年数が27.5年と設定されるため、日本の木造物件の耐用年数22年を超える木造物件を購入した場合、4年で減価償却が可能なので節税できます。
アジアの新興国では、少子高齢化が進む日本と比べて、人口が増えていることや、若い人たちの割合が多いこと、そしてインフラが整っている(整いつつある)面や、高い経済成長が見込めるなどということが魅力に感じられます。
しかしながら、海外不動産に対する融資が容易ではありません。海外の金融機関で融資を受けられるにしても3割程度資金が必要だったり、金利が高かったりします。
そして海外不動産の価値を日本の金融機関がカウントしない場合が多いので、日本で融資を使って資産をこれから増やそうという人には不利になります。
また工期が遅れたり、工事がずさんだったり、メールの返信が遅かったり、日本では考えられないような、いい加減なことが起こったりします。日本を基準に考えていると、ストレスを抱えることになります。
失敗と成功を分けるもの
「それを言っちゃおしまいよ」ということなのですが、海外不動産投資で失敗している人は、他の投資でも失敗しているように思います。
人を疑わない、ある意味「良い人」であるがゆえに騙されてしまったりするので、損をした話を聞くと、私は同情してしまいます。
「自分は失敗してみないとわからない人間だ」と口に出してしまったり、失敗によって同情とか注目を得られることを心の奥底で嬉しく思ったりしている人(自分で気がついていないかもしれません)は、失敗をしてしまうかもしれません。
失敗を避けたいのであれば、そういう心理にも気をつかうとよいかと思います。
失敗は自分自身もしたくないですし、他の人にもしてほしくないので、ここでは厳し目に書くつもりです。もし気に障るようなことがあったらお許しください。主に、次のようなことが成否を分けるかと思います。
知識量の多寡
以前、イスラエル人(ユダヤ人)の友人たちが東京の不動産に一緒に投資をして欲しいというので、木造のアパートを検討したことがあります。
私も入れて3人で現金で購入という計画でしたが、なぜ私を入れたかというと、現地(東京)で何かあったときには、私が解決すると彼らは考えていたと思います。
また、私にも投資させるのは、私自身もお金を出していれば、主体的に動いて良い物件を選ぶし、トラブルがあれば対処しようとするからです。彼らはさまざまなことを想定して何日にもわたって質問をしてきたので、本当にうんざりしたのですが、彼らの視点が学べて勉強になりました。
結局、その物件は売れてしまって買えなかったものの、彼らと一緒に投資することはあまりに大変なのでやめました。しかしながら、それぐらい、たくさん考えた方がいいと思います。
依存の度合い
日本で海外不動産の説明をして現地に連れて行き、販売代理店のようなことを行っていた人が、不動産を売った後に海外へ移住(逃亡?)してしまい、英語ができない投資家が困ってしまっていたことがありました。もちろん、その不動産を勧めた人はずっとフォローをする契約などしていませんから、文句を言うことができません。
海外で日本人が日本人に騙されている、とよく聞きます。言葉や慣習のわからない国で、日本人がいると安心だと思い、頼ってしまうのでしょうか。
詐欺師と言っていいぐらいの人たちだけでなく、よく知っているから安心だと思って任せた人ですら、何かがあるたびに高い手数料を請求してきたりすることもあります。かといって、他の人を探すこともできず、言いなりになるしかないので、足元を見られているのかもしれません。
人に頼るのは危険です。また販売代理店や販売会社などに任せればいいと思っていると、その会社が倒産することもあります。
日本でも「うまいことを言って不動産を買わそうとしているのでは?」と疑うことが多いのですが、海外では目が届きにくいですし、簡単に行くこともできないので、さらに慎重になった方がいいかと思います。
先ほど例に挙げたイスラエル人のように、逃げられない人をチームに入れるなど、工夫がするといいかもしれません。
想定の程度
プレビルド(建設前、または建設中)の物件のセールスをされたことがあります。
すでに投資をして失敗している人たちを知っていたので、私は初めから疑っていましたが、突っ込みどころ満載でした。
最悪のトラブルを想定して、それを現地で自分が解決できるのかどうかを考えてみるといいと思います。
「どうにかなるだろう」と考えるのは禁物。「どうにかならなかったらどうしよう」と考えてみるといいでしょう。
デトロイト不動産投資で失敗した人たちの話で驚いたのは「入居者が入るよりも先に泥棒が入った」とか「ホームレスが住んでいた」などという想定外のことが起こったことです。
アジアのプレビルド(建設前、または建設中の)物件に投資をすると、物件ができたら、その時点で高く売れるという話を聞きました。
建設中のリスクを取っているのでそういうことができるということでしたが、何の保証もありません。
実際に投資をした人たちの話によれば、建設中は資金が寝たような状態なので資金効率が悪い、物件が出来上がったのに買い手がいない、といったことも起こったそうです。
さらに、現地の人たちの給料では支払えないほど高い家賃設定だったので、給料の高い外国人の入居者を待っているが、数がそんなにいない、一棟の中でも良い部屋は現地の人に現地価格で売られていて、あまり良くない部屋を日本人価格(高い価格)で買ったことがわかった、など自分が想定しなかったことがたくさん起こったそうです。
それを避けるには、現地に住んでいる人に聞くなどするとよいかもしれません。数カ月前、フィリピンのボニファシオ・グローバル・シティ(BGC)に仕事で行ったのですが、モダンな街で驚きました。
若い人たちがいっぱいいて活気に満ちています。外国人の知り合いが住んでいる部屋は、新しいタワーマンションではなく、日本で例えると青山や原宿にあるようなヴィンテージマンションのようなマンションで、そんなに新しくはないのですが、管理が行き届いている感じでした。
近くには日本のラーメンやうどんや天ぷらなどを含む各国料理のレストランがあり、スーパーマーケットにもたくさんの食材が並んでいて、しかも日本に比べると安いので、生活がしやすいと思いました。物件価格や家賃や実際に住んでいる人たちのことや空室率を聞くと、投資として良いかもしれないと思いました。
プレビルドのマンションを販売している人たちがブースにいたので、勉強のために見せてもらおうかと思ったのですが、街に根付いているヴィンテージマンションの方がリスクは低い気がしました。
3泊の滞在だけで仕事をしていたので、物件を見に行ったり、調べたりする時間が全然足りなくて、真剣な検討に至りませんでした。その知り合いによれば、物価も安く治安も悪くないので全体的には満足ですが、物事がスムーズではないことが多々あるそうです。
例えば、リフォームや入居者募集を日本からお願いしたとしても、メールのやりとりや、リフォームに時間がかかったりしそうです。
海外不動産投資で成功している人たち
海外不動産投資で成功している人たちは、アンテナを高く張っており、投資のチャンスをグローバルにうかがっています。
今考えるとすごく円高だった1ドルが80円程度のときにアメリカの高級住宅地に日本人の商社の駐在員が住むような家を購入していたり、失敗している人が多いアジアの不動産を、現地に行って信用できそうな地元の不動産会社を探し、現地の価格で買ったりしています。
彼らは、世の中で起こっていることを俯瞰したうえで、円高のタイミングだけでなく、「某銀行がxxで融資をしている」などという情報をキャッチし、タイミングを逃しません。
また人任せにせず、自分で現地に行って調査を念入りにしています。英語で(堪能でなくても)交渉することができ、不利な条件で物件を買いません。
私がまだ海外不動産投資に踏み切れていないのは、お金持ちが行う節税目的の海外不動産投資にはまだ早いという気がしているのと、知識が十分でないからです。
私は特許翻訳を長年やっているので、法律用語も多少は知っていますが、不動産に関係する契約書などの書類を理解するのが億劫です。
日本でもそうですが、やはりどんな契約になっているのか、ひとつひとつ理解しないといけないと思います。また外国人相手の接客の仕事をしたり、外国人と結婚したりしていた(過去形です笑)ので、外国人相手に仕事をする大変さを知っています。
かつてのように資産を増やそう!という強い気持ちがあれば、勉強も熱心にして、大変なことにも取り組むかと思いますが、今はそのガッツはありません。
もちろん海外不動産投資にはチャンスがありますので、資産を増やそうという強い気持ちがある方は十分に勉強して、海外不動産投資で本当に成功している人たちを探し、彼らのやり方を研究して投資してみるといいかと思います。
投資用不動産業界に関する情報が毎週届く!
不動産投資塾新聞社メールマガジン登録はこちら
著者紹介
星野 陽子星野 陽子
不動産投資家。著者。特許翻訳者。
東京都出身。外資系メーカー、シティバンク勤務を経て、イスラエル国籍のユダヤ人と結婚。子ども二人に恵まれるも離婚。フリーランスとして在宅で翻訳の仕事をしながら、シングルマザーとして子ども達を育てた。東欧からの移民の子で、14歳から働き、資産ゼロから財産を築いたユダヤ人の義父からは不動産投資を学び、投資物件(6億円)などの資産を築いた。著書に『ユダヤ人と結婚して20年後にわかった金銀銅の法則50』『ユダヤ人大富豪に学ぶ お金持ちの習慣』『貧困OLから資産6億をつかんだ金持ち母さんの方法』がある。オンラインサロン「マネサロ」主宰。 オフィシャルブログも定期更新中。