石川貴康の超合理的不動産投資術
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2018年9月29日(土)
不動産収入以外で稼ぐ力を伸ばし、信用力をあげて雪だるま式に資産を増やす
不動産を継続して買うためには、不動産そのものの収益性もさることながら、経済主体としての「信用」が重要になります。特に、金融機関から見た「信用」を積みあげる必要があります。
金融機関から見た「信用」が何かというと、「返済能力」です。融資をしても「この人は確実に返済ができる」ということが評価の基準です。金融機関として、最終的に融資額と返済利息すべてが満額で回収できることが重要なのです。
こうした金融機関の信用とは別に、投資家としても「どんなことがあっても返済することができる」という状態は必須でしょう。返済ができないと、信用に大きく傷がつきます。
それだけでなく、生活費や他の財産を返済の原資として差し押さえられたりします。こうなると、生活も破たんしてしまいます。不動産投資をするには、どんなことがあっても、返済できるだけの能力が必要なのです。
物件の収益性をあげるのは当然の手立て
当コラム「物件の収益を維持するための5つのポイント」で書いたとおり、不動産を買い続けるためには手持ち不動産の収益性をあげることが当然必要です。手持ち不動産の収益性が高ければ、経営が安定しますから、金融機関の信用も高まり、融資が受けやすくなります。
当然、不動産が稼ぎだしてくれたキャッシュを投入して、新たな不動産購入もできます。手持ち不動産の稼ぐ力を伸ばし、信用力をあげ、さらに追加で融資を引いて、不動産投資を継続していきましょう。
リタイヤ・セミリタイヤせずに不動産収入以外に稼ぐ力をつける
不動産投資をする目的の一つにリタイヤ、もしくはセミリタイヤをあげる人がいます。リタイヤとは、まったく労働をせずに暮らせるようになること、セミリタイヤはサラリーマンをやめて不動産収入などで暮らせるようにすること、のようです。
確かに、ある規模になったら働かなくても良いかもしれません。サラリーマンも、嫌ならやめても良いでしょう。
しかし、不動産収入“だけ”に頼るのはいかがなものでしょうか。何度かこのコラムでも書いていますが、不動産投資にはリスクが伴います。事故もあれば、急な出費もあります。税金などの継続的な費用支払いもあります。
もちろん、あなたが既に大規模なメガ大家クラスになっていて、安定的に不動産収入があって働く必要がなくなっているなら、リタイヤも良いでしょう。しかし、まだ不動産を増やしている途中なら、リタイヤやセミリタイヤせずに、不動産収入以外の収入も活用して、不動産を継続的に増やしていくべきです。
不動産収入と本業の収入をダブルで使えば、それだけキャッシュの増加はスピードアップします。
それだけではありません。金融機関に対する「信用力」もサラリーマンや本業などの定期収入、追加収入があるということで高まるのです。特に、名の通った企業に勤めるサラリーマンは有利です。
私も何度か高額な貯金を持った一部上場企業のサラリーマンに、買い付けタイミングで先を越された事があります。売り主も、有名企業のサラリーマンで、貯金が多く、場合によっては現金買いをちらつかせる買い付け申込者を優先しがちです。不動産仲介業者も早く契約を成立させたいので、売り主がOKしやすい買い付け者を優先します。
金融機関も同様です。金融機関の職員もサラリーマンです。同じサラリーマンの方が、より親近感が湧きます。しかも、誰でも知っているような企業のサラリーマンには、それだけで「信用力の下駄」を履かせることができます。有名企業に勤めていて、地位も安定収入もそこそこあれば、金融機関内の決裁も通しやすいのです。
ですから、もし、あなたがサラリーマンで、定期収入があって、仮に有名な企業に勤めているなら、その信用力は最大限に利用した方が良いでしょう。もちろん、有名企業でなくてもかまいません。定期収入があるというのは、それだけ信用力になるのです。
もちろん、民間企業だけでなく、役所に勤めていても十分すぎる信用力があります。私が不動産を買い始めた2002年ごろ、私の横でとんでもないスピードで区分所有物件(ワンルーム)を買いまくっていた人がいました。不動産仲介の営業マンにこっそり属性を聞いたところ、その人は地方公務員でした。
公務員は安定した地位と信用で、金融機関が融資をどんどん出していたのです。当時、現金でワンルーム購入をしていた私のスピードは年に3戸でしたが、その人は年に30戸ほどを買っていたのです。私の10倍のスピードでした。
このように、本業の信用とサラリーを、不動産を継続買いする「燃料」にして、どんどん増やせるのです。物件を増やしている途中の人は、リタイヤしたりセミリタイヤしたりせずに、サラリーマンの稼ぐ力と持てる信用力を十二分に利用すべきです。
自分の本業を決めて、大金を稼げるようになっておく
不動産投資について、皆さんはどのように考えているでしょう。まさか、最初から不動産を大量に持っている人は、そういないでしょうから、なんらかの努力によって不動産を購入していくと思います。そうであるなら、なんらかの仕事をしながら稼いだキャッシュを投入して不動産を買うと思います。不動産事業の前になんらかの本業があるのではないでしょうか。
最初は、生活のために仕事を始めるのかもしれません。しかし、せっかく人生の大半を、仕事をして過ごすなら、本業は、自分のやりたいことや好きなことを選んではどうでしょうか。
もちろん、最初は不本意な仕事からスタートするかもしれません。しかし、不動産収入があれば、いやいや勤める必要は、なくなるかもしれません。不動産によって、経済的な支えが少しでもできれば、自分の好きな仕事に就くこともできるかもしれません。
かくいう私は企業の改革を支援するコンサルタントです。激務で、不安定です。一度は過労で倒れ、クビも覚悟し、安定したサラリーマン収入を失う可能性にも直面しました。この時、自分が倒れても稼いでくれる不動産を買おう、私が倒れても家族が路頭に迷わないように安定的な収入を構築しようと思ったのです。
私は企業の改革を手伝うのが好きで仕方ありません。私にとっては天職であり、ずっと続けたい本業です。しかし、体を壊したら終わりです。だから、私がどうなっても収入が継続できる不動産を増やし続けています。
また、不動産収入があるため、その後コンサルタントとして独立することに躊躇はありませんでした。何かあっても、そこそこの収入があるのですから、好きな仕事にチャレンジすることだってできるのです。私は企業改革を担うコンサルタントを本業にして、今も現役で稼ぎ続けています。
コンサルタント業界にも流行り・廃りがあります。企業に勤めるサラリーマンコンサルタントは、売上をあげなければいけないので、流行りで稼げる分野にどんどん仕事をシフトさせられます。
結果、企業に所属するコンサルタントには2種類の人間ができてしまいます。一つは、流行に左右されて次々対象を変えて、何が専門なのかわからない中途半端な経験のコンサルタント、一方でずっと同じことばかりしていて狭い範囲のことしか知らないコンサルタントです。こうした偏ったコンサルタントはコンサルティング会社に依存し、会社の意思決定に従わざるを得ない存在になります。
せっかく自分の知識と経験で食っていくなら、自分の能力で評価されてプロフェッショナルとして世に役立っていきたいではないですか。私はそうしています。企業に属さず、自分の名前で仕事の依頼があります。ある分野では業界の第一人者になることができました。それもこれも、不動産収入があって、本業である専門分野に集中するリスクが取れるようになったからです。
不動産収入を得て、リタイヤ・セミリタイヤもありですが、どうせなら、好きな仕事を本業と定め、不動産収入を「安定的副業」としての「バックアップ収入」と位置づけ、好きな仕事をしていこうではありませんか。
もちろん、考え方は人それぞれです。それでも、不動産収入を構築すれば、自分で生きたいように生きていけるだけの余地が生じるのです。頑張って、継続的に不動産投資を行って、収入を増やしていこうではありませんか。
本業収入と不動産収入をあわせて、雪だるま式に資産を増やす
本業を維持し、不動産収入を同時に得るメリットは計り知れません。しかし、不動産がある程度の規模になるまでは、継続的に不動産投資を行って、所有物件を増やしていかなければなりません。そうであるなら、本業の喜びの有無は置いておいて、当面は本業収入と不動産収入をあわせて、雪だるま式に不動産を増やしていこうではありませんか。
ちょっと心がけ的な話になって恐縮ですが、資産を増やすスピードをあげるためにも、本業はやめず、できれば本業でも大金が稼げるようになりましょう。不動産収入があれば、少々のリスクも取れるようになります。是非、好きな仕事を本業にして、大金を稼ぎ、資産を増やしていきましょう。
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著者紹介
石川 貴康石川 貴康
外資系コンサルティング会社、シンクタンクに勤務し、現在は独立の経営コンサルタント。大手企業の改革支援を今も続ける。対製造業のコンサルタントでは業界第一人者の一人。会計事務所も経ており、経理、資産評価、相続対策にも詳しい。2002年から不動産投資を始め、現在は15棟153室ほか太陽光3箇所、借地8箇所を経営する。著書に『いますぐプライベートカンパニーを作りなさい! 、サラリーマンは自宅を買うな(東洋経済新報社)』『サラリーマン「ダブル収入」実現法 、100円ちゃりんちゃりん投資、(プレジデント社)』など