不動産投資の最新動向
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2020年10月29日(木)
不動産投資用ローンを組む前に知っておきたいメリットとデメリット
不動産投資で避けたいのは「ローン返済ができなくなり多大な借金を背負ってしまうケース」と「自己破産に追い込まれてしまうケース」です。ローン契約は自己責任。投資用ローンを組むかどうかは総合的な判断が必要です。
不動産投資ローンのメリット
まずは、不動産投資ローンを組むと得られる利点について解説します。
①レバレッジ効果が得られる
不動産投資におけるレバレッジ効果とは、「小さい資金で高額な資産である投資用不動産を取得すること」。高いレバレッジ効果を得るためには、不動産投資ローンを組むのは必須と言えるでしょう。
②収益性を高められる
不動産投資はレバレッジによって、収益性も高めやすいのがポイント。投資における収益は、一般的には「保有資産額×利回り」で決まってくるからです。
仮に500万円の自己資金のみで利回り5%の物件を購入する場合、家賃収入による年間収益は25万円の見込みになります。一方、自己資金500万円に加え、不動産投資ローンで2,500万円を借り入れして3,000万円の物件を購入した場合、家賃収入による年間収益が150万円を見込めるため、ローンの返済が月々10万円だったとしても30万円の収益を出すことができます。
利回りが同じ場合、当然、保有資産が多い方が収益性を高められます。
③手持ち資金が残せる
不動産投資ローンを組むことで、自己資金を手元に残すことができます。
つまり、手元資金を持った上で、余力を残しながら投資を行うことが可能になるのです。
病気などで突然の支出が発生した場合も、残ったお金で対応することができるでしょう。
④団体信用生命保険に加入できる
不動産投資ローンを組むことで、団体信用生命保険に加入することができます。
略して団信と言いますが、借入者がたとえ完済前に病気などで亡くなったとしても、その時点の残債を代わりに金融機関へ弁済してくれる保険のことです。
もし家族がいた場合、団信のおかげでローン完済済みの不動産を家族に残すことができるのです。
不動産投資ローンのデメリット
ローンとはすなわち借金。購入した不動産の経営状況に関わらず、返済義務があるのです。では次に、デメリットを解説します。
①利息が発生する
不動産投資ローンを組むことで利息が発生してしまうのは、一番大きなデメリットです。
金利の違いで利息の金額は変わってきますが、自己資金のみで支払う場合よりも利息支払い分が増えてしまいます。
たとえば、3,000万円の借入をした場合で、銀行借入期間30年、金利2%だとすると、1,000万円近くの利息を支払う必要が出てきます。
収支のシミュレーションを行った上で、計画的に返済を行いましょう。
②金融機関との交渉の時間がかかる
新築物件の場合、不動産会社が提携している金融機関でローンを組むことが通例です。
逆に、中古物件の場合、不動産仲介会社の提携ローンを組めなければ、自分で金融機関を探し、融資を打診する必要があります。この場合は少し手間が増える点がデメリットになるでしょう。
ローン返済に失敗するパターン
ここまでメリットとデメリットを解説しました。これらを理解した上で不動産投資ローンを組むか否かを決断するようにしましょう。では次に、実際に起こりうる失敗パターンをご紹介します。
●返済能力以上の融資を受けてしまった
毎月の返済額が収入を上回った際、ローン返済が滞ってしまいます。
なぜそのようなことが起こるかというと、賃料収入がそれほど得られない物件を、多額の融資を受けて購入してしまったこと、予想以上に空室期間が長引いたことなど、いくつか判断が甘かった部分が見受けられます。ローンを完済できない場合、任意売却によって物件を手放したり、最悪自己破産をしたりすることになるかもしれません。
●不動産管理の必要経費を考慮していなかった
不動産投資は購入して終わりではありません。当初計画立てたキャッシュフローの通りになることは非常に稀なことです。
突然の修繕や設備改善の対応、金利の変動への対応を考慮する必要があります。
管理面でいうと、屋根塗装や壁塗装は10年〜15年周期で行う必要があり、ガスや水道などの設備は定期的にメンテナンスを行う必要があります。また、客付けのための宣伝広告費も確保しておいたほうがいいでしょう。
特に競合物件が多いようなエリアでは、宣伝広告費が必須になることもあります。
●レバレッジをかけすぎた
前述したとおり、不動産投資ローンにより大きなレバレッジ効果を得ることができます。
ただ、リスクを考慮しないまま、ローン返済ができないほどの多額の融資を受けてしまうことは危険です。特に金利が何%になるのかは、慎重に精査するべきでしょう。
借入金が大きいと自ずと金利の影響が大きくなり、利回りが悪化するものです。
融資限度額ギリギリを攻めるということは、リスクを大きくしていることを忘れないでください。
●他の金融機関の方の融資条件が良かった
返済の失敗に大きく関与はしませんが、よく聞くケースです。一つの金融機関の審査だけに頼ってしまうと、融資条件の良し悪しを客観的に判断できません。
複数の金融機関に相談し、物件の価格が適正かを見極め、物件の評価額はどこでも同程度なのか、多少空室ができたとしてもローン返済をすることができるかなど、慎重に見極めるべきでしょう。
住宅ローンと不動産投資ローンの違い
では実際にローンを組もうとした場合、住宅ローンと不動産投資ローンのどちらを利用するのが良いのでしょうか。これも違いがあります。
●そもそも住宅ローンとは
住宅ローンは、基本的に借入人が住むことが前提の自宅が融資対象で、返済原資は給与所得です。金利については、変動金利であれば0.5%を切る金融機関もあるなど、不動産投資ローンに比べて低く設定されています。
一方、不動産投資ローンを組む場合には当然ながら審査がありますが、勤務先や勤続年数、安定した年収や年齢、物件評価など、金融機関が審査にかなり慎重になります。
信用情報に問題があればローンを組むこと自体難しいですが、おおむね年収500万円以上であれば不動産投資ローンを組むことができます。
ローンを組む場合、さまざまな審査基準を持つ複数の金融機関にアプローチし、自己資金を増やした状態で審査を受けることをおすすめします。自己資金を増やし頭金として投入することでも、ローン審査に通りやすくなる可能性も高まります。
●住宅ローンは投資用物件購入には利用できない
前述した通り、住宅ローンは借入者自身が住むことが前提のため、「自宅購入用」としてしかローンを組むことができません。
不動産投資ローンを組むことが難しいからといって、住宅ローンで不動産投資のための融資を受けようとすれば、それは明らかな契約違反となります。
物件購入後も金融機関はチェックをしており、契約違反となった場合には残債を一括で返済するペナルティが課せられ、最悪の場合は詐欺罪に問われるので軽く考えないように注意しましょう。
逆に、将来設計の中で不動産投資のほか、住宅購入も検討しているならば、不動産投資ローンを先に組んで賃貸経営をすることをおすすめします。
金融機関は、賃貸経営で発生する家賃収入を年収とみなすことが考えられるので、住宅ローンを組む際には上限額が引き上げられる可能性が高まるのです。
繰り返しになりますが、不動産投資ローンを組むことで収益性の高い物件を取得することが可能になります。そのためには、オーナー自身が現在の収入を把握した上で、返済計画をしっかりと練った上でローンを利用することが大事です。
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著者紹介
不動産投資塾編集部不動産投資塾編集部
投資への関心が高まる中で、高い安定性から注目を集める不動産投資。しかし不動産業界の現状は残念ながら不透明な部分が多く、様々な場面で個人投資家様の判断と見極めを要します。一人ひとりの個人投資家様が正しい知識を身に付け、今後起こり得るトラブルに対応していくことが肝要です。私たち一般社団法人首都圏小規模住宅協会は、投資用不動産業界の健全化を目指す活動の一環として本サイト「不動産投資塾新聞社」を介し、公平な情報をお送りいたします。