不動産投資の最新動向
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2020年7月30日(木)
不動産投資に「がん団信」は必要?メリット・デメリットを徹底分析
不動産投資を始める際は、「団体信用生命保険(団信)」という保険に加入します。これはオーナーに万が一のことがあった際、保険金によって物件購入時のローンを支払うためのものです。オーナーが亡くなっても団信の保険金によってローンを完済すれば、配偶者や子どもがローンのない物件を相続することができます。
団信の中でも近頃話題になっているのが、いわゆる「がん団信」。そのメリット・デメリット、必要性については吟味が必要です。
がん団信の持つメリット・デメリット
がん団信とは、通常の団信にがん補償の特約が組み込まれたものです。
メリット|経済的利益が発生する場合アリ
メリットとしては、通常の団信のように死亡したり高度障害状態に陥ったりした時だけでなく、がんと診断された際にもローンを完済する保険金が支払われることです。
日本人の2人に1人ががんになると言われている昨今、増加するリスクをヘッジすることができます。
注目したいのは、死亡や高度障害とは異なり、がんと診断されたからといってその後の就労能力を失うとは限らない点です。がんを早期発見してすぐ手術し、その後の再発がないという可能性は十分にあり得ますから、そうするとがん補償特約によって経済的なメリットが得られるケースもあります。
デメリット|当然、保険料が高くなる
一方で、補償がプラスされることで保険料が上がるのがデメリットです。がん団信では金融機関に支払うローンの金利に上乗せする形で保険料が徴収され、賃貸経営の利回りが下がってしまいます。
また、補償の内容によっては適用されない種類のがんもあることには注意が必要です。がん団信は生命保険の一種ですから、加入者の健康状態によっては加入が認められないこともあります。基本的に、契約時点でがんにかかった経験がある人は加入することができないようです。
がん団信の検討は通常の保険選び同様、補償の内容とコストを天秤にかけて判断する必要があるでしょう。
既にかけている保険との被りに注意
がん団信の加入を検討する場合のポイントは、既に加入している保険の補償内容を必ず踏まえたうえで判断することです。
まず整理したいのは、不動産オーナーにとってのがん保険とは、以下の2つの目的で加入するものだということ。
①がんの治療費とその後の生活資金を確保する
②がんにかかることによって払えなくなるローンを一括返済する
逆に言えば、がん団信なしでも①と②の目的が果たされるのであれば、わざわざ上乗せ金利を払ってまでがん団信に入る必要はありません。
たとえば、がんと診断された際に既に入っているがん保険の保険金をもらって、持っている収益物件は売ってしまうというのも立派なリスクヘッジプランです。
がん保険の保険金と収益物件の売却予定額を合計して、それでも十分な資金が手元に残るのであれば、さらにがん団信にも加入するのは保険の入り過ぎだと考えられます。
加えて注意したいのは、不動産についている団信は物件を売却すればなくなってしまうことです。急に手元資金が必要になって物件を売却したり、物件を買い替えたりすることは普通にあり得ますから、純粋にがんのリスクを長期間補償する役割をがん団信に求めると、思わぬ計算違いが起きるかもしれません。
がん団信がなくなった段階で通常のがん保険に加入しようとしても、加入が認められない可能性があることには注意が必要でしょう。
がん団信は必要なのか?
保険加入の際の鉄則は、補償の内容とかかるコストの見合った商品に加入することです。それはがん団信加入の判断についても例外ではありません。加入の際の上乗せ金利は様々ですが、もちろん商品によって補償内容が違うので、「金利が安い=お得だから加入したほうがいい」ということにはならないのです。
「不動産投資には生命保険もついてくるから、保険代わりになる投資である」というのは不動産会社の営業マンがよく使うトークですが、うのみにしてはいけません。
金融商品には必ず、コストとリターンの両方の側面が存在します。不動産は不動産、保険は保険と、切り分けて考えてトータルのマネープランを立てるのが、成功するコツでしょう。
がん団信が必要なのか必要でないのかは、投資家自身の計算や考え方によります。人任せにしたり、流行りだからと飛び付いたりせず、十分に吟味して判断を下しましょう。
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著者紹介
不動産投資塾編集部不動産投資塾編集部
投資への関心が高まる中で、高い安定性から注目を集める不動産投資。しかし不動産業界の現状は残念ながら不透明な部分が多く、様々な場面で個人投資家様の判断と見極めを要します。一人ひとりの個人投資家様が正しい知識を身に付け、今後起こり得るトラブルに対応していくことが肝要です。私たち一般社団法人首都圏小規模住宅協会は、投資用不動産業界の健全化を目指す活動の一環として本サイト「不動産投資塾新聞社」を介し、公平な情報をお送りいたします。