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不動産投資の最新動向

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不動産クラウドファンディングは危険!? リスクだらけの投資法が人気を集めるワケ

目次

「不動産投資型クラウドファンディング」をご存じでしょうか?

少額から始められて高い利回りも期待できるということで、近年投資家から注目が集まっている投資です。

今回の記事では、不動産投資型クラウドファンディングのメリットとデメリットを解説し、注目を集めるきっかけになった背景も紹介します。

不動産投資型クラウドファンディングとは?

「不動産投資型クラウドファンディング」または「不動産クラウドファンディング」とは、インターネット上から出資者を募り、その資金を元手に業者が不動産投資を行ない、各投資家に分配金を配当する資産運用方法です。
 
不動産投資は、融資を受けるなど多額の資金が必要となるため、個人で始めるにはハードルが高いのですが、不動産クラウドファンディングでは多数の人が集まり、少額の資金で投資に参加することができます。
 
また、運営の匿名化が可能なソーシャルレンディングと比較すると、不動産クラウドファンディングは、情報公開範囲に制限がありません。
 
したがって、運営元が物件の住所などの情報を開示しているのも特徴といえるでしょう。

不動産クラウドファンディングのメリット

不動産クラウドファンディングは通常の不動産投資と異なる点が多く、さまざまな特徴がありますが、投資家が得られるメリットはなんでしょうか。

メリット①:少額から不動産投資に挑戦できる

不動産投資は一般的に、融資を受けると手元資金が少なくても行なえますが、大抵は数百万円〜数千万円の自己資金を用意する必要があります。
 
一方、不動産クラウドファンディングは、最低投資金額が1〜10万円程度に設定されていることが多いです。
 
つまり少額から不動産投資に取り組むことが可能になるのです。

メリット②:高い利回りが期待できる

投資対象の物件によって利回りは変わりますが、通常の不動産投資と同じくらいか、それよりも高い利回りが期待できるのが、不動産クラウドファンディングのメリットです。
 
想定利回りが低いファンドの場合でも、年率換算で2〜3%程度で、銀行の定期預金よりは格段に高い利回りが魅力。
 
不動産投資を実施するほどの自己資金はないけど、数十万円程度の投資であれば参加できるという人は、銀行に預けておくよりは良いリターンを得られるでしょう。
 
想定利回りが高いファンドの場合は、年率換算で10%前後の高利回りが期待できます。

メリット③:通常の不動産投資にかかる手間を運営会社に一任できる

不動産投資を実施する場合、物件の選定から購入手続き、税務や登記関連の作業、入居者・退去者の管理、修繕管理など、大きな手間がかかります。
 
もちろんリフォームやリノベーションを行なったり、物件を売却したりするのであれば、その際の手続きも必要です。
 
一方、不動産クラウドファンディングの場合、ファンドの対象を選んで申し込めば完了。
 
細かい手続きや運用上の管理などは全て運営会社に任せることができるのです。

メリット④:通常の不動産投資では手が出しづらいホテルやオフィスビルにも投資可能

たくさんの出資者を募って不動産投資を実施できる大きなメリットとしては、ひとりの投資家だけでは手が出しづらい物件に投資できる点です。
 
投資先をホテルやオフィスビルなど、億単位の物件も選択可能になります。
 
高額物件への運用が活性化すれば、不動産業界も盛り上がることでしょう。

不動産クラウドファンディングのデメリット

一方、不動産投資クラウドファンディングのデメリットとはなんでしょうか。

デメリット①:投資家の中途解約ができない

通常の不動産投資の場合は、運用期間中であっても売却すれば物件を手放すことができます。
 
ただし不動産クラウドファンディングの場合は、投資家の都合による一方的な中途解約ができないのです。
 
ファンド投資を行なう際、投資家はクラウドファンディング事業者(不動産特定共同事業者)と「匿名組合契約」を締結します。
 
この匿名組合契約には、中途解約できない規定が入っているのです。
 
ファンドの運用期間が延長され長期間にわたる可能性もあり、その場合は投資資金が拘束されてしまいます。
 
運用期間が1年以上のファンドはざらにあります。
 
不動産クラウドファンディングの事業者では一部中途解約を認めている業者も存在しますが、一般的には解約できないパターンが多いため、事前に確認しなければなりません。

デメリット②:元本割れの可能性がある

不動産クラウドファンディングは、運用がうまくいかなかった場合、投資家の元本償還が保証されていません。
 
覚えておきたいのが、ファンドの「優先劣後スキーム」という言葉。
 
優先劣後スキームは、投資家が出資するだけでなく、不動産クラウドファンディングの事業者も劣後出資者として出資することになります。
 
仮にファンドに損失が出てしまった場合でも、劣後出資の部分が損失を吸収して損失被害を最小限に抑える仕組みになっています。
 
ただし、インカムゲインとキャピタルゲインの合計値が当初想定した劣後出資割合以上に下落してしまった場合は、投資家の出資元本に毀損(きそん)が生じてしまうのです。

デメリット③:短期間で大きな利益を得ることはほぼ不可能

不動産投資の場合は家賃収入を得ながら、タイミングをみて売却することで大きなキャピタルゲインを得ています。
 
ただ、不動産クラウドファンディングの場合は、投資家個人の判断で購入や売却ができないこともあり、大きなキャピタルゲインをすぐに得ることはできません。
 
不動産クラウドファンディングは、あくまでも家賃収入を利益として得る投資なのです。

デメリット④:レバレッジが効かない

不動産投資の場合は、金融機関からの融資を利用して、自己資金だけでは手が出せない高額物件を購入することができます。
 
つまり、少ない自己資金でもより大きな利益を得ることができるのです。これをレバレッジ効果といいます。
 
一方、不動産クラウドファンディングの場合は少額投資が基本で、銀行からの融資を受けることはまず不可能なため、レバレッジが活用できません。

物件種別による特徴の違いとは?

不動産クラウドファンディングの投資対象として、マンションやアパートなどの居住用不動産とホテルや民泊などの宿泊施設、そしてオフィスビルや商業施設などがあります。
 
居住用不動産は、収益は安定しやすいのですが、オフィスビルや商業施設のような高い利回りを得づらいデメリットがあります。
 
宿泊施設は景気変動で大きな影響を受けるため、コロナ禍では収益性が大きく悪化しました。

大手企業の相次ぐ新規参入とSBIグループの不祥事

不動産クラウドファンディングが注目を集めた大きな理由としては、実績豊富な一部上場企業などの参入が相次いだことが考えられます。
 
東証マザーズ上場企業のインテリックスや東証一部上場企業の穴吹興産といった投資用不動産を開発する大手不動産会社が次々とサービスを開始し、投資家たちの注目を集めました。
 
それから一般的にも不動産投資型クラウドファンディングが知れわたったのです。
 
しかし、不動産クラウドファンディング業界にも暗雲が立ち込めた時期もあります。
 
2021年6月にネット金融最大手であるSBIグループのSBIソーシャルレンディングが金融庁から業務停止命令を受け、事業撤退を余儀なくされたのです。
 
大手企業であるSBIの看板を信用して投資をした一般投資家は、2019年に募集開始されたマンション建設案件に参加し、年利7%で月3000円が入金されていたといいます。
 
具体的な不正内容としては、融資先が貸付金を本来の目的以外に不正使用し、マンション建設工事が進んでいなかったのです。
 
出資者も多く集まっていた大型ファンド案件だったにもかかわらず、SBI側は資金使途の確認義務を怠っていました。
 
SBI側は出資者に元本を全額返金するという対処を発表しましたが、投資家たちからは確認義務を怠ったことに対する不信感は晴れないままです。
 
「スマホで手軽に始められるし、高金利ですよ」と怪しい勧誘する業者が多い不動産クラウドファンディングの業界ということもあり、大企業の失態は大きなマイナスイメージにつながったといえるでしょう。

うまい話は簡単には訪れない!

以上のように、注目を集める不動産クラウドファンディングでもリスクやデメリットが満載です。
 
一口1万円程度の小口投資が可能とはいえ、リスクの割に大きな利益を得づらいというデメリットが垣間見えます。
 
不動産クラウドファンディングでも通常の不動産投資でも、安心して儲けるためには一定の自己資金が必要です。
 
リスクを負って多少の損失を被っても問題がないように、まずは自己資金をしっかり貯めることが重要です。
 
最悪の事態になって自己破産しかない、という状況にならないよう注意してください。

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著者紹介

不動産投資塾編集部
不動産投資塾編集部

投資への関心が高まる中で、高い安定性から注目を集める不動産投資。しかし不動産業界の現状は残念ながら不透明な部分が多く、様々な場面で個人投資家様の判断と見極めを要します。一人ひとりの個人投資家様が正しい知識を身に付け、今後起こり得るトラブルに対応していくことが肝要です。私たち一般社団法人首都圏小規模住宅協会は、投資用不動産業界の健全化を目指す活動の一環として本サイト「不動産投資塾新聞社」を介し、公平な情報をお送りいたします。

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