不動産投資の最新動向
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2021年6月24日(木)
マンション経営に失敗する人の共通点とは?ーー素人大家の3つの失敗事例を解説!
「ローン返済が苦しくなって自己破産……」「入居者がつかず空室続きで収支がマイナスに!」――資産運用を目的に不動産投資を始めたはずが、トータルで赤字に陥ってしまう投資家は後を断ちません。
実は、こうした失敗例を分析してみると、一定の共通点が浮かび上がってくるのです。
今回の記事では、実際に失敗したオーナーたちの具体的な事例をもとに、多くの投資家が失敗を繰り返す理由を解説します。
失敗例その① 家賃設定でミス! 入居者が決まらない物件
賃貸経営する際に、まず重要となるのが家賃設定です。
物件近隣エリアの相場や需要を調査したうえで適正な賃料を設定しなければ、どんなに良い物件や部屋でも、入居者は決まりません。
ここで、賃料設定を誤ってしまったオーナーの事例をご紹介しましょう。
決め手は「高利回り」ーー購入後に判明した驚くべき悪巧み
Aさんは、「高利回り!」という文句に惹かれ、高級な仕様のマンションを購入しました。
賃借人が入居した状態で購入したこともあり、購入直後から家賃収入がきちんと入ってくると想定したのです。
しかし、マンション投資のスタート直後から暗雲が立ち込めました。
なんと、売買契約が決まった直後から、入居者が家賃を滞納しはじめたのです。
実は、この入居者は前のオーナーの親族でした。
前オーナーはできるだけ高くマンションを売りたいあまり、仲介会社ともグルになって、親族を使って実態よりも高い賃料が入る物件であるかのように偽装していたのです。
Aさんにしてみれば、まさか前のオーナーと入居者、さらに仲介会社までグルになった悪巧みとは思いもしません。
しかも、前オーナーの偽装のせいで、Aさんは購入前に周辺相場よりも高い家賃設定で収支をシミュレーションしていました。
購入金額を回収するためには家賃を簡単に下げるわけにはいかず、袋小路に陥ってしまったのです。
結局、Aさんは賃料を下げる決断にも踏み切れず、いつまで経っても新たな入居者がつくことはありませんでした。
残ったのは、マンションのローンだけです。
見切り発車で謳い文句に踊らされるな!
Aさんの失敗の原因は、家賃相場や周辺事情をきちんと調べずに、高い利回りと人気の高級マンションを所有できる事実にだけ魅力を感じ、見切り発車で購入を決めてしまったことです。
オーナーチェンジ物件は、購入前に「設定家賃や滞納歴」「賃貸契約の内容」「入居期間」など、とくに細かなチェックが必要です。
失敗例その② 新築プレミアムがなくなり、売却益が見込めないワンルームマンション
不動産投資で特に多いのが、新築ワンルームマンション購入後の失敗事例です。
もちろん賃貸需要が高くて満室経営ができれば良いのですが、「新築プレミアム」というバリューだけに惹かれて購入してしまうと、後の空室リスクが顕在化し、キャッシュフローが悪化してしまうのです。
赤字経営続きの投資用物件ーー売却しても収支はマイナスに
都内在住のBさんの場合、旦那さんは都心の投資用新築ワンルームマンションを、奥さんであるBさんに内緒で購入しました。
金融機関からの全額融資で35年ローンを抱えたものの、赤字経営が続いているといいます。
買取業者からは、「このまま所有しつづけても、家賃は下がるだけで、修繕費用も増えるばかりなので、当社が1000万円で買い取ります」という提案が持ちかけられていますが、1000万円で売却できたとしても、多額のローン残債が残ってしまうのだそうです。
Bさん夫婦は、二人して途方にくれたまま、いまでも対応を決めかねています。
新築バリューは購入時だけの価値と心得よ!
新築マンションが恐ろしいのは、一度購入してしまうと中古扱いになる点。
いちど退去者が出てしまうと、それ以降の入居者募集では「新築」の言葉は使えません。
そうなれば入居者にとっての魅力が半減し、物件価値は一気に下がってしまうのです。
慌てて売却を試みても、中古扱いになっただけで、新築購入価格からは一般的に2〜3割も価格が下がってしまうのが常。
新築時はデベロッパーの建築費や販売管理費が上乗せされているため、物件価格はどうしても割高に設定されている点には注意しましょう。
失敗例その③ 管理会社のずさんな管理でゴミ屋敷化した投資物件
信頼して管理を任せたはずの賃貸管理会社がひどい体たらく……そんな事例もよくあります。
特に、都心在住のオーナーが地方に物件を所有している場合にありがちなケースです。
ここで、東海地方のマンションを所有するオーナーの事例をご紹介しましょう。
突然の退去者続出ーー安定経営の物件にいったいなにが?
Cさんはが所有していたのは、利回りも高く賃貸需要も高いマンションで、建物の管理は管理会社に一任していました。
Cさんは、しばらくは安定経営を続けていましたが、長期間の賃貸経営に慣れたころに、退去者が続出しはじめたのです。
不動産会社に入居者募集の依頼をかけても決まらず、ついに家賃収入が途絶えてしまいました。
不審に思ったCさんは現地を訪問すると、なんと購入時とは別物のようなゴミ屋敷に様変わりしており、愕然としました。
修繕積立金を月々収めていたにもかかわらず、大規模修繕もリフォームも行なわれていなかったのです。
この件、実は、Cさんが管理会社に一任していたのをいいことに、管理組合の理事長と管理会社が癒着していたのです。
積立金は、理事長の懐と管理会社へのキックバック分として消えてしまいました。
「他人まかせの管理で儲けよう」なんて甘い考えは捨てよ!
このケースでは、オーナーが定期的に現地を確認せず、すべてを他人にまかせっぱなしだったことが失敗の原因です。
裁判を起こして勝訴したとしても、出て行った入居者たちが戻ってくることはありません。
失敗する人には自分の意思が欠けている
今回紹介した失敗事例から導き出される法則は、次の3つです。
①都合の良い見立てで確認を怠ってしまった
②不動産営業マンのトークを鵜呑みにしてしまった
③自分以外の他人に任せっきりにしてしまった
総じて、自分自身の意思以上に他人に翻弄されていることがわかります。
不動産投資で成功するには、知識習得のための勉強が大切です。
不動産投資は長期的に安定収益を得るための投資法として認知されていますが、不勉強や対策不足により、利益を得るどころか大変な損失を生み出してしまう可能性もあるのです。
失敗を回避するためには学ぶ姿勢が重要
不動産投資の失敗を回避するポイントは学ぶ姿勢を持つことです。
物件の購入を検討した段階で、不動産投資ローン完済までの計画を立てなければなりません。
立地や相場はもちろん、入居者を維持するためや空室期間にどのような対策が必要かを知っておく必要があります。
特に念頭におきたいのは、不動産投資は家賃収入や売却益が入ってくるおいしい話だけでなく、修繕費や広告費、税金などの出費もたくさんかかってくるという事実。
将来にわたり起こりうるリスクをふまえたうえで、後悔のない堅実な投資を心がけましょう。
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著者紹介
不動産投資塾編集部不動産投資塾編集部
投資への関心が高まる中で、高い安定性から注目を集める不動産投資。しかし不動産業界の現状は残念ながら不透明な部分が多く、様々な場面で個人投資家様の判断と見極めを要します。一人ひとりの個人投資家様が正しい知識を身に付け、今後起こり得るトラブルに対応していくことが肝要です。私たち一般社団法人首都圏小規模住宅協会は、投資用不動産業界の健全化を目指す活動の一環として本サイト「不動産投資塾新聞社」を介し、公平な情報をお送りいたします。