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【タワマンの固定資産税見直しの影響は?税制改正に見る節税効果】

目次

タワーマンションを購入することで税金対策を行う「タワマン節税」が注目されてから、あらゆる資産家や海外投資家などが日本のタワーマンションを続々と購入しました。節税効果が期待できるタワーマンションですが、具体的にはどのような効果をもたらすのでしょうか。

平成29年に税制が改正されたことで、高層階と低層階で固定資産税が大きく変わりました。今回の記事では、タワマン購入による節税効果と固定資産税の負担額について解説します。

税制改正で変わった固定資産税

平成29年(2017年)度の税制改正により、タワーマンションの固定資産税の課税評価額が変更になりました。税制改正以前と以後でどのように変わったのか、確認していきましょう。

税制改正前の課税評価額

タワーマンションの取引価格は階数が高くなるにつれて高くなりますが、税制改正前にタワマンを購入していた場合、固定資産税については1階部分でも40階部分でも面積が同じであれば評価額は変わりません。固定資産税はマンション全体で平均化され、所有者の負担金額が決定します。つまり、税制改正前に建てられた物件であれば、高額な高層階を購入しても低層階の評価額と同額のため、物件の価値に対して相続税が安くなり、大きな節税効果を得られると考えられるわけです。

税制改正後の課税評価額

税制改正前はタワーマンションの固定資産税評価額はどの階層でも同額でしたが、税制改正後は、高層階と中層階、低層階で比較すると、それぞれの階層ごとに変動があるようになりました。投資家にとっては、税制改正前の固定資産税評価額は節税効果が感じられましたが、取引価格が高層階の方が高いのに、低層階と同額の納税額になることが疑問視されており、それが是正されたということです。

税制改正の影響を受ける建物の条件とは

税制改正前後の固定資産評価額については前述の通りですが、具体的にどのような建物が影響を受けるのかを説明しましょう。改正後の税制は、2018年以降に建てられた20階以上の新築マンションが対象となります。つまり、タワマンを購入したのが税制改正後であっても、改正前に建てられた建物であれば、マンション全体で一律の固定資産税評価額となるため、高層階でも恩恵が受けられるというのがポイントです。

上記の通り、税制改正前の建物であれば購入するのが高層階であるほど、物件の価値と固定資産税評価額の差額から節税効果を生んでいました。土地の持ち分が小さければ、増税後でも1戸あたりの固定資産税額は少額になります。この特性を利用すれば、税制改正後の建物であっても節税効果は多少期待できると考えられます。

固定資産税の計算方法

居住用高層建築物(タワマン)に対する固定資産税は、1階を100として、階が1つずつ上がるごとに10/39を加えた数値に補正されます。固定資産税がいくらになるのかの計算式は、以下の通りです。

N階の階層別占有床面積補正率=100+10/39×(N-1)
(引用元:公益社団法人全日本不動産協会「平成29年度改正タワーマンションに係る固定資産税の取扱い」)

この通り計算すると、1階上がるごと0.256%ずつ差が出てきます。たとえば、50階建てのタワマンの場合、25階を基準の中間層として、そこから1階ずつ上がるごとに0.25%増税され、逆に1階ずつ下がると0.25%減税されるということです。

タワマンの低層階であれば一般層にも手が届きやすい

タワーマンションの魅力といえば眺望の良い高層階で、低層階はあまり人気が高くはありませんでした。ただ、固定資産税の見直しにより、低層階の固定資産税が安くなったことで、選択肢として検討できないほどではなくなりました。依然として、通常のマンションよりもタワマンの方が、固定資産税が安くなることも考えられるのです。

管理費や修繕積立金は、通常のマンションよりもタワマンの方が割高になるため、その点は注意が必要です。管理費などの維持コストがタワマンの方が高い理由としては、設備の充実やコンシェルジュの存在などサービス面に大きな違いがあるからです。

物件価格相場が下落する可能性あり

2021年に延期となった東京オリンピック開催までは、タワマンの建築ラッシュも続いていますが、今後は供給過多で空室が増える懸念があり、大規模修繕ができずに廃墟と化してしまうタワマンが出てくることも予想されています。オリンピックが終われば、選手村も一般住宅用として売りに出されるので、既存のタワマンを選択する可能性がより狭まるかもしれません。

せっかくタワマン節税の恩恵を受けようと高いお金を支払って購入に至ったにもかかわらず、肝心の相続が発生するまでに物件の価値が下がってしまう可能性が考えられるのです。相続税の評価額は下がっても、タワマンの価値が購入時よりも大きく下がってしまうと元も子もありません。

現金で財産を持っておくよりも、相続税評価額が低くなるタワマン購入で将来的な節税効果を享受できるのならありがたいことですが、東京オリンピック後の価格相場下落の予想を想定して、購入から売却までの計画を立てることをおすすめします。

資産価値と節税効果の丁寧な検討を

タワーマンションは供給過多が起きているという紹介をしましたが、全国のタワマン居住者の人口は2005年の約99万人から2015年には約197万人と大きく増加しています。とはいえ今後都内マンションは空室が増え、大規模修繕費が高騰して滞納が発生する可能性があるという問題もあります。

400戸近いマンションに居住者が3割にも満たないという話も聞くほどです。固定資産税の見直しやタワマン節税といったメリットはありますが、今後の資産価値も含め情報収集をしながら慎重に考えた方がよいかもしれません。

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著者紹介

不動産投資塾編集部
不動産投資塾編集部

投資への関心が高まる中で、高い安定性から注目を集める不動産投資。しかし不動産業界の現状は残念ながら不透明な部分が多く、様々な場面で個人投資家様の判断と見極めを要します。一人ひとりの個人投資家様が正しい知識を身に付け、今後起こり得るトラブルに対応していくことが肝要です。私たち一般社団法人首都圏小規模住宅協会は、投資用不動産業界の健全化を目指す活動の一環として本サイト「不動産投資塾新聞社」を介し、公平な情報をお送りいたします。

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