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【タワマンが売れない!? 売り時を逃さないために原因を徹底解明】

目次

2000年代に爆発的に増えたタワーマンション。20階建を超える高層マンションを見上げる人々の中には、タワマンに憧れている人もいることでしょう。ただ、タワマンに住んでいることで社会的ステータスが上がり、羨望の眼差しを送られるというストーリーは、徐々に綻びを見せ始めました。

2019年10月に日本列島を襲った台風19号による武蔵小杉のタワマンの浸水被害があり、2020年に新型コロナウィルスが大流行したことでテレワークが導入され、タワマン居住の不便さが取り沙汰されています。今後タワマンの需要が下がることで、建物が売れず、将来的に廃墟になる可能性すら考えられます。タワマン所有者は、どうすべきなのでしょうか。

タワマンが売れない理由

タワーマンションは都心を中心に爆発的に増え、特に海外投資家が投資対象として注目したこともあり、人気を集めました。2020年に東京オリンピックが開催される予定(新型コロナの影響により1年延期予定)もあり、好景気や不動産価格の上昇に期待をした投資家も多いのはないでしょうか。なぜここに来てタワマンが売れなくなっているのか、その理由を以下にまとめました。

価格の高騰

タワーマンションはそもそもの価格が高い傾向があり、買い手のほとんどは富裕層です。高年収の中流階級層も少し背伸びしたら購入は可能ですが、実際のオーナーはお金持ちと呼ばれる方々が中心です。中でも海外投資家や相続税対策目的の国内富裕層からの注目度が高く、タワーマンション に対する課税強化が行われるまでは多く売れていました。しかし、東京オリンピック開催で建築費や地価が上昇し、タワマンの価格が高騰したのです。価格の高騰が原因で、タワマンの販売数は激減しています。

マンションの過剰供給

不動産経済研究所が発表した、超高層マンション動向2020によると、2020年以降で10.3万戸の高層マンションの建設・計画が予定されています。マンションは売れないのに、タワマン建築は増えるばかりで、供給過多が起こっているのです。日本は少子化により人口が減少しているのは誰もが知る事実ですが、この住宅の過剰供給により建設されても買い手がいない状況になってしまうのです。

国税庁によるタワマン課税強化

国内富裕層がタワーマンションを購入することで、相続税対策となる節税スキームが流行しました。それを問題視した国税庁が平成29年の税制改正を機に、高層階の住戸になるほど固定資産税評価額が高くなるように設定したのです。相続税対策で需要が高まったタワマンでしたが、この課税強化により富裕層は購入に慎重にならざるを得ませんでした。

税制改正による固定資産税の見直しでは、改正前の2018年以前に建てられたタワマンの低層階と、2018年以降に建てられたタワマンの高層階が売れにくい状況が考えられます。

莫大なコストが予想される大規模修繕費

通常、マンションでは15年に1回のペースで大規模修繕が実施されます。タワマンも同様ではありますが、タワマンの場合は大規模修繕の例が少なく、莫大な修繕費用がかかることも問題です。実例が少ないということは、建築業者にも経験やノウハウが蓄積されておらず、どの建築業者も割高な工事費を見積もるしかなく、結果的に修繕費用が高額になってしまうということです。

大規模修繕が実施されないと資産価値も保てず、売りづらいという負のスパイラルに陥ってしまいます。また、タワマンの販売を行うデベロッパーが修繕積立金を工事実費以上に安く設定して販売していることは珍しい話ではなく、いざ修繕の検討をするフェーズに入ったときに積立金が足りずに追加徴収を求められる、ということも起きているのです。

タワマンを売却するときの心構え

これから、大規模修繕を実行できないタワマンは資産価値が下がるのは間違いありません。また、前述のように修繕費を想定外に追加徴収されることになれば、住民は次々に退去していくことが予想できます。特に購入価格が通常のマンションに比べると桁違いに高いこともあり、売却に失敗したら大きな損害になることは覚悟しなければなりません。次に、タワマンを売却するために頭に入れておきたい心構えを解説します。

売りに出す時期を見極める

タワマンに限らず、一般的に不動産には売れやすい時期と売れにくい時期があります。では、売れやすい時期とはどのような時期を言うのでしょうか。それは、「同時期に近しい物件を売るライバルがいない時期」と「人が引越しなどで動きやすい春と秋の時期」を狙うことです。「同時期に近しい物件を売るライバルがいない時期」について、同じマンションから複数の部屋が売りに出されていると、当たり前ですが比較したときに安い方が売れます。

また、同時期に同じマンションから同じような物件が売り出されていることで、何かマイナス要因があるのではないかと勘繰られる可能性が高まるので、不動産ポータルサイトで同じマンションを売りに出している人がいないかをチェックしましょう。

査定は複数の不動産会社に依頼

前述の理由からタワマンは現在かなり売れにくい状況のため、1社の見積もりだけを鵜呑みにして売却すると損してしまう可能性があります。実際、売却査定には不動産会社の営業マンの主観も含まれるため、不動産会社によって査定額に差が出てしまいがちです。コロナショックによる給料の減額などが要因でローン返済が苦しい場合はなおさら、少しでも高い金額で売れるように複数社へ査定を依頼しましょう。

また、売却物件が2018年以降の新築物件である場合、低層階は固定資産税の見直しにより減税されているため、お得な部分をしっかりとアピールするようにしましょう。

売却時期を考えよう

憧れの住まいだったタワーマンションですが、将来は廃墟化すら危ぶまれており、タワマンブランドは今後崩壊していくことが予想されます。売却時期を見誤ると、損するのは売主であるあなた自身です。特に東京オリンピックが終わると値崩れが始まることも十分に考えられるので、「後悔先に立たず」とならないためにも売却時期を見定めて行動しましょう。

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著者紹介

不動産投資塾編集部
不動産投資塾編集部

投資への関心が高まる中で、高い安定性から注目を集める不動産投資。しかし不動産業界の現状は残念ながら不透明な部分が多く、様々な場面で個人投資家様の判断と見極めを要します。一人ひとりの個人投資家様が正しい知識を身に付け、今後起こり得るトラブルに対応していくことが肝要です。私たち一般社団法人首都圏小規模住宅協会は、投資用不動産業界の健全化を目指す活動の一環として本サイト「不動産投資塾新聞社」を介し、公平な情報をお送りいたします。

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