不動産投資の最新動向
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2020年12月28日(月)
「家を売ってください」と連絡してくる不動産業者の正体とは?
「手持ちの不動産を売ってください」——地上げ屋から突然そのような連絡がくれば、経験がない人にとっては、喜び勇んで売却の意志を固めてしまうかもしれません。まるでバブル期の話のようで、いまどきそんなことがあるのか、と思われることでしょう。
しかし、不動産投資塾の取材によれば、地上げ屋はいまだに存在し、突然のアプローチを受ける不動産オーナーは後を絶たないようです。
不動産を売却してほしいという突然のアプローチの実態を解説します。
連絡してくる業者は何者なのか
「家を売ってください」と突然連絡してくる業者は、2つのタイプに分類できます。
不動産の仲介業者
不動産の売買を仲介する業者です。この種の業者が求めているのは、「売り物件」の仲介(=「売り仲介」)です。
売り仲介の案件をゲットできれば、買い手からだけでなく売り手からも仲介手数料を得られるので、手数料収入が2倍になる「両手仲介」を実現できるからです。
しかし、良い売り物件は、不動産業者専用のデータベースであるレインズに出てから動いたのでは、同業者が先に目をつける可能性が高いです。したがって、他社より先んじるために、不動産オーナーに直接アプローチをするようです。
不動産売買業者
自社で物件を売買する業者です。
この種の業者がアプローチをかける背景には、売買業者は仲介業者に比べて、一つひとつの取引がハイリスク・ハイリターンであるという事情があります。
仲介手数料は、両手仲介でも、一つの取引で売買価格の10%程度しか得られません。しかし、自社売買の場合は、安く物件を買って高く売ることで、利益をいくらでも吊り上げることができます。
しかしその分、売買業者は一つの取引でしくじっただけで、多額の負債を抱えて倒産することがありますし、売り物がなければ売上はゼロ。そのため、売り物件の仕入れに関しては必死です。
そのため、売買業者は、オーナーに無理やり物件を売らせようとする傾向が高いといえます。
業者は、どのように地主の個人情報を手に入れているのか?
「不動産を売ってください」というアプローチを受けたオーナーにとって気になるのは、業者が一体どのように自分の個人情報を手に入れたのかということでしょう。
オーナーの連絡先を入手するには、次のような方法が考えられます。
謄本を見る
日本にあるすべての不動産には謄本というものがあります。不動産情報のすべてを記載した謄本は、法務局に行けば誰でも閲覧することができます。
謄本には、所有者の現住所などが記載されているので、謄本を見ればオーナーにアプローチすることが可能です。
不動産業者から突然連絡が来た場合、それは業者があなたのもつ活用していない不動産を街で見かけたりして興味をもち、謄本を調べた可能性があります。
直近の成約事例をリサーチする
マンションの場合に多い方法です。
不動産業者が、マンションの管理人などから住人の個人情報をこっそり聞き出し、売却ニーズの高そうな物件のオーナーにアプローチする方法です。
管理人から聞き出さなくとも、マンションの成約事例は、レインズを見ればわかります。レインズから持ち主のいる周辺の部屋を割り出し、ローラー作戦をかける業者もいます。
いまだに存在する「地上げ屋」とは?
上記で述べた仲介業者や売買業者は、いわゆる「地上げ屋」です。
通常、売り物件を探す不動産営業マンは、情報力のある大手不動産会社を接待するなどして強いパイプを築き、レインズ公開前の情報を入手することを狙います。
しかし、オーナーへの直接アプローチという地上げ屋的手法をとる会社も、いまだに存在するのです。
地上げ屋は悪徳?
「地上げ屋」という言葉を聞くと、すぐに反社会的勢力を連想する人は多いでしょう。
しかし、オーナーに対して地上げの交渉を直接申し入れてくるからといって、悪人であるとは限りません。オーナーからすれば、納得のいく価格で物件を買ってもらえるのであれば、地上げ屋に売っても特に問題ないわけです。
地上げ屋的手法で売り物件を集めている業者は、知名度や情報力のない小さな業者がほとんどです。その質は玉石混交で、なかには悪徳業者が混じっている可能性も充分にあります。
反社会的勢力である可能性は?
現代の不動産売買契約には、基本的に「暴力団排除条項」が入っています。つまり、法的に考えれば、反社会的勢力は不動産を購入できないということになります。
しかし、その業者が暴力団との関係を隠したフロント企業であったり、半グレ(警察から暴力団としての認定を受けていない暴力集団)の企業であったりする場合、暴排条項をすり抜けてくるかもしれません。
突然オーナーにアプローチしてくるような業者は、事務所を持たないような零細業者である可能性も高く、信用できるかどうか、非常に疑わしいものがあります。
実際、不動産投資塾が取材した現役買取営業マンは、「なかには、地主に嫌がらせをして、強引に物件を仕入れる営業マンもいる」と語っています。
業者の話を安易に鵜呑みにしないこと
以上、「不動産を売ってください」と突然アプローチしてくる業者の正体について、取材をもとに解説しました。
オーナーに直接連絡してくるからといって、悪徳業者とは限りませんが、その申し出を検討するなら、事前に大手不動産会社に売却価格の査定を依頼するなど、綿密に準備したうえで検討することをおすすめします。
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著者紹介
不動産投資塾編集部不動産投資塾編集部
投資への関心が高まる中で、高い安定性から注目を集める不動産投資。しかし不動産業界の現状は残念ながら不透明な部分が多く、様々な場面で個人投資家様の判断と見極めを要します。一人ひとりの個人投資家様が正しい知識を身に付け、今後起こり得るトラブルに対応していくことが肝要です。私たち一般社団法人首都圏小規模住宅協会は、投資用不動産業界の健全化を目指す活動の一環として本サイト「不動産投資塾新聞社」を介し、公平な情報をお送りいたします。