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だまされるな! 物件購入時に不動産会社がつくウソ

目次

投資用不動産を購入する際、当然ながら不動産会社に説明を受けて物件を選ぶことになります。しかし、不動産会社には気をつけてください。物件を売るため、営業トークに「ウソ」が潜んでいる可能性があるからです。不動産会社のウソを見抜くための知識を解説しましょう。

偽りの高利回りに要注意

まず前提として、物件の重大な瑕疵を隠したり、偽ったりして物件を売るのは犯罪です。不動産会社がついてくるウソとは、「ウソとは言い切れないけど誤解を招くこと」や、ちょっとした微妙な隠し事です。

不動産会社は自分の売りたい物件を「高利回りです」とアピールし、収支シミュレーションを見せてセールスしてきます。注意したいのは、不動産会社のシミュレーションは本当に信用できるのか、ということです。

よくあるのが、賃料を高めに「盛っている」ケース。中古物件であればレントロールを見せてもらったり周辺の相場を調べたりすればウソを見抜けますが、危ないのは持っている土地にアパートを新築するようなケースです。

引っ越す物件は必ず新築がいい、という入居者は一定数いるので高めの家賃でも入居は決まるかもしれませんが、最初の入居者が退去すればそれだけで物件は中古になるので、家賃を下げなければいけないかもしれません。

中には、新築から築30年たっても家賃がまったく下がらない想定で計算しているようなケースもあります。ウソでないならば見込みが甘すぎるでしょう。そんな会社は投資コンサルタントとして失格です。

また、融資を受ける金融機関について「うちはここと独占提携しています」と、一行しか紹介してくれない場合もあります。もちろん一行しか選べないはずはなく、金利が高くても審査が簡単ですぐに物件購入につなげられる金融機関を恣意的に絞り込んでいるわけです。

不動産投資には融資の金利が非常に大きく影響しますから、必要であれば自分でメガバンクを回るなど、少しでも低い金利で借りることにこだわった方がいいでしょう。

ウソではない隠し事

また、気を付けたいのはウソだけではなく、隠し事です。たとえば多いのは、築古の中古物件で、計算上の利回りは高いけれども実際に運営すると非常に修繕費がかさむ、というケースです。

たかだか修繕と甘く見ていても、物件が古くなるほど修繕費用は高くなります。たとえば一棟丸ごとの配管が老朽化して交換工事すると、数百万円がかかってしまう場合もあるのです。エレベーターや給水ポンプなど、設備自体が高額なものが壊れてしまうのも悲惨です。

特に機械関係は、必ず建物より早く寿命がやってきます。築古物件を購入する場合、将来かかってくるコストを細かく詰めて利回りを計算することが必須なのです。不動産会社が親切に、「修繕コストはこれぐらいかかる」などと教えてくれることはありません。

他に、環境的にまずい部分があるのを隠されるケースもあります。たとえば、夜の車通りが多すぎて住民が眠れない物件である、非常に迷惑な行いをする周辺住民がいて入居者がすぐ出て行ってしまう物件である、いわく付きの地域で地元民の入居者はつきにくい……といった情報が隠されていたことが、投資家への取材で事例として上がってきています。

ここまでいくと不動産会社が隠しているだけでなく、担当者自身が知らない場合もあるでしょう。可能であれば昼間や夜間、土日など何度かにわたって物件を見に行くなどしてもいいかもしれません。

疑う目が重要

不動産会社は、商売で物件を売っています。また、担当者がみな完璧な知識を持つプロで、勧めてくる物件について知り尽くしているわけではありません。むしろ、特に仲介物件の場合は様々な物件を同時に取り扱っているので、一つひとつの物件について細かいことは知らないことのほうが多いでしょう。

投資家としては、「不動産会社の言うことはアテにならない」という前提を持ったほうがいいでしょう。資料で説明してくれているからその通りだろう、何も言わないからたぶん大丈夫だろう、という思い込みで物件購入を決めるのが一番危険。後になってから「話が違う!」と怒ったところで、重大な瑕疵を偽っていたのでない限り不動産会社の責任は認められません。原則的に投資家の自己責任です。

もしかしたらだまされているかも、という疑いの目で見るくらいでちょうどいいでしょう。

適切な確認を

とはいえ、物件を購入するのであれば不動産会社との信頼関係は重要です。優秀な担当者と継続的な付き合いができれば、長期にわたって不動産投資をするうえで大きなメリットになります。疑ってかかる態度を丸出しにしても信頼関係を損なうので、必要な部分を適切に確認しつつ、物件購入を判断してください。

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著者紹介

不動産投資塾編集部
不動産投資塾編集部

投資への関心が高まる中で、高い安定性から注目を集める不動産投資。しかし不動産業界の現状は残念ながら不透明な部分が多く、様々な場面で個人投資家様の判断と見極めを要します。一人ひとりの個人投資家様が正しい知識を身に付け、今後起こり得るトラブルに対応していくことが肝要です。私たち一般社団法人首都圏小規模住宅協会は、投資用不動産業界の健全化を目指す活動の一環として本サイト「不動産投資塾新聞社」を介し、公平な情報をお送りいたします。

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