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不動産投資での節税は嘘!? 陥りがちな落とし穴

目次

「不動産投資には節税メリットがある」というのは、投資用不動産を販売する営業マンがよく使う売り込みの常套句です。しかし、不動産投資での節税については過大な期待を持たせる説明をしているケースが少なくありません。物件を購入してから「アテが外れた」となりがちな、節税の落とし穴について述べていきましょう。

なぜ、不動産投資で節税できるのか

不動産投資によって節税できるのは、大きく以下の3つの仕組みによるものです。

減価償却

不動産は、建物を購入した際の価値が耐用年数に対して一定の割合で毎年減っているものとして会計上の計算がされます。
価値の減少分は「減価償却費」として実際のキャッシュ支出を伴わない経費になり、これをサラリーマンの本業所得と合算して所得税と住民税を軽減することができます。

経費支出

不動産投資にかかる諸費用や管理会社への委託料、また物件の見回りにかかる交通費や勉強用の書籍代金、不動産会社との打ち合わせ費用などは賃貸経営の事業上の経費として計上することができ、その分の所得税と住民税を減らすことができます。

評価減

相続税と贈与税を課税する場合、資産の額面上の価格や実勢価格(実際に取引される価格)ではなく「相続税評価額」という金額に対して課税がされます。

現金の相続税評価額は金額と同じ100%ですが、不動産の場合はこれが50〜70%程度になるのです。特例によってさらに評価額が低くなる場合もあります。

税金計算のもととなる金額自体が減少することで、相続税と贈与税が軽減されるのです。

以上が不動産投資で節税になる仕組みで、軽減される税金は所得税・住民税・相続税・贈与税の4つです。

逆にいうと、不動産投資に上記以外の節税効果はないということをまず頭に入れておきましょう。最低限、これらの仕組みをきちんと説明できない不動産営業マンはまず信用できないと考えられます。

節税の落とし穴とは?

不動産投資で節税ができるのは事実です。

しかし、節税メリットに期待しすぎたり、リスクを見落としてしまったりしたがために思わぬ落とし穴にはまってしまうケースが後を絶ちません。

代表的なのは、以下のようなものです。

落とし穴①思ったほど経費が計上できない

小規模な賃貸経営における事業上の経費は、税務署からも厳しくみられがちなものの一つです。

「どんなものでも経費にできる」という営業担当者のトークを鵜呑みにして、サラリーマンでも自分の生活費を存分に経費にできると思っている人が多いからでしょう。

たとえば、不動産に関係のない書籍やセミナーの費用、回数の多いタクシーの費用、飲み代、スーツ代、旅行代などを経費で落としたがる人は多いですが、小規模な賃貸経営しか個人事業をやっていない場合にこれらが経費として認められるケースはあまり考えられません。

パソコン代や通信費、家賃の一定割合を業務使用分として経費にしようという指南も一部で見られますが、税務署に認められる確率は低いようです。

落とし穴②そもそもキャッシュフローが赤字である

減価償却によって賃貸経営を赤字にして本業の所得と通算すれば、不動産投資をやっていないのと比べて所得税・住民税が低くなり、確定申告によって還付を受けられます。

これ自体は不動産投資の大きなうまみですが、赤字にすることばかり気にして、肝心のキャッシュフローが悪すぎることを見過ごしてしまう投資家が少なくないのです。

家賃収入できちんと利益が出ないということは、そもそも購入時に高く買いすぎだということで、売却の際に大きな損を出すリスクがあります。

たとえ税金還付によって一時的に所得が増えた感覚を得られても、トータルで損をしたら意味がありません。物件を購入する際には減価償却費と売却益も含めて綿密に計算してからにしましょう。

落とし穴③相続・贈与でトラブルになる

不動産の相続税・贈与税の節税効果は、ときには税額ゼロになるほど大きなものです。相続税軽減の効果を狙って、死亡直前になってから資産をすべてタワーマンションなどの節税効果の大きな不動産に買い換える人もいます。

しかし一方、不動産は相続人(財産を受け継ぐ人)の間での分割が難しい資産でもあります。不平等が生じやすく、相続人によっては遺産を受け継いだはずなのにむしろ多額の出費を強いられた、といった状況が起こりやすいのです。

遺産分割に困って兄弟の共有名義にすることも多いですが、これも後の建て替えや売却の際にトラブルの火種に。親心で節税を狙ったつもりが家族で揉めて逆効果、ということになってしまいがちなのです。

節税の仕組みと限界を正しく理解する

不動産投資で節税ができるのは事実です。ただし、節税効果には限界があり、デメリットやリスクもあることは知っておくべきでしょう。正しい知識を持ったうえで、購入する物件と購入価格を慎重に吟味してから不動産に投資してください。

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著者紹介

不動産投資塾編集部
不動産投資塾編集部

投資への関心が高まる中で、高い安定性から注目を集める不動産投資。しかし不動産業界の現状は残念ながら不透明な部分が多く、様々な場面で個人投資家様の判断と見極めを要します。一人ひとりの個人投資家様が正しい知識を身に付け、今後起こり得るトラブルに対応していくことが肝要です。私たち一般社団法人首都圏小規模住宅協会は、投資用不動産業界の健全化を目指す活動の一環として本サイト「不動産投資塾新聞社」を介し、公平な情報をお送りいたします。

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