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『融資地獄』連載

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【第14回】損する収益不動産とは? 「キケンな物件」の条件

目次

現実とかけ離れた「満室想定賃料」

今回のテーマは、物件の良し悪しを決める条件です。収益性を見るためにはどこを見るか、損をしないために注意するところはどこか。そのような視点から物件購入時の条件や契約について考えてみます。
 
まずは物件の購入を検討するときにどこを見るか、です。
「満室賃料」という言葉があります。これは、文字通り満室だった時にいくらの売り上げになるかを表すものなのですが、実はほとんど参考になりません。なぜなら、物件の資料には「満室想定賃料」と書かれているケースがほとんどで、不動産会社が独自に「想定」しているものに過ぎず、きちんとした根拠がないからです。
 
そもそも満室になるかどうかわかりません。家賃が「想定」の金額になるかどうかもわかりません。不動産業者のなかには、半年間の満室保証を売りにして販売している業者もありますが、想定した家賃で入居が付かない場合もありますし、そもそも半年過ぎたあとのことはわかりません。

つまり、満室想定をベースとする表面利回りはまったくアテにならなくなるのです。複数の物件を持つ場合、家賃が数千円安くなるだけでも収益へのダメージは大きくなります。「満室想定賃料」をどのように計算し、どれくらい現実的な数字なのか疑う必要があります。

ヤバすぎる「サブリース契約」依存

収益を得るための仕組みとして、損しやすいのはサブリース契約です。
 
サブリースの問題点についてはすでに周知されるようになりましたが、重要なのは、サブリース契約が、そもそもオーナーにとって不利な契約であるということです。
 
例えば、オーナーから見ると、契約したサブリース賃料で長期で借りてくれるのが魅力です。しかし、契約そのものが「30年一括借り上げ」といった長期のものでも、賃料に関しては、たいてい「2年ごとに家賃を見直す」といった内容が契約書に記されています。

サブリース会社としては賃料減額の交渉をするのが当たり前で、大手と呼ばれる会社の中には、交渉によって減額した賃料を社員の成績に反映していることもあるのです。減額交渉に反対すれば、サブリース契約を解除しますと言われるでしょう。サブリース会社は、オーナーが長期で安定的に家賃収入が得られることに大きなメリットを感じているとわかっています。わかっているからこそ、それを盾にして減額交渉に臨んでくるのです。
 
仮に減額に応じなかったとしても、物件の魅力がなければ空室になります。減額すれば収益が減り、減額しなくても収益が減るのがサブリース賃料の更新で、どちらに転んでもオーナーには不利になるのです。
 
また、サブリース会社は契約を解除しますと言えますが、オーナーからサブリース契約を解除するのは至難の業です。なぜなら、サブリース会社は借地借家法で守られている入居者側の立場にあるからです。この関係性があるため、オーナーの立場は弱くなりやすく、物件を売却したい時などにも自由度が制限されます。

空室が埋まらない「訳アリ」物件

サブリース契約が流行った背景の1つは、オーナーが空室リスクを抑えたいと思うからです。
 
では、なぜ空室になるのでしょうか。主な理由は、物件の魅力(商品力)が弱いことです。
 
例えば、駅から遠い、部屋が狭い、近くに似た物件がたくさんある、設備が古い、間取りが悪い、住民の質が悪いといった問題は商品力に関わることです。自分の物件が現状として空き家になっている場合、その原因もおそらく上記の理由の中にあるはずです。
 
まずは原因を突き止め、解決できるかどうか考えてみましょう。解決できるのであれば、どんな手段があり、どれくらいの費用がかかるかを考えます。
 
実は、商品力に関わる要素は自力では変えられないものがたくさんあります。前述した条件の場合、駅から遠い、部屋が狭いといった条件は変えられませんし、近くに似た物件がある環境も変えられません。
 
このような場合、空室を埋めるには家賃を下げるしかありません。駅近の物件より安くてお得、狭いけれど安いといった価格面での強みを作って、他の物件と競争するということです。
 
一方、設備が古い、間取りが悪いといった原因はリフォームや設備交換などによって解決できます。物件への投資費用はかかりますが、長い目で見れば家賃を下げるより収益の安定化につながることが多いため、商品力を高めて入居に結びつける方法を考えてみると良いと思います。
 
入居者の問題については法的な手続きが必要になる場合があり、非常に難易度が高い問題といえます。このリスクを避けるために、入居者を審査したり、すでに入居者がいる中古物件の場合は購入時するときに慎重に検討することが重要です。

急な修繕の発生を想定していない家賃設定

家賃設定については、相場内で競争力を保てる価格にすることと、急な修繕に対応するためのキャッシュをプールできるようにしておくことが重要です。
 
物件は経年劣化しますので、定期的に大きな修繕費がかかります。また、経年劣化とは別に、電気・ガス・水道などインフラ周りが故障したり、雨漏りや水漏れが発生することもありますし、複数の物件を持っている場合、何戸かの入居者が同時期に退去することにより、まとまった額の原状回復工事の費用がかかります。

このような出費に対応するために、家賃設定は相場を踏まえつつ、同時に、月々の家賃収入で修繕費を貯めていけるようにしておくことが重要です。

「負動産」を買ってしまう人の特徴

物件は、不動産投資で収益を手に入れるための稼ぐマシーンです。優秀なマシーンほど多くの収益を生みますから、マシーンの条件を吟味するのは投資家として当たり前のことです。
 
ところが、実際には条件を細かく見ずに購入してしまう人がいます。そのような人たちには、以下のような特徴があります。

・物件を直接見ずに買ってしまう
・「サブリースだから」という理由で安心し、賃料相場を調べない
・赤字になりやすい新築区分物件を買ってしまう
・複数の不動産会社に相談しない
・特定の不動産会社やコンサルタントの言うことを鵜呑みにする
・不動産投資に興味がなく、1カ月程度の短期間で購入を決めている

 
どれか1つでも当てはまる人は、いま一度、買おうかどうか検討している物件を細かく調べましょう。見る、聞く、調べるといった手間がかかる作業を避けたり、「良さそうだから買う」「勧められたから買う」といった理由で安易に買った人のなかに、うまくいった人はいないのです。 

著者紹介

不動産投資塾編集部
不動産投資塾編集部

投資への関心が高まる中で、高い安定性から注目を集める不動産投資。しかし不動産業界の現状は残念ながら不透明な部分が多く、様々な場面で個人投資家様の判断と見極めを要します。一人ひとりの個人投資家様が正しい知識を身に付け、今後起こり得るトラブルに対応していくことが肝要です。私たち一般社団法人首都圏小規模住宅協会は、投資用不動産業界の健全化を目指す活動の一環として本サイト「不動産投資塾新聞社」を介し、公平な情報をお送りいたします。

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