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「アパート・マンション経営の専門家」大長伸吉の不動産投資、成功の法則

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本当に現在銀行融資は厳しいのか? その実態とは

目次

不動産投資を始める際、銀行からの融資は、大半の事業主にとって必要なものです。
しかしながら、2018年は、「かぼちゃの馬車問題」「スルガ銀行の不正融資問題」「レオパレスの不正建築問題」など、投資不動産に関するトラブルが多発しました。

そのため、2019年の上期銀行は投資不動産において融資を一気に引き締めました。これは、ニュースや情報サイトでも話題になっています。
そこで今回は、銀行融資の実態を解説していきます。

2019年上期の銀行融資の現状

銀行からの融資が得られない

メガバンクはこれまで高年収のサラリーマン向けに何十棟もの融資を出していましたが、年初のあいさつで「新規のサラリーマンさんには融資を出しません」とコメントがありました。
新規融資だけでなく、今まで付き合いのあるオーナーさんについても「昨年までとは違い、融資は厳しくなります。基本的に融資を出せないと思ってください」という言葉もありました。

各銀行や信金ごとに融資の姿勢が異なる

昨年(2018年)までは、収益不動産の融資に積極的だった銀行や信金も、今年に入ると融資に消極的となっています。2019年の上期は融資をまったく出していないという銀行もありました。

地主さんでも得られない事例
東京の一等地に不動産を持っている地主さんでも安泰ではありません。
以前は、抵当権のない土地を持っている地主さんは、自己資金を準備していなくても銀行は積極的でした。以前であれば東京の一等地に不動産を持つ地主さんの場合は、どの銀行も融資を出し、その中で融資条件の良い銀行を選ぶという状況でしたが、今年に入り、事業計画やエビデンスを丁寧に準備したうえでも融資をしない銀行が出てきました。
結果として、融資を出してくれる銀行が見つかりましたが、以前とは状況が変わってしまったと言えます。

土地を現金で購入しても、建物費用が得られない事例
東京都内の土地を現金で購入するために、土地価格分の現金を口座に用意しました。そして、建物費用の融資を依頼しました。
そのオーナーさんは、土地代金以上の金額が証明できるエビデンスとして、銀行通帳も銀行に提示しています。

しかしながら、某メガバンクと信用金庫からの回答はNGでした。さらにこの事例では「勤め先が上場会社などで収入が安定していれば融資を出すことができたのですが」とのコメントがありました。

また、土地代金全額分の自己資金は準備できないが、事業計画の総費用の3分の1は準備できると説明をした上場企業の会社員さんの場合もNGでした。銀行からは「土地代分の自己資金があれば、融資を出すことができたのですが」とコメントされました。

上記の事例はいずれも、2017年や2018年の前半はその同一銀行から融資が出ていました。しかし2019年に入り、融資を得ることが厳しくなっている様子がうかがえます。

実績のあるオーナーの事例
大手メガ銀行でも、以前に収益不動産の借り入れがあり、返済が数年間続いている場合は、銀行は相談にのってくれます。
以前よりは融資額が減っています(自己資金比率が多くなっています)が、融資の相談をする価値はあります。

サラリーマンに向いている融資、サラリーマン専門の融資オリックス銀行の事例
オリックス銀行は、収益不動産の融資に理解があるといわれています。では、サラリーマンではない方に対しては融資をしてくれるのでしょうか。
すでに土地を所有している地主さんと、事業計画用地を減額自己資金で購入しようとしている事業主さんから話を聞きました。     

結果はこれらの2件とも、オリックス銀行から断られました。理由として、「今は高所得のサラリーマン向けの収益不動産融資を行っていますが、地主さんや事業主向けには相当有利な事例でも融資を出していません」とのことでした。

信金ごとの事例
都内の信金では、アパートローンへの対応に差が出てきています。
A信金は、少額などの融資の事例があるケースや以前より口座があり給与や公共料金での利用実績があるケースなどは相談に応じてくれますが、初めての顧客への融資は厳しくなっています。

B信金は、地主であり自己資金がある超優良依頼者にのみ融資を出しています。
C信金は、支店が近い土地で一定の担保価値と収益性とオーナー属性ならば相談にのってくれます。
D信金は、アパートローンの対応はしていませんが、住宅ローンでの賃貸併用受託の相談を受け付けています。
E信金は、2019年は少額でもほとんどアパートローンの融資相談を受けていません。

2019年は状況が改善されているかも?

銀行は毎月ごとに融資条件が変わることが多々あり、これまであげた事例が今後のすべての傾向を示しているわけではありません。
2018年の銀行融資問題の影響があり、2019年の上期は融資が厳しかったとは思われますが、2019年の下期の予想を断定しているのではないのです。
「融資姿勢を改善し始めます」とコメントしている銀行もあり、今後、ご自身で決めつけたり、諦めてしまったりせずに、銀行に渡会早生をすることをおすすめします。

銀行も運営に苦戦

5月21日の日経新聞に「三菱UFJ銀行が2023年度までに約180店舗(2017年末時点5
15店舗)を削減する」との記事があり、4月17日の日経新聞には、「日本銀行が発表した金融システムリポートでは、10年後の2028年に地方銀行の約6割が最終赤字になると試算されている」という記事が出ています。

特に地方では、人口減少と景気の低迷および低成長のため、銀行自体も運営が厳しい状況になるとのことでした。
そのため、収益性と担保価値に十分余裕のある不動産事業計画でなければ、銀行が不動産に融資を出せないという状況も、今回の融資の引き締めにつながっているようです。

銀行自体の収益を出すためには、優良な事業に対して、融資をすることで、その金利が利益になります。
しかし、日本の景気が低迷していることから、優良な事業がなかなか見当たらないことが課題となっています。優良な事業であれば不動産であっても、融資の検討をしてくれる銀行がまだまだあります。

同じ敷地で同じ建物であっても、自己資金をより多く出せる事業者と自己資金を出せない事業者では、銀行が抱えるリスクはまったく異なります。
銀行は自社の利益だけを考えているわけではありません。銀行としても、無理に融資を出して、その事業主が破綻することは望んでいません。より良い不動産賃貸事業とするためには、自己資金をより多く準備して、銀行に融資を依頼することが有効です。

また、将来は人口が減少することが予想されているため、将来的にみて地方での賃貸経営は大きいリスクと見ています。銀行の事情に限らず、事業主にリスクを負わせないためにも融資を断っているというケースもあります。

融資を受けられる対策

都心で賃貸併用住宅を持つポイント
住宅ローンは、大手銀行でもまだまだ融資の相談にのってもらえます。
低金利でも35年間の借り入れができ、毎月の負担が少ないと言えます。ただし、自宅部分の床面積は、建物の総床面積の50%を超えなければなりません。このルールにより、賃貸として考えられるのは、自宅+2賃貸または1賃貸(まれに3賃貸)が想定される建物規模です。

また、住宅ローン控除は、自宅部分の床面積が50㎡以上です。さらには、住宅ローンの融資額は、およそ年収の5倍から7倍と言われていて、まれに条件が良いときには8倍の融資を得られたという事例もあります。
サラリーマンや事業主などに対して銀行がアパートローンを引き締めている現状では、住宅ローンで許す範囲での賃貸併用住宅を取得しようとする動きが増えています。

さらに都心ではないと融資が難しく、都心の不動産には担保価値があるとされています。
銀行は以前にも増して、融資エリアの絞り込みが厳しくなっており、東京でも23区内と23区以外では若干差があります。東京の隣の千葉や埼玉から東京に近いエリアでもさらに厳しい審査になるといわれています。

まとめ

日本の景気の低迷や将来的な人口減少などの影響で、根本的に銀行自体も運営に苦戦しているのは、支店や銀行員の削減計画からもわかります。
銀行が不良債権を抱えることは決して許されない状況なのです。そのような中、2018年には不動産融資に関わる複数の問題が発生しました。その結果、2019年の上期に不動産に関する銀行融資が厳しくなっていることは自然の流れとも言えます。

銀行は自社を守ることだけでなく、不動産事業主が失敗をしないためにも、堅実に融資審査をしている様子が垣間見れます。少額の自己資金で不動産を取得することは難しくなっています。

現在、融資が厳しくなっているということは、不動産賃貸事業についても、良い事業と悪い事業が明確に選別されている時期に来ていることを示しているのでしょう。より良い不動産賃貸事業とするためには、自己資金をより多く準備して、銀行に融資を依頼することが有効です。

以前は部屋数の多い大型賃貸物件を素人のサラリーマンが取得することがありましたが、これも事業計画に無理があったのかもしれません。収入源が本業だけということも、将来においては事前に資産つくりの準備をしていなかったことにもなり、リスクがあるという意見もあります。

「銀行融資が厳しい」という話を聞くだけで、不動産経営をやらないというのではなく、また、不動産投資に気持ちが熱くなりすぎて無理をしてもいけません。
不動産経営を勉強したり、自己資金を用意したりして、着実な計画を立てることが今後の不動産経営で成功することにつながるでしょう。

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著者紹介

大長 伸吉
大長 伸吉

ランガルハウス株式会社 代表、年金大家会 主宰。
生涯所得の1/3ほどの住まいにかかる出費をゼロにするために、賃貸併用住宅を活用して、サラリーマンや事業主をサポート。
千葉大学大学院工学研究科卒、新築及び中古1Rマンション、中古アパート、世田谷/北関東/多摩新築アパートなど各種の不動産賃貸業の経験をもとに、主にサラリーマンのアパート経営の支援。建築サポート実績127棟。通算2050人の聴講者と2450回を超える相談会にてサポートを継続中。著書に『サラリーマン大家の「クズ土地」アパート経営術』『王道アパート経営で「マイ年金」づくり』など
所持資格:宅地建物取引士、貸金業務取扱主任者、FP2級技能士

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