加藤隆が実際に体験した不動産投資の罠
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2019年2月25日(月)
ベランダ周りで増えるトラブル。どう対応すべき?
トラブルが起きやすいのが、ベランダ周り。
専用部分のように思えますが、ベランダは実は共有部分に分類され、それゆえに近隣の住民との問題なども多く発生します。
今回は、そんなトラブルへの対応を考えます。
専用部分・共用部分
私はこれまで宅地建物取引士(宅建士)・マンション管理士・管理業務主任者として、専門的な勉強をしてきました。
区分所有マンションにおいては、「専用部分」と「共有部分」に分かれます。専用部分とは、各区分所有者が所有している部屋の内部部分です。
共有部分は、各区分所有者が共同で利用するエリアです。具体的にはエントランス、廊下、エレベータ、屋上、駐車場などです。
その中で、ベランダは共有部分に含まれます。火災など非常時の際に、隣室の仕切りを壊して避難できるように備えられています。従って本来は障害物などを置いてはいけないものなのです。
ただし共用部分でありながら、専用で使用できるという建て付けであり、専用使用権はあります。
とはいえ避難に邪魔にならない程度に洗濯機や植物を置いたり、布団を干したりといったことはよくあります。避難ができないほどに、物を置くことは問題となるでしょう。
ベランダからの飛び降り自殺?
専用部分で孤独死し、腐乱化・白骨化等発見が遅れた場合や自殺・他殺などの事件が起こった場合は、賃貸・売却の際に心理的瑕疵物件として重要事項告知をしなければなりません。そうなると通常、賃貸料や売却価格は半額程度になってしまいます。
ところで、先に述べたようにベランダは共有部分ですが、ベランダから飛び降り自殺をしたら、この告知義務はどうなるのでしょうか?
ベランダは専用部分ではないですし、死亡した場所はマンションの外の地面になります。
しかし、一般常識の感覚からすれば、念のため伝えておいた方がいいような気がします。事実を知っていながらあえて黙っていたとしても、近所の噂などのきっかけで知ることになり、トラブルになるかもしれません。
喫煙問題
昨今は健康意識の高まりか不景気のせいか、喫煙率はどんどん下がってきています。喫煙率は30%を切ったようです。
煙草は吸っている本人以外の周りの人も、4分の1程度は吸っていることになるようで、副流煙の受動喫煙ともいわれています。
昨今は事務所や飲食店でも原則禁煙で、喫煙は喫煙コーナー・喫煙室のみで許されるようになっている場合が多いです。厳しいところでは、建物ごと全面禁煙の場合もあります。
また条例によって、歩き煙草が禁止されている地方公共団体もあります。煙草は匂いが付きますし、人に火傷をさせたり(特に、子供の目線に近く危ないです)、服を焼いたり、吸い殻が散らかったり、火災の原因になったりと、トラブルのもとになるからです。
私も知らないうちに、服やリュックサックに、煙草の焼け跡をつけられていたことがありました。
自宅だとしても、賃借物件だったら所有者に嫌われます。壁は黄色くなりますし、煙草での焼き焦がし跡がつくかもしれません。
最悪の場合、火災になることもあります。
火災の原因の順位としては、第1位:放火、第2位:煙草、第3位:電気事故と、煙草は第2位であり、事件ではなく事故としては第1位になっています。
賃借物件の場合は、退去する際、黄色い壁や焼き焦がしの跡を原状復帰として直さなければなりません。火災の場合は所有者に対して、債務不履行と不法行為に基づく損害賠償責任が発生します(所有者以外の第三者に対しては、失火責任法により責任は限定的なものとなります)。
自己所有物件の場合でも、家族の受動喫煙や臭い、部屋が汚れる、火事になるかもしれないといったデメリットやリスクがあります。
従って、デメリットやリスクを減らすためにも、ベランダか外で吸って欲しいというパターンが多いようです。
ところが、今度はベランダから臭いが外に漂い、吸い殻を外に捨てたり、近所を覗いたりなどで近所からクレームがきやすくなります。昨今、煙の出ない電子タバコなるものも登場していますが、これも独特な臭いが残ってしまいます。
ベランダに専用使用権があるといっても、あくまで共有部分ですから、ある程度は管理組合で喫煙を制限することは可能だと思われます。
また喫煙者にとって煙草代は結構な負担です。食料などの生活必需品ではなく贅沢品という位置付けなので、税率も7割と高価格です。イギリス・シンガポールなどにおいては、一箱千円以上もするような高価なものです。
しかもシンガポールでは、煙草のポイ捨てには数万円の罰金が発生します。
以上のように、喫煙は、本人・周りの人の健康に悪いうえにさまざまなリスクが生まれます。
今回は、喫煙者にはやや厳しい話となってしまいましたが、不動産経営を考えている、あるいは実践している方々は合理的な経済観のある方が多いと思いますので、喫煙者は少ないのではないかと思っています。
今回は、喫煙の経験のない非喫煙者の独り言だと思ってご容赦ください。
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著者紹介
加藤 隆加藤 隆
サラリーマンのままで、経済的・時間的・精神的自由を目標に、預貯金・外国為替・貴金属・株等の資産運用を経て、不動産経営歴31年。数々の失敗・バブル崩壊を生き抜き、リスク分散をモットーに、東京・博多・札幌・名古屋・京都・小樽・千葉に、区分所有マンション・一棟物アパート・一棟物マンション・戸建等、物件108戸を運営。総資産7億円・借入5億円・自己資本2億円、年間家賃収入4,100百万円・借入金返済3,100万円・キャッシュフロー1,600万円。節税で、所得税・住民税ゼロ。