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星野陽子の金持ち母さん投資術

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物件購入後に収入を増やす10の方法

目次

不動産投資において収入が減ってしまう要因として、空室や家賃下落といったことは予め予測しているものです。しかし、中には予測不能な事態が起きてしまうことも現実。今回は収入減少の対策をお伝えいたします。

物件購入後に収入が減ってしまった!

不動産投資は、家賃の変動幅や金利の変動幅が大きくないので、シミュレーションしやすく、物件購入時にその投資が成功かどうかは、おおよそわかるものです。

なので、物件購入後の状況はある程度予測するものなのですが、予測できなかったこともありました。具体的には以下のように悪くなっていくことがありました。

<予測していたこと>

・物件を購入してから家賃は下落傾向(とはいえ、家賃は株価のように急激に下がるようなことがないのが、不動産投資のメリットのひとつです)

・物件の屋上についていた携帯電話会社のアンテナ設置による収入は月に約15万円だったのが約9万円へダウン(契約解除も予測していたけれど、実際に減額となるとショックでした(笑))

<予測していなかったこと>

・入居していただいていた生活保護受給者が、生活保護費の減少のため、生活保護で支払える家賃の安いところへ引っ越し

空き室の数も増えていますし、お給料が上がらない人や、上がったとしても支出も増えているため、財布の紐が硬い人が多いので、家賃の下落や家賃交渉は仕方のないことかと思います。ハイパーインフレなどになれば別の話ですが、普通の部屋の家賃の下落は予測できていたことです。しかし、それ以上に収入が減ってしまう現状がありました。

状況が悪いなら経営改善をすればいい

アパート経営において、金利交渉をして金利を下げてもらったり、リフォーム代や清掃費などの支出を減らしたりなどの経営努力も必要です。

今回は収入を増やす方法を考えてみたいと思います。収入を増やすのは、毎月入ってくるお金が増えるだけでなく、売却時などに重要視される利回りにも関わってくるので真剣に取り組んだ方がいいことです。ちなみに利回りに関して言えば、家賃交渉があってもなるべく家賃を下げずに、フリーレントをつけるなど他の方法を考えるようにしています。

収入を増やす10の方法

物件からの収入を増やす方法をいくつかご紹介しましょう。

①自動販売機の設置

ある程度の販売が見込めそうな場所であれば、自動販売機の設置を考えてみるとよいかと思います。設置時に協賛金をもらえたりすることもあります。私の物件では飲み物の自販機が置いてあって月に1万円に満たない利益ですが、夏場や近隣で工事などがあるときには、1か月数万円の利益になることもあります。コンビニやスーパーが近いのですが、お年寄りなどに喜んでもらっています。夜は自販機の電球で物件の周辺が少し明るくなって防犯面からも良いかと思います。電気料金はオーナーの負担ですが、飲み物容器の回収なども業者さんがやってくれるので、手がかかりません。

自販機を設置し物件の利回りを向上させる

②携帯電話会社のアンテナ設置

アンテナ設置の賃貸借契約を携帯電話会社と結んでいて、毎月賃料が入ってきます。屋上などスペースがある物件を持っているオーナーさんが誘致したりしています。ただし、入居者さんから健康被害などのクレームが入るという話も聞きますので、中古物件で誘致する場合は、入居者への周知を徹底したほうが無難だと思います。

アンテナを設置し物件の利回りを向上させる

③庭を駐車場へ変更

ゆったりとしたお庭を作って、入居者の満足度を上げることも空室対策としてあげられますが、もし駐車場のニーズがあるのであれば、庭にする土地を駐車場にしてしまったほうが収入アップになります。自動車をお持ちの入居者にとっては、利便性が高まることで満足度が上がるでしょうし、月極駐車場にして入居者以外も借りられるようにすれば、それなりの収入源として活躍してくれます。

④月極駐車場をコインパーキングやシェア駐車場などへ変更

コインパーキングやシェア駐車場にした方が収入アップとなる場合があります。ただし、それはかなり都会に限ったことと言えそうです。私はインターネットのサイトで予約できる駐車場のシェアシステムを使ったことがありますが、サイト自体があまり認知されていなくて、月に数回の利用しかなく、数百円から数千円しか得られませんでした。運営会社からは「駐車場が認知されればリピートされます」と言われたのですが、その時はやめて月極駐車場としました。しかしシミュレーションでは月極駐車場より収益が高かったので、シミュレーション通りの運用が可能であると判断できれば、月極駐車場にこだわる必要はありません。

⑤敷地にスペースがあればトランクルームの設置やバイク置き場を設置

屋外用のトランクルームも一定の需要があります。入居者さんのなかには、普通の家庭にあるような物置でも喜んでいただける方もいます。
バイク専用コンテナは、バイクを安全に保管するための設備が必要なため、初期費用がかかりますが、料金は高めに設定できます。バイクに対するいたずらや盗難は非常に多いため、防犯カメラが用意された、複数ロックも可能なコンテナはそれなりの需要があるのです。

⑥賃貸の部屋をレンタル収納やトランクルームへ変更

空室が続く場合、部屋をトランクルームにした方が収入が増える場合があります。ただし初期導入費用が必要ですし、周囲に認知されるまで時間がかかるようです。

⑦賃貸の部屋をコインランドリーへ変更

フランチャイズ経営をしている人で儲かっている人もいれば、フランチャイザーへの支払いと電気料金が高くて大赤字の人もいるので、慎重に検討した方がいいかと思います。

⑧管理室を事務所として貸し出し

最近私がやったことですが、長いこと掃除道具や電球などを入れておいた管理室を事務所として貸し出しました。約10平米ですが、トイレとミニキッチンがあり、月に32,400円で法人が借りてくれました。掃除道具を入れるロッカーをゴミ置き場に設置し、管理室にあったほぼ使用していない家具などを処分し、掃除をしました。

物件の管理室を事務所として貸出

⑨空き部屋をスペース貸し

私の物件ではやっていませんが、私は時々、都心のレンタルスペースを借りることがあります。

貸し会議室やレンタルスペースはいくつかある予約サイトから簡単に借りることができて、とても便利です。私が時々借りるところはJR新宿駅から徒歩1分ぐらいのスペースです。築40年ぐらいの大型RCマンションの一室で、マンションの入り口はオートロックではなく、誰でも入れます。いわゆる3点ユニット(トイレ、バス、洗面)がついた15平米ぐらいのワンルームにテーブルとイス、ホワイトボード、エアコン、文具などがあります。

貸し会議室やレンタルスペースは教えられた暗証番号で入るタイプの部屋もあれば、鍵が開けっ放しになっている部屋もあります。それなりの需要があるので、空室が続く部屋をこのような形でスペース貸しするのも悪くないと思います。

⑩空き部屋を民泊の部屋として使用

私は賃貸併用住宅の15畳ぐらいのリビングルームに壁とドアを設置して、2部屋にしました。もともとあった2部屋とリビングルームの2部屋の4部屋を民泊の部屋として貸し出しています。

賃貸併用住宅を民泊に利用したときの間取り

民泊ビジネスの手続きと制約について

民泊に関してですが、住宅宿泊事業法(民泊新法)と一部自治体の民泊制限条例が2018年6月15日に同時施行されました。民泊新法では、年間180日を上限に民泊事業者(ホスト)に民泊営業が認められます。

私は家主居住型で保健所に届出しましたが、受け付けてもらうのに大変苦労しました。民泊仲介世界大手サイト『Airbnb』が紹介する行政書士さんの話を聞きに行き、地域の保健所の説明会に出席、近所の皆様への周知を行い、保健所の事前相談に行って提出書類をチェックしてもらったのに、提出時に不備をたくさん指摘されました(担当者さん達が不慣れだったようです)。

他には「後見登記等ファイルに成年被後見人、被保佐人とする記載がないことの証明書」を東京法務局(本局)から取り寄せたり、破産宣告又は破産手続開始決定の通知を受けていないという「身分証明書」を本籍地の戸籍担当から取り寄せたりしました。

このように、とにかく手続きが面倒です。他にも、宿泊室の総面積が50平方メートル以上の場合は、火災予防条例第56条の2第1項の規定による届出書も必要です。私の物件の場合は50平方メートル未満ですので消防署に行かなくて済んだのですが、50平方メートル以上の宿泊室を持つ人は消防設備に多額の費用がかかるのでやめると言っていました。

年間で180日までしか営業できませんので利益はそれほど見込めず、家主不在型は住宅管理業者への管理委託が必須なのでコストがかかるため、物件を借りて民泊事業をしようと思っていた人たちは、やめると言っていました。私は今後の動向を注視したいと思っています。

このように空いているスペースがあれば、そこにお金を生む何かを設置したり、スペースを細かく仕切ることで区画を増やしたり、部屋の用途を変えたりすることで収入をアップさせることができます。

今後はシェアリング・エコノミー型サービスのサイトが増えていくと思います。今まで考えてみなかった用途での貸し出しが可能になるかもしれないので、アンテナを張っておきましょう。

注意点は、住宅用の建物の貸付は非課税ですが、事業の所得や、民泊など短期貸付での所得は課税所得だということです。詳しくは税理士さんにご相談ください。私は課税家賃がある法人でこれらの事業をしたら、うっかり課税売上1,000万円を超えて課税業者になってしまいました(また非課税業者に戻しましたが……)。

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著者紹介

星野 陽子
星野 陽子

不動産投資家。著者。特許翻訳者。
東京都出身。外資系メーカー、シティバンク勤務を経て、イスラエル国籍のユダヤ人と結婚。子ども二人に恵まれるも離婚。フリーランスとして在宅で翻訳の仕事をしながら、シングルマザーとして子ども達を育てた。東欧からの移民の子で、14歳から働き、資産ゼロから財産を築いたユダヤ人の義父からは不動産投資を学び、投資物件(6億円)などの資産を築いた。著書に『ユダヤ人と結婚して20年後にわかった金銀銅の法則50』『ユダヤ人大富豪に学ぶ お金持ちの習慣』『貧困OLから資産6億をつかんだ金持ち母さんの方法』がある。オンラインサロン「マネサロ」主宰。 オフィシャルブログも定期更新中。

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