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石川貴康の超合理的不動産投資術

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知らぬ間に業者のカモになっている…「不動産投資セミナー」の落とし穴

目次

今も各地で不動産投資セミナーが盛んに行われています。単なるセールスではなく、セミナーで「不動産投資の知識」を学ぶことが付加価値になり、人気を博しているようです。

しかし、いうまでもなく、セミナーの目的の多くは最終的に物件を参加者に買わせることです。「勉強」というスタイルをとりながら、気がついたら最後に買う気もなかった不動産を購入していた……。このような事態に陥るのは極力避けたいところです。

もちろん投資用の不動産を購入すること自体は悪くありません。問題はその「過程」です。勉強会によってイメージを操作し、自分で買えると錯覚させ、購入のハードルを下げる、という売る側の意図にまんまと乗せられてしまうのは非常によろしくありません。肝心なのは自ら学び、納得した上で物件を購入することなのです。

「勉強会」という名のはめ込みセールスセミナー

多くの不動産投資セミナーは「勉強会」と称して開催されます。売る側も無償で勉強会をするような慈善事業ではないし、セミナー参加者も物件を購入したいと思っているので、利害が対立するわけではありません。

セミナーでは主催者側が情報をコントロールできるので、有利に話を進めることができます。

「自分たちは高利回り物件しか出さない」、「融資も手伝う」、「自分たちが手伝った人はみんな投資に成功している」……と、こんな感じです。

事実かどうかわからない操作された情報に触れ、「これなら簡単に成功しそう」だとか、「この人たちに任せれば大丈夫」といった考えを抱くのは非常に危険です。主催業者側の思うツボとなります。

「こうすれば成功する」といった勉強会型のセミナーでは、話を鵜呑みにして聞き続けていると、主催業者や紹介された業者から物件を買わされることになります。良心的なセミナー主催者や業者ならいいのですが、良いか悪いか、初心者ではその判断も難しいでしょう。

1回セミナーを聞いただけですぐ物件に飛びつかず、いくつもの勉強会を経験し、共通するやり方、違い、業者の特徴を学び、勉強会に対する「鑑識眼」を身につけてから購入に踏み出しても遅くはありません。とにかく慎重な姿勢が必要です。

コンサルを謳い、実績のある身内に成果を語らせる手法

大規模な投資を成功させていることを謳い文句にコンサルをする手法も盛んです。私の知人も参加しています。投資には向いてなさそうな「成功コンサル」を妄信的に心酔しています。

知人は高額なセミナー費用を取られています。入門編から、さらに上級編に行くとセミナー費用がどんどん上がっていきます(いまだにこうしたセミナーにあるのかと驚いてしまいますが…)。

高額のお金を支払い、夢を見ながらセミナー費用だけ支払い続けているようです。不動産投資で成功する、というのが目標のようですが、こうした「みんなで成功しよう、努力する私たちは素敵」という雰囲気のセミナーに参加して、不動産投資が成功するとは思えません

こうしたセミナーでは、よく成功者が紹介され、身内として成果を語ります。これは本当の話なのでしょうか? 仮に本当だとしても、再現性があるのか、そのやり方に永続性はあるのか、よく見極める必要があります。

そもそも、不動産投資における成功とはなんでしょう? そうした定義も曖昧だし、成功の形はそれぞれ違うものです。同じ鋳型にハメ込み、「みんなで成功!」などという都合のいい話は、私はないと思います。もちろん、優秀なコンサルは大切なパートナーになる可能性がありますが、そもそも、投資で成功しているのにセミナーばかり開催しているのは変な話です。

成功コンサルを謳い、セミナー費用を釣り上げ、身内を使いサポートをさせ、信者を作って稼ぐ、といった手法は昔からあります。

しかし、実際の不動産投資は、経験値を必要とし、時間もかかる投資です。きらびやかなセミナーで、手っ取り早く成功するわけではありません。たくさんの本を読み、ネットで調べ……という地道な勉強が重要だと思います。

華々しい成功を自慢するようなセミナーを信用するな!

コンサルではありませんが、華々しい成功例や急激な規模拡大を自慢するセミナーも、私は信用しません。自分の経験上、地味なはずの不動産投資で華々しい成功などないと思っているからです。

また、急激な規模拡大は同時に、ローン(負債)、リスクの拡大でもあるはずですので、当然不安定要素も増えます。

「かぼちゃの馬車」事件は素人の投資家相手に急激な規模拡大をさせた悪い例の典型です。初心者でも、規模が小さければリカバリーも効き、逆に学びの機会になったはずです。しかし、経験値がないなかでの急激な規模拡大は自殺行為となってしまいました。

急激な規模拡大を実行すれば、セミナー主催者側の利益になるだけで、投資家の利益など二の次……単なるカモ扱いかもしれません。華々しさ、規模に惑わされず、地道に学び、見極める必要があります。

「総資産」と「純資産」の違いに注意せよ!

「資産が何億円になった」、「私にも●戸(複数戸)投資ができた」といった謳い文句にも注意が必要です。まず、資産が何億円になったといっても、そのほとんどは「総資産」で、「純資産」ではありません。

ようするに、不動産の「評価額」だけを前面に出し、「負債」を隠して、さも成功したように見せているだけなのです。ワンルームなどを短期間に複数戸増やした例もそうです。

不動産は数千万円から億単位の投資になるので、すべて現金買いできる人は限られます。ローンを組むのが普通ですから、[総資産-総負債]で見れば、[純資産]など微々たるものでしょう。ローンというリスクを無視し、目先の総資産だけで成功を謳うのは人を惑わすアンフェアな行為です。

総資産や戸数だけを売り文句にするセミナーには特に注意が必要です。はっきりいって、買うだけであれば、ある意味誰でもできます。それを成功させるのが、投資家のスキルなのです。

「あと何件しか良い物件が残っていない…」はセールスの常とう手段

最近のセミナーでは、いわゆる「投資コンサル」が前面に出てくることがあります。その多くは情報商材を売る人か、コンサルという名のブローカーとして手数料を稼ぐ人です。そうした人々は、投資の成功などよりも、自分の収入の最大化が関心事です。

実際、コンサルといいながら、業者を紹介し、手数料を稼ぐのがメインの収入源という人も多く存在します。コンサルを名乗るブローカーの肥やしにされないためには、その人が、ほんとうは何で稼いでいるのか、見極めが必要です。

それから、罪が重いと思うのは、「あと何件しか良い物件が残っていない」とあおって買わせるセミナーです。私もその場に居合わせたことがありますが、「あと何件」など投資の成功に何の関係もありません。あおり売りをするようなセミナーやコンサルは相手にしない方が賢明です。

今の時代、不動産投資は「書籍やネット」でも学べる

いろいろと述べてきましたが、もちろん私はすべてのセミナーやコンサルを否定するわけではありません。しかし、そのつき合い方には充分に注意を払い、玉石混交のなかから、「玉」となる情報やパートナーを見つけるための努力をしましょうということです。

また、お手軽にセミナーに参加するだけで成功を目指すだけではなく、今はたくさんの書籍が出ているのですから、それらを片っ端から読むということもお勧めします。ちなみに私が投資を始めた2002年頃には、不動産投資のノウハウが書かれた書籍などはほとんどありませんでした。

しかし、今は不動産投資の書籍は書店にあふれ、手法のほとんどが書き尽くされています。まずは、本を読んで、先人の知恵を学ぶべきです。

また、ネットの情報もあふれています。無料で、いろいろな人の経験談を読むことができるのです。ネットで調べて、知識を蓄積してからセミナーに行っても遅くありません。

お手軽な成功、だれかに盲目的に従えばいい成功などあり得ません。特に不動産投資では、地道な勉強をすることとお勧めいたします。

今回は、ちょっと精神論的な内容になってしまったかもしれません。しかし、手法ではないですが、こうした姿勢も不動産投資成功のためには必要なのです。

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著者紹介

石川 貴康
石川 貴康

外資系コンサルティング会社、シンクタンクに勤務し、現在は独立の経営コンサルタント。大手企業の改革支援を今も続ける。対製造業のコンサルタントでは業界第一人者の一人。会計事務所も経ており、経理、資産評価、相続対策にも詳しい。2002年から不動産投資を始め、現在は15棟153室ほか太陽光3箇所、借地8箇所を経営する。著書に『いますぐプライベートカンパニーを作りなさい! 、サラリーマンは自宅を買うな(東洋経済新報社)』『サラリーマン「ダブル収入」実現法 、100円ちゃりんちゃりん投資、(プレジデント社)』など

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