星野陽子の金持ち母さん投資術
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2018年10月31日(水)
星野流・投資用物件の探し方
良い物件を探すには、不動産投資について学ぶことは前提ですが、基礎的な知識だけでなく経験を積んだうえでのコツも重要になってきます。今回は私が物件を探す際に気を付けているポイントについて、ご紹介したいと思います。
人の言うことを安易に信じず自分で物件を選ぶ
お金のことを真剣に考え始めてから約20年経ちますが、お金は人を変えてしまう魔力があると思うことが何度かありました。変わってしまった人は、弱みにつけ込んで他人を騙そうとします。
「お金がないと生活ができない」とか、「お金があれば幸せになれる」と思い込み、他人を騙してでもお金を得たいという気持ちになってしまうのは悲しいことですが、そういう人たちは確実にいますので、騙されないようにしておかないといけません。(シェアハウス「かぼちゃの馬車」の問題ですが、騙された人たちには本当に気の毒に思います。ただ自殺したりするような問題ではありません。救済のために動いている方々がいますので、ご相談なさってください)。
特に高収入の人ほど気をつけないといけません。仕事で忙しく時間がない傾向にあり、また高待遇に慣れているため、自分のために周りが動いてくれると思いがちで、そこをつかれることがあるのです。
具体的に言うと新築の投資用ワンルームマンションを「節税」目的や将来の年金のようなものと説明され、面倒な税金のことなどは全部引き受けますなどと言われ、自分でよく調べずに購入してしまう、というケースです。
私はそうやってワンルームマンションを買ってしまったという人から個人的に相談を受けたことがありますが、なるほど、こういう人は騙されやすいのだ、と納得したことがあります。
彼らは「ご飯を食べながら相談に乗ってほしい」と言って自分の都合のよい場所を指定したにもかかわらず、食事の支払いは割り勘だったりするのです。善くも悪くも相手の気持ちにあまり興味がないので、良いことばかり言って買わせようという業者の気持ちに気付かなかったのではと思いました。
「銀行がフルローンで貸す物件だから大丈夫だろう」と思って物件を見にも行かずに購入した人や、信頼関係のある人がすすめる物件だから大丈夫だと信じて物件を購入した人など、人や企業を信じて見に行かずに数億円の物件をローンで買ってしまう人たちがいますが、概して、いい結果となっていません。
リスクを負うのは自分なので、安易に人の言うことを信じずに気を引き締めて物件を選びましょう。
地方の人口減のような大きなトレンドを確実に捉える
投資家であれば、先を見通す力が必要です。私が最初のマンション一棟を買った2008年頃、巨額の融資を引いて投資するハイレバレッジやワンルームの現金投資など様々な投資方法がある中で、地方の高利回り物件を狙った投資方法も人気がありました。
もちろん地方といっても立地などの条件は様々ですから、成功している場所もありますが、多くの人には難しかったようです。地方の高利回り物件を、融資を使って増やしたものの、空室率が高くなり、家賃収入が減ってしまったため、融資の返済が苦しくなってしまった人たちがいます。
物件価格も下がってしまったため、売ろうと思っても売却価格より残債が多いため、売るに売れなくなってしまった人も多く、これでは投資としては失敗といえるでしょう。
当時から、地方の土地の価格は下落傾向にあり、人口も減っていたので、大きなトレンドを捉えていたら、この投資法に手を出すことには慎重になったかと思います。もしくは、大きなトレンドを知ったうえで、「どうにかなるだろう」「自分が本気になれば満室にできる」などと楽観していたのかもしれません。
どうにか逃げ切ったり損切したりした人たちを何人か知っていますが、もし楽観して成功率の低い投資法に手を出してしまっても、いち早く気付いて対応すれば傷口は最小限で済みます。
ただし、楽観してはいけないと思いますが、悲観ばかりしていてもだめだと思います。人口減は日本の大きなトレンドですが、だからといって不動産投資のすべてにおいて空室率が高まっていく、というわけでもありません。
私が住んでいる中野や出かけたりする新宿では、コンビニや牛丼チェーン店などの店員さんがほぼ外国人です。日本は移民を受け入れなくても、外国人の労働許可はもっと緩くなっていくのではないかと思います。
だとすれば、日本人の人口は減るかもしれませんが、外国人労働者の数は増えるでしょう。そう予測するのであれば、都市部では空室率をむやみに恐れず、外国人にも部屋を貸すことにチャレンジすればいいかと思います。
将来起こりそうなことを厳しく考えて投資用物件を購入するエリアを決める
他には、エリアの決め方として私なりに気を付けていることがあります。それは、一つまたは少数の企業や大学に通う人を入居の対象にするようなエリアは、避けるということです。
こうしたエリアは一見需要が安定していそうなのですが、もし将来、どれかが撤退したらガクンと需要が減ってしまうからです。
また政策によって居住を誘導する区域があるので、それ以外の区域での投資は慎重に考えます。
やはり居住誘導区域は住環境も良くなるため人気が高く、人口が集中する傾向にあるのです。
一方で、近年では居住誘導区域でもなく、都心からあまり離れていないところで地価も高額なのに、相続税対策で新築アパートがたくさん建ち、賃貸の部屋が供給過剰となっているエリアも出てきました。
なぜか「そのようなエリアでも自分なら満室にできる」と思ってしまう人がいるのですが、よほど確実な目算がない限りは、いろいろな可能性を考慮して厳しく考えておいたほうが良いでしょう。
エリアの決め方としてもう一つ重要なのは、自分が住んでいる場所と物件との距離です。私は東京に住んでいますが、不動産投資を考え始めた頃は、エリアの決め方がよくわからず、福岡など遠い場所や、埼玉や千葉などの「少し遠い場所」の物件を見に行って検討しました。
日本各地やさらには海外にも物件を持っている人たちからは「不動産投資家は家守じゃない。管理会社などとチームを作ればいいんだよ」と教えてもらうこともあったので、確かに管理会社にお願いすれば、エリアにこだわる必要がないと思っていました。
ところが、なかなかこれという物件に出合うことができず、どうしようか悩んでしまいました。
そんなときに不動産投資で成功した元夫の父の「牛は面倒をみないと良いお乳がでない。物件もきちんと管理をしないといけないよ」と言う教えを思い出しました。また自分で何でも確認しないと気が済まないという性格もあり、やはり住んでいるところから1時間以内に行けるところで物件を探すようにしました。これでようやく私の投資が前に進むことになりました。
自分が所有する物件を、定期的に様子見するのはとても大事なことです。ただし、信頼できる管理会社に任せることができるのであれば、管理がずさんになるというリスクは回避できるかと思います。また、自分の住居の近場の物件は管理に関してリスクを回避することができる反面、エリアの分散をしていないというリスクはあると思います。
投資法を決めると物件の構造なども決まってくる
物件を選ぶにあたっては一棟なのか区分なのか、木造なのかRC造なのか、あるいは新築なのか築古なのか、非常に迷うと思います。そんなときは、先に投資法を決めてしまう手もあります。
投資法を決めることで、建物の構造や築年数なども決まってくる面があるのです。たとえば、フルローンでレバレッジをかけて投資をしたいのであれば、銀行がフルローンを出すのは「法定耐用年数の長いRC造で、積算価格が出るような築年数の物件」に限られます。
そのうえで、銀行に打診した融資額の価格帯の物件になるかと思います。さらに現金で買う場合は、その範囲内の物件になるでしょう。
一棟、区分マンション、戸建てなどいろいろなものを購入するというのも一つの考えですが、「自己資金をかけずにフルローンで投資する」と決めてしまうことで、物件の方向性を決めることができるのです。
インターネットで情報収集をするコツ
インターネットでの情報収集にも私なりに気を付けていることがあります。
基本的なところでは、人口、最寄り駅の乗降客数、空室率などを調べたり、google mapで地域のチェックをしたりしています。
たとえば私は、会社や工場や学校があるかどうか見たり、航空写真で空き地の確認(畑などが多いとアパートが乱立する恐れがあるため要チェックです)をしたり、街の雰囲気を見たりします。ハザードマップで災害の予想区域に入っていないかどうかも調べます
(「高まる水災リスク対策の7つのポイント」もよかったらお読みください)。
そのエリアにどんなリスクが潜んでいるか、マップを眺めながら想定しておくことで、物件購入を決断する際の手助けになるのです。
現地調査で「量」と「スピード」をこなして見る目を養う
物件やエリアを見る目を養うには、たくさんの物件情報を見て、良さそうだと思ったら現地に行って実際に見てみることが大切です。
失敗している人たちは、物件をあまり見ていません。なかには見に行かないで約1億円の物件を買って「失敗した!」とすぐに売却してしまう人もいます。
十分に経験を積んだうえで、見る必要がないと判断したのなら問題ありませんが、最初のうちは自分で見に行くことをおすすめします。
会社員が仕事の帰りや前に見に行くのは大変だと思いますが、成功している投資家に話を聞くと、みんな仕事の帰りや前に、最終電車や始発電車に乗ったり、深夜に車を飛ばしたりして見に行っています。
私は、不動産投資に失敗しないためには物件をじかに見ることが大切だと思っているので、物件を見にいくことを強くおすすめします。
そしてたくさんの物件を短期間で見ることで、見る目を養うことができるようになり、失敗のリスクを減らすことができると思っています。
最初のうちは、「量」と「スピード」を意識して頑張ってみましょう! 良いものを買えば、後は楽になるので、ここは頑張りどころかと思います。
物件を見る目を養うには、物件だけを見ていてもいけません。
買い付けを入れる前の現地調査では、最寄り駅、そこからの道、周辺の賃貸物件の空室状況、ゴミ屋敷など問題のある家の有無、エリアの特徴などを調べます。
私は自分で見て回るだけでなく、現地の不動産会社、近隣の住民や、タクシーの運転手さんなどに「家の購入を考えているのですが」とエリアについて聞いたりします。
土地や隣接している道路なども見ます。気になることがあればメモをしておき、なるべくたくさん写真を撮っておきます。
できれば朝、昼、晩に行き、特に夜に駅からの道が安全かどうか、といったチェックもしています。
最初の物件を見つけるには地道な調査が大事
物件を初めて購入したいと言っている人に川上物件(多くの人に出される前の良い物件。たいていは不動産屋さんが買ってしまうか、不動産屋さんが懇意にしている人が買ってしまう)が来ることはほぼありません。
ですから、普通の人はインターネットに張り付いて何時間も物件情報を見たり、多くの業者さんに希望の条件を伝えて物件情報をもらったりします。情報をもらってもがっかりするような物件ばかりですが、一応、感想などをフィードバックしておきます。
地道な調査を続けて、「これだ!」と思う物件を見つけるまで頑張りましょう。最初で失敗すると続けるのが難しくなるので、納得がいくまでしっかり調査してください。
良い物件には即反応する
私は立川に住んでいたので、物件購入の対象エリアは多摩エリアか東京23区内でした。物件を探していた頃、そのエリアの路線価はだいたい頭に入っていました。良い物件が市場に出る(レインズのサイトに載る)と取り合いになります。
販売図面を見て瞬時に買い付けを入れないと一番手にはなれません。なかなか一番手になれず悔しい思いをしていたところ、近所に良さそうな物件が出たのを知って速攻で買い付けを入れたら一番手になれました!
このように、良い物件はなかなか市場に出回らないうえ、出てもすぐに誰かが手を付けてしまいます。毎日市場をチェックするだけでなく、見る目を養って瞬時に良い物件であることを見抜いて、すぐに買い付けを入れるくらいでないと、なかなか買うことはできません。
しかし、この物件には実は後日談があって、嬉しくてすぐに現地を見に行ったのですが、帰宅すると2番手の人に物件が行ってしまったという連絡がありました。手違いなのか、何なのか、理由がよくわかりませんでした。
「悔しかった」という話を投資家仲間の情報交換の飲み会ですると、何と買った人が隣にいました。
その方も、なぜ自分が買えたかは不思議がっていました。そんな話をしていると、さらに他の人もその物件の買い付けを行っており、3番手がいないぐらいで、そのテーブルにいた人たちは4番手、5番手、6番手……というように買い付けを入れていたのです。
やはりみんな、良い物件を狙って手ぐすねを引いているのだと思いました。
その他、気をつけている3つのこと
①レントロール(貸借条件の一覧表)に書かれている家賃が相場よりも高いため、表面利回りが高い場合があります。相場より高い家賃は当然入居者が入りにくくなるので、その場合は相場の家賃で利回りを計算し直して、検討をする必要があります。
②売却時、一時的に知人に頼んで入居してもらって満室にしている場合もあるようです。その場合、購入後、退去が続き、空室率が跳ね上がります。満室であることのメリットは大きいのですが、なかにはこうした物件があると聞くので、疑問を感じたら過去の入居実績の履歴なども教えてもらうようにしましょう。
③私は建物のことがよくわからないので、物件を調査する際に建築士さんに同行してもらったことがありました。一度同行してもらうと、チェックのポイントがわかります。基礎のクラックや外壁のクラック(あまり心配する必要のないクラックが多い)や屋上防水や、外壁の状況(シーリングが硬くなっていて交換が必要だとか、タイルの割れがいくつもあるとか)、雨漏り痕など、特に大きな工事が必要なものは要注意です。修理が可能であれば、修理費の値引き交渉をしたり、あるいは修理をお願いしたりします。
信頼できる人がいたら必ず相談しよう
私は物件を購入する前から不動産投資家たちと交流を持ち、相談したり、物件を見せてもらったりしていましたが、とても参考になりました。また自分に経験がなかったため、アドバイザーについてもらって、物件の購入を進めました。信頼できる人がいたら、必ず相談しましょう。
ただし、一見信頼できそうだけれども、自分に入るコミッションのことしか考えていないコンサルタントも多いのでご注意なさってください。自分である程度の知識をつけて、セカンドオピニオンとして誰かのアドバイスをもらうのがいいかと思います。
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著者紹介
星野 陽子星野 陽子
不動産投資家。著者。特許翻訳者。
東京都出身。外資系メーカー、シティバンク勤務を経て、イスラエル国籍のユダヤ人と結婚。子ども二人に恵まれるも離婚。フリーランスとして在宅で翻訳の仕事をしながら、シングルマザーとして子ども達を育てた。東欧からの移民の子で、14歳から働き、資産ゼロから財産を築いたユダヤ人の義父からは不動産投資を学び、投資物件(6億円)などの資産を築いた。著書に『ユダヤ人と結婚して20年後にわかった金銀銅の法則50』『ユダヤ人大富豪に学ぶ お金持ちの習慣』『貧困OLから資産6億をつかんだ金持ち母さんの方法』がある。オンラインサロン「マネサロ」主宰。 オフィシャルブログも定期更新中。