加藤隆が実際に体験した不動産投資の罠
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2018年7月20日(金)
なぜか北海道ばかりであった 家賃滞納・空室の話
不動産経営において、家賃滞納は、ある意味、空室より始末が悪いかも知れません。空室の場合は、入居者の方を確保すればいいですが、家賃滞納の場合には、家賃は入らず(税務署は、滞納の場合でも、売上計上しろと言っています)、かといって、入居者の募集をするわけにもいきません。ひどい場合には、滞納家賃は踏み倒された上、入居者の引越・退去費用迄負担してあげて、退去してもらう大家もいるようです。
又、空室ともなれば、敷金返却、リフォーム、空室時家賃無し、家賃値下げ、広告費等が一気に押し寄せてきます。そして、空室は、逸失利益、機会損失です。空室で家賃が入らなくても、区分所有マンションの場合は、管理費・修繕積立金を取られますし、又、ローンの支払い(支払金利・元本返済)もあります。固定資産税・都市計画税も取られます。多少家賃を下げてでも、空室よりはマシという考え方もあります。
以下、私の場合のトラブル事例を見てみましょう。
トラブル事例:近隣トラブルの話と、家賃滞納・部屋損壊のコンボで夜逃げまでした住民の話
私は、東京・京都・名古屋・札幌・小樽・博多・千葉と全国展開していますが、大不況下の札幌の極小築古ワンルームマンションでは、ストーカー、空き巣・下着泥棒、家賃滞納、長期空室等、ありとあらゆるトラブルに遭いました。
札幌では、家賃滞納等は日常茶飯事ですが、ひどい事例を紹介させて頂きます。
札幌のあるマンションでのこと。写真からするに、見目麗しきお若い女性の入居者が決まり、喜んでいたのも束の間。ストーカーにも見初められたようで、夜な夜な、つきまとわれるようになり、管理会社経由で大家の私にまで相談がくるようになりました。
取り敢えず、警察に相談してもらいましたが、ストーカー規制法もない昔のことですから、警察は、多少は注意をしてくれるとのことですが、基本、事件・事故が起こってからしか動いてはくれないようでした。
その後、空き巣に入られ、下着が盗まれたそうです。ここまで来れば、やっと、警察も動かざるを得なくなったようです。
私のほうで、通常の鍵より強固なディンプルキーに変更しました。それでも、その方は、気味悪がって、転居してしまいました…。そして、その後、新しい入居者の方が決まりました。
暫く経ったある日のこと、札幌から御中元が届きました。管理会社のA社さんかB社さんかなと思いきや、聞き覚えのない方からです。管理会社のA社さん、B社さんに聞いても、わからないとのことでした。
もしや、例の部屋に入った新しい入居者さんでは? と思い当たりました。念の為、管理会社のA社さんに聞いてみたところ、やはり、新しい入居者さんでした。私も、32年間108戸運営していますが、後にも先にも、入居者の方から御中元を頂いたのは、これが最初で最後です。奇特な方だなと思っていましたが、単に、変わっているだけでした。
その後、頭角を現しだしてきたというか、本性が現れてきたというか、奇行がエスカレートするようになります。
玄関にお清めの塩を撒いたり、奇声を発したり、騒いだりして、近隣トラブルとなり、管理会社や、管理会社経由で大家の私に、何とかしてくれ、追い出してくれというクレームが殺到し始めたのです。更には、家賃滞納が始まりました。
家賃滞納6か月分くらいはいったでしょうか。管理会社のA社さんが、電話、手紙、訪問して督促しても、らちがあきません。配達証明付き内容証明郵便を出してもらちがあきません。連帯保証人の兄弟の方に言っても、「兄弟は他人の始まり」の如く、「わしぁ知らん」です。
連帯保証人は、夫婦・親子は効果的ですが、兄弟や、法人・代表者は、あまり効果がないものです。
そろそろ、信頼関係崩壊で、賃貸契約解除訴訟に持ち込まざるを得ないかなと思い始めた頃のこと。
やがて、管理会社A社さんからの電話。
「喜んで下さい!!」
「入居者の方が退去されました!!」
「正確には、夜逃げですけど…」
部屋には、残置物が放置され、台所等ドロドロ・ボロボロになっていました。
なんでも、陶芸が趣味だったとか。リフォームの査定に入ったリフォーム会社の第一声は、
「牛か馬でも飼っていたのですか?」
2社に相見積もりを取りましたが、それでも、50万円位かかってしまいました。
暫く経ってからのこと。
警察が、管理会社B社に来て、夜逃げした入居者の居場所を探しているのだが、知らないか?とのことでした。こっちが知りたいくらいです。
ところで、夜逃げ・孤独死等で、最も困るのが、残置物の処理です。勝手に処分するわけにはいかず、半年間等と保管し、法的にしかるべき手続きを取らざるを得なります。その意味では、連帯保証人がいればベストですが、そこまでは難しくても、確認書・緊急連絡先等として、身寄り・知り合いがいれば、多少は救いになります。
昨今は、連帯保証が社会問題になっており、家賃保証のみで済ますのが流行っていますが、家賃だけではなく、夜逃げ、孤独死等のことも頭の片隅に置いておいた方がいいかと思います。
トラブル事例:家賃保証会社の滞納、夜逃げ、そして倒産にまで至った話
これも、不景気な札幌でのこと。
設計、施工、販売、建物管理、賃貸管理をワンストップでやっているC社の中古区分所有マンション(管理組合無し)を、いつもお世話になっている不動産会社B社の仲介で、購入しました。家賃保証付きで、暫くは順調に行っていましたが、その後、滞納が頻繁に起こり始めました。
C社に電話をすると、やれ、社長が海外出張中だ、体調不良だとか、話になりません。
宅地建物取引協会にも連絡しましたところ、所管外ではあるが、一応、連絡してくださいました。
すると、直ぐにお詫びの電話が来て、滞納がなくなりましたが、暫くすると、又、滞納が始まります。社長から、不景気で保証家賃を下げざるを得ない、という手紙も来ました。
聞くところによると、私の物件は順調ですが、他の物件が不振で、資金繰りが苦しいようでした。
私の物件については、順調な為、保証家賃は、維持してもらうこととしました。ところが、滞納は益々ひどくなって、ほとんど音信不通になりました。
お世話になっている不動産会社B社に見に行ってもらうと、ほとんど留守で、その筋系っぽい人達がうろうろしているとか。やがて、もぬけの殻になったようでした。
その後、何とかC社の関係者を探してもらい、今後の家賃は、入居者から直接、当方に払ってもらうように、一筆書いてもらいました。平行して、滞納家賃、敷金の回収も致しましたが、大部分の家賃の回収はできたものの、一部の家賃と敷金は回収不能でした。
その後は、お世話になっている不動産会社B社の従業員の方に、買い戻し特約付き売買契約を結び、譲渡。
所有者になってもらい、管理組合を立ち上げ、家賃保証会社は解約。そして新たに、B社に管理委託。それからは、おかげさまで、順調に行き始めました。
滞納家賃は、大体、数十万円でした。
裁判をしても、何十年、何百万円と、時間と金がかかり、ペイしません。
不動産にも詳しくもない弁護士と裁判所に適当にやられて、弁護士と裁判所が儲かるだけです。
服を盗んだり、食い逃げしたら犯罪なのに、家賃は、3か月位滞納して初めて信頼関係が崩れるとか、訳の分からないことを裁判所は言っています。
滞納者も、常習犯、確信犯になると、そこらへんのことは理解していて、数十万円滞納しては、賃貸マンションを渡り歩いている輩もいるようです。
(最近では、渡り鳥滞納者のブラックリストも整備されてきているようです。)
それにつけても、家賃保証会社の倒産、たまったものではありません。
最近では、S社、S銀行による書類改竄(源泉徴収票、預貯金通帳、レントロール、重要事項説明書、売買契約書、手付金領収書等)、共用スペースのない狭小シェアハウスの倍額売却、家賃保証の減額、滞納、打ち切り、倒産事件も起こり、社会問題にまでなっています。
悪質な会社は、騙すだけ騙して、儲けるだけ儲けて、他にお金を動かし、計画倒産させることもあるようです。
そして、ほとぼりが冷めた頃、又、新たな会社を立ち上げるようです。
悪質な不動産関係者のブラックリストもあるようですが、敢えて、役員にならず、従業員にしておけば、わかりにくいようです。
恐ろしいほどの長期間空室になった部屋の話
長期間空室と言えば、やはり大不況下の札幌の築古狭小マンションでのこと。
1年半以上のギネス記録(は言い過ぎですが)を打ち立てたこともあります。「1年半以上」ということは、入居ハイシーズンの3月でも決まらなかったという、恐るべき事態です。
入居ハイシーズンの3月でも決まらないとは、永遠に決まらないのではないかと思ったほどでした。
その後、御陰様で、家賃は大幅に下げざるを得ませんでしたが、何とか、決まりました。札幌には魔物でも住んでいるのですかね。いろいろなことがあったような気が致します。
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著者紹介
加藤 隆加藤 隆
サラリーマンのままで、経済的・時間的・精神的自由を目標に、預貯金・外国為替・貴金属・株等の資産運用を経て、不動産経営歴31年。数々の失敗・バブル崩壊を生き抜き、リスク分散をモットーに、東京・博多・札幌・名古屋・京都・小樽・千葉に、区分所有マンション・一棟物アパート・一棟物マンション・戸建等、物件108戸を運営。総資産7億円・借入5億円・自己資本2億円、年間家賃収入4,100百万円・借入金返済3,100万円・キャッシュフロー1,600万円。節税で、所得税・住民税ゼロ。