不動産投資の最新動向
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2021年5月24日(月)
不動産投資は新卒が有利? 若者を狙う悪徳業者に要注意!
近年、20代で不動産投資を始める人が増えています。なかには新卒で不動産投資に取り組む人も少なくありません。
フレッシュで社会経験にも乏しい新卒は、営業マンの絶好のカモにもなりえます。
今回は、このように新卒が不動産投資を早くから始めるメリットにくわえ、社会を知らない新卒をつけ狙う悪徳な営業マンの実態を解説します。
そもそも新卒に不動産投資ができるのか?
大変な就職活動を乗り越えて、晴れて社会人の一員となった卒業1年目の新卒。
世間では「老後2000万円問題」をはじめとして将来の不安を煽るニュースが多く、サラリーマンとしての給料だけでは不安という人も多いようです。
そこで、資産運用の一つである不動産投資に注目する新卒社員が多くいます。
新卒はサラリーマンとしての信用力の高さと若さから融資を受けやすい
新卒でも不動産投資を始められるのか――結論からいえば、新卒でも不動産投資に取り組むのは、決して不可能ではありません。
新卒であっても、金融機関からローンを受けられる場合があるからです。
新卒をはじめとした20代の若手社員は、サラリーマンとして安定収入を得ながら長期勤務ができるため、金融機関から返済能力を高く評価され、長期ローンが組みやすいメリットがあります。
年収や勤続年数が乏しくとも、融資が通りさえすれば、自己資金がほとんど用意できなくても不動産を購入できるのです。
早い段階で副収入を得られるのは大きなメリット
世間一般的に、若手社員が早期離職するパターンは多くあります。
厚生労働省の「新規学卒者の離職状況の調査データ」によると、新卒3年以内の離職率は、大卒人材で約30%とほぼ横ばいです。
前述した将来への不安にくわえ、ストレスが原因で心身に不調をきたしたり、病気や不慮の事故により働けなくなったりと、若くとも収入が途絶えてしまう可能性は否めません。
さらに、サラリーマンの平均給与は緩やかに低下する傾向が続いています。旧世代のように、勤続年数に応じて昇給していく未来はもはや期待できないのです。
しかし、早くから不動産投資に取り組んでいれば、本業とは別で収入を得られます。
将来的には子どもの養育費や老後の年金がわりに、不動産投資で得られる収入を利用することが可能です。
定年退職前にローンを完済できれば、その後入ってくる家賃収入はまるまる、投資の収益になります。
これらは、新卒のうちに不動産投資に取り組む「表向き」のメリットです。
知識不足な若手サラリーマンをカモにする不動産営業マンたち
独立行政法人国民生活センターによると、20代の不動産投資に関する相談は年々増加しています。
多いのは、物件の売買で実際に契約してしまった後に相談する事例。
国土交通省でも、投資用マンションの悪質な勧誘に注意喚起する告知を行なっており、悪徳不動産業者が多い事実を問題視しています。
それでは、新卒が受ける悪質な勧誘とは、どのような手法が多いのでしょうか。
国民生活センターに寄せられた相談内容から紐解いていきましょう。
街頭アンケートに答えたら強引にマンションを売られた
社会人経験のある人であれば、「お金に関するアンケート」などと称して、街頭で声をかけられたことがあるかもしれません。
このような声かけは、入り口こそお金の運用方法に関するアドバイスですが、実態は投資用不動産の営業であることが大半です。
しかし、不動産の営業を受けた経験がないような新卒や若手社会人であれば、話を真に受けて聞いてしまう人もいるでしょう。
ひとたび営業マンの話を聞いてしまえば、怒涛のような営業トークをまくしたてられ、そのまま1戸、2戸と売買契約してしまう人は実際に多いのです。
若手サラリーマンは契約に関する知識がないためにクーリングオフという選択肢も持たず、ただただカモにされてしまいます。
このような手法で販売される物件の大半は、新築ワンルームマンション。
数年後には家賃収入よりも修繕費や空室対策の広告費の方が高くついてしまい、赤字経営に陥る場合がほとんどです。
家賃保証があると説明を受けた投資用マンションが数年後に赤字化
悪徳不動産営業マンにありがちなのが、「家賃保証がある」と言って安心させてこようとするケースです。
空室ができた際にも収入が途絶えない手法として勧めてくるのが、家賃保証、つまりサブリースです。
サブリースは「空室リスク」を回避する手段の一つで、仮に空室だらけになったとしても一定の収入を受け取ることができます。
一見夢のような制度ですが、これには大きな落とし穴があります。
サブリース会社が間に入ることにより、家賃の10〜30%が保証料として差し引かれるのです。
つまり、満室時でもオーナーは家賃の70〜90%しか受け取ることができません。
そのうえ、サブリース契約をしなければオーナーに入るはずの敷金や礼金、更新料も、すべてサブリース会社の収益となるのです。
さらに、サブリースは、「30年の長期で家賃保証が受けられる」とメリットを打ち出す場合が多いですが、実はサブリース会社はオーナーに対していつでも家賃の減額請求ができます。
そのため、一定の保証料をサブリース会社には差し引かれるのにもかかわらず、家賃収入は少なくなってしまうのです。
くわえて、サブリース会社が倒産する可能性もあり、そうなれば保証されるはずの家賃も入ってこなくなります。
実は、不動産投資で成功している人のほとんどは、サブリースを利用していません。
不動産営業を受けた経験に乏しいため、よくわからずにサブリース契約をしたあげく、数年おきに家賃を減額されて、気づけば赤字経営……そんなケースはかなり多いのです。
まずは堅実に自己資金を増やせ
新卒がカモにされる理由は、「投資に対する知識に乏しい」「収入が安定している」「住宅ローンがない」「単身者である」といった、社会人1年目ならばほとんどが該当する要素です。
しかし、知識もお金もない状態で多額のローンを組めば、将来にわたって大きな悪影響をもたらすかもしれません。
まずは本業で何年か努力して、堅実に給料で自己資金を増やすのが無難でしょう。
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著者紹介
不動産投資塾編集部不動産投資塾編集部
投資への関心が高まる中で、高い安定性から注目を集める不動産投資。しかし不動産業界の現状は残念ながら不透明な部分が多く、様々な場面で個人投資家様の判断と見極めを要します。一人ひとりの個人投資家様が正しい知識を身に付け、今後起こり得るトラブルに対応していくことが肝要です。私たち一般社団法人首都圏小規模住宅協会は、投資用不動産業界の健全化を目指す活動の一環として本サイト「不動産投資塾新聞社」を介し、公平な情報をお送りいたします。