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2021年2月28日(日)
地方物件の不動産オーナーを苦しめる「タダ」同然物件の真実
地方物件への不動産投資は、高利回りが最大の魅力です。
最近の物件価格の高騰で、よほどの資金力がないかぎり、都心の不動産には手が出しづらくなりました。
その一方で、地方の収益物件への投資に注目が集まっているのです。
ただ、地方物件のメリットに目がくらみ、購入した物件が「タダ」同然まで値下がりしてしまったオーナーもたくさん存在します。
地方物件投資のメリットとデメリット、「タダ」同然物件が生まれてしまう理由を解説しましょう。
選ぶなら都心? 地方?――それぞれのメリットとデメリット
不動産投資をするうえで、都心にすべきか地方を選ぶべきかという場所の選択は、非常に重要です。
都心部のメリットとデメリット
都心部は、人の流入が多く空室リスクが低いうえに、築年数が経っても高い家賃を維持できるのが大きなメリットです。
購入した土地やマンションを転売して、売却益を得られる可能性も高くなります。
しかし、都心物件はそもそもの購入価格が高く、利回りが低い物件が多いのがネックです。
需要が高い分、競争も激しいため、希望の物件が必ず購入できる保証もありません。
地方物件のメリットとデメリット
地方物件の最大のメリットは、購入価格の安さから利回りが高いうえ、物件価格における土地価格の割合が低くなるため、建物の減価償却費を高く計上して節税しやすいという点です。
しかし、一般的に地域の人口が少ないため空室リスクが高く、家賃相場が低いというデメリットがあります。
地方物件の不動産投資は「表面利回り」が強調される
地方物件への不動産投資は、高利回りが魅力的ですが、不動産会社が提示してくる利回りは、アテにならないケースがあるのです。
たとえば、投資家向けに郊外の新築アパートを販売するとき、不動産業者は家賃設定を高く見積もって「表面利回り」を上げていることが多いです。
そのような物件を買うと、実際に賃貸に出す際には想定より安い家賃でしか貸せず、利回りが下がってしまいます。
くわえて、地方物件は都市部と比べて空室が発生して収益に穴が開く可能性も高いのです。
そうした地方物件のリスクをごまかし、高利回りという最大のアピールポイントを誇張して物件を売り込むのが、不動産会社の手口です。
いくら想定利回りが高い物件でも、実際に入居者からの想定どおりの賃料が支払われて初めて利回りが実現できるという点を、しっかり覚えておきましょう。
地方に存在するタダ同然物件の正体とは?
地方の中古物件には、「タダ」同然で売買される不動産も存在します。
なぜ、そのようなタダ同然の物件が生まれるのか。そのウラには、物件を持ち続けるだけで損害が拡大する一方になってしまった、悲しきオーナーの影があるのです。
繰り返しになりますが、地方物件は賃料が安いうえに空室が生まれやすいデメリットがあります。
結果、低利回りでもそれなりに安定した収入の見込める都心物件に比べて、月々の収支が赤字になる危険性は高くなるのです。
特に、本業の収入がそこまで高くない投資家が、不動産営業マンの売り込みで金利の高いローンを無理に組んでいる場合、赤字転落のリスクはより高まります。
投資家の側も、「10%超え!」といった高利回りを謳う文句に飛びついて物件を購入しているケースが多いです。
固定資産税や修繕費といった賃貸経営の出費をきちんと事前に積算しておらず、そうした計算の甘さも、地方物件投資が赤字になりやすい理由の一つです。
赤字経営の状態が長く続けば、いずれは「タダでも物件を手放したほうがまだマシ」という状況に陥ります。
そんな物件のオーナーが泣く泣く物件を売りに出し、「タダ」同然物件が市場に現れることになるのです。
お金を支払ってでも手放したいタダ同然物件に買い手が集まるワケ
こうしたタダ同然物件を狙って買いに走る不動産会社や投資家も存在します。
不動産を直接売りたい人のための情報サイトで、掲示板「家いちば」というサイトをご存じでしょうか。
驚くべき低価格や、なかには無料で売り出している物件が出回り、複数人が申し込みしてすぐに成約した事例もあるようです。
タダ同然物件に買い手が集まるのは、銀行融資なしで購入ができるからです。
タダ同然物件を売り出したオーナーは、ローンが返せずに赤字経営になっています。
しかし、買い手となる次のオーナーはその物件を破格の安値で購入できてローン返済もいらないため、利益を得られる可能性があります。
「家いちば」のように、不動産会社の査定を経ずに物件を売買する仕組みができたことで、タダ同然物件が個人間で取引されるケースは増えているようです。
地方物件の高利回りに騙されてはいけない
タダ同然物件のオーナーになってしまう不幸な人の多くは、見せかけの高利回りに踊らされて、購入後の収支計算を怠ってしまった投資家たちです。
いくら掘り出し物だと感じる物件でも、ランニングコストや税金の支払いを踏まえた収支シミュレーションは必ず厳密に行なってください。
ただでさえ、全国的な少子高齢化で、地方の賃貸経営は今後厳しさを増していきます。
「それでも儲かる!」と断言できる物件だけに投資するように意識しましょう。
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著者紹介
不動産投資塾編集部不動産投資塾編集部
投資への関心が高まる中で、高い安定性から注目を集める不動産投資。しかし不動産業界の現状は残念ながら不透明な部分が多く、様々な場面で個人投資家様の判断と見極めを要します。一人ひとりの個人投資家様が正しい知識を身に付け、今後起こり得るトラブルに対応していくことが肝要です。私たち一般社団法人首都圏小規模住宅協会は、投資用不動産業界の健全化を目指す活動の一環として本サイト「不動産投資塾新聞社」を介し、公平な情報をお送りいたします。