不動産投資の最新動向
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2020年12月28日(月)
相続専門の不動産会社とは? 相続対策失敗を避けるための知識
2015年の税制改正により、日本では相続税の大増税時代が始まりました。税制改正前には相続税がかからなかった世帯も、改正後は相続税の対象となり、課税対象者が一気に増えています。
この税制改正の前年には、テレビをはじめとした多くのメディアで相続特集が組まれるようになり、「相続ビジネス」のチャンスに乗じて怪しい業者が数多く湧いてきました。金融機関や保険会社、不動産会社などで、「相続専門」をうたう業者が急増したのです。
相続専門の不動産会社とは、ほかの不動産会社と違って、なにができるのでしょうか。ブームに乗じて甘い蜜を吸おうとしている怪しい業者に騙されないためにも、相続専門業者を選ぶ際に注意すべきポイントを整理します。
不動産相続は一筋縄ではいかない
相続財産のなかでも、不動産というのは、取り扱いがひときわ難しい財産です。
いざ相続が発生した場合、相続する不動産についてどの専門家に相談したらよいかは、多くの人が頭を悩ませるところです。
実際のところ、不動産相続は、経験豊富な専門家でないと処理が難しく、手近な不動産会社や税理士に相談してみても、結局対応しきれないケースが大半です。
権利関係が複雑だったり底地や借地だったり、通常の売り物件にはない特徴を備えていることが多いことがその理由です。
そのため、不動産相続は、同様のケースに対応した実績がある業者にしか扱えるものではありません。
いきなり金融機関へ相談するのは要注意
相続が発生したとき、相談相手の選択肢にまず挙がるのが、金融機関です。
税理士に相談するケースも考えられますが、それまで財産に関与していなかった相続人(受け継ぐ側)が、すぐ相談できる関係性の税理士がいるとは限りません。
「一家の財産についての情報をむやみに明かしたくない」という思いもあり、取引のある金融機関に相談するかたが多いようです。
金融機関には「相続専門部隊」がいて、非常に頼もしく思えます。しかし、「相続専門部隊」というのは、実質は「営業部隊」です。この舞台は、相談者の資産状況を把握したうえで、財産状況に合わせた金融商品を販売することが真のねらいです。
さらに、仮に億単位の相続財産があった場合、遺言執行の手数料として、数百万円から数千万円レベルの額をとられることになります。
そのような高額な手数料を払ったにもかかわらず、「相続専門部隊」は、遺言書に記載する財産リストを作成する程度のサービスしか行なってくれません。
それ以上のサポートを求める場合は、別途税理士に依頼しなければならず、結局余計な手間やコストがかかることになります。
相続専門の不動産会社に相談すると……?
金融機関の次に選択肢にのぼるのは、「相続専門」をうたう不動産会社やハウスメーカーです。
この種の業者は、「相続税対策になる」という文句で、高額な物件を売り付けてきたり、手持ちの土地にアパートやマンションを建てさせたりしようとするので、相談の際にはよくよく注意してください。
特に気をつけたいのは、「不動産購入や物件建築のために融資を受ければ、負債によって財産が相殺され、相続税の節税になる」という言葉です。
融資というのは、あくまで借金。お金を借りれば、必ず毎月返済をしなければならないという原則を、忘れてはいけません。
節税につながることを強調しながらも、結局は金融機関からの融資によって借金が膨れ上がり、相続後の不動産経営では収益がうまく上げられない……。結果として、節税を狙った不動産投資が、逆に一族の財産を大きく毀損してしまうというのは、非常によくあるケースです。
不動産営業の実態と、信頼できる相続専門会社の見分け方
不動産会社やハウスメーカーが「相続税の節税には、不動産投資が有効!」という営業文句で物件購入を強引に勧める理由としては、相続対策の「相談料」や「コンサルティング料」という名目では大きな金額が取れず、ビジネスとしてのうまみがないからです。
彼らはあくまで物件売買や建物建築で利益を得ているので、相続対策の細かなアドバイスに時間を費やしている暇はなく、また、相続コンサルタントを務めるだけの税務・法務的な知識もありません。
節税という名目で、金融機関から多額の融資を受けたうえで、新しい建物を建ててもらったほうが、簡単に儲かるわけです。
相談する側としては、「節税には不動産!」という選択肢だけではなく、自分にとって最もメリットの大きなプランを提案してもらいたいところです。
そういった相談相手を選ぶためには、「相談料がある程度高額で、明確に金額を示しているかどうか」が重要なポイントです。
建物の建築や商品の販売で利益を上げるのではなく、あくまで相談料やコンサルティング料としてビジネスを成立させるモデルの会社ならば、顧客を優先した提案が期待できるのです。
ちなみに、「相談無料」をアピールする不動産会社にも、注意が必要です。
相談が無料であるということは、ほかのどこかで利益を得ているということです。相談無料をアピールしている会社の場合、ほとんどが物件を販売して収益を得たり、大手会社に顧客を紹介して手数料で儲けたりしているからです。
士業のネットワークが豊富
しかし、素人が相続の相談をする不動産会社の誠実性——知識と経験が豊富で、顧客目線のサポートをしてくれる会社かどうかを見抜くのは、非常に困難です。
そこでチェックしていただきたいのが、その不動産会社が、士業のネットワークを開拓しているかどうかという点です。不動産相続のトータルサポートは、税理士や弁護士、不動産鑑定士、司法書士といった専門家の協力が必須なので、ネットワークが豊富であるほど信頼できる可能性は高まります。
士業のネットワークを開拓していることは、相続対策サービスとして大きなアピールポイントになるため、ホームページにしっかりと表示していることが多いです。その点をしっかり確認してみてください。
安全に相続対策をするために
不動産の活用は、うまくやれば相続対策として大きな効果を発揮します。相続専門の不動産会社に相談してトータルサポートしてもらうということは、本物のプロフェッショナルをパートナーにできるのですから、悪い選択肢ではありません。
ただし、本記事で述べたような「自社商品ありきの営業」を真に受けて、安易な判断をするのは禁物です。
相続対策に失敗して多額の税金が子孫に課されたり、親族トラブルにつながったりしても、だれも責任はとってくれません。
相続が発生してから慌てて相談相手を探すことにならないよう、本記事で紹介した相続専門業者の見分け方を参考に、信頼できる業者を早い段階で見つけておきましょう。
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著者紹介
不動産投資塾編集部不動産投資塾編集部
投資への関心が高まる中で、高い安定性から注目を集める不動産投資。しかし不動産業界の現状は残念ながら不透明な部分が多く、様々な場面で個人投資家様の判断と見極めを要します。一人ひとりの個人投資家様が正しい知識を身に付け、今後起こり得るトラブルに対応していくことが肝要です。私たち一般社団法人首都圏小規模住宅協会は、投資用不動産業界の健全化を目指す活動の一環として本サイト「不動産投資塾新聞社」を介し、公平な情報をお送りいたします。