不動産投資の最新動向
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2020年4月30日(木)
【2020年最新版】どうなる?都市部の人口と賃貸需要
不動産投資において最も重要なのは、入居者が埋まるかどうか。入居者が付かなければ賃料が入ってこなくなるだけでなく、空室物件は資産価値が大幅に落ちてしまうからです。
そして、賃貸需要にダイレクトに絡んでくるのが人口の増減。全国的に人口減少が叫ばれる中、多くの賃貸物件が存在する都市部の人口について推移と今後の見通しを解説します。
加都市部への人口集中は一貫して続く
(図表)各地域ブロックの人口シェアの推移
図表を見てみましょう。戦後、人口のシェアが増加したのは、関東・近畿・東海ブロックのみ。いずれも東京・大阪・名古屋という大都市を抱えており、一貫して都心に人口が移動する傾向があることがわかります。特に関東への人口集中は顕著で、戦後60年あまりで10%以上もシェアを伸ばしています。
また、国立社会保障・人口問題研究所『日本の地域別将来推計人口(2018年推計)』 が発表した「東京都区部および政令指定都市の区別の人口増加率(2015年~2045年)ランキング」によると、人口増加率の上位は東京都中央区、東京都港区、大阪市西区、大阪市中央区、福岡市中央区、名古屋市中区など、都市部の中でも都心とされるエリアが占めています。
今後の見通しとしても都市部に人口が集中し続け、とりわけ中心部ばかりに固まっていく傾向は間違いないのです。
今後は東京の独り勝ちが加速する
次に、上記の二つの図表を見てください。
三大都市圏の人口シェアは今後も伸び続けることが推定されていますが、その増加分のほとんどは東京圏のものです。都道府県別の人口増減を予測したデータでも、なんと2045年に向けて人口が増えるのは東京都だけ、という結果になっています。
都市圏別の人口集中度(全国に占める都市圏の人口割合)の細かい数字で見ると、東京圏は2015年の28.4%から2045年には31.9%に上昇します。名古屋圏は微増(2015年8.9%、2045年9.3%)、大阪圏は微減(2015年14.4%、2045年14.1%)です。
大阪・名古屋ですら長期的には人口集中度が減っていくことになります。
また、賃貸経営として考えた際、入居者として考えられるのはほとんどが現役世代の給与所得者です。年金生活者などの高齢者は持ち家に住んでいる率が高くなりますし、死亡リスクがあるのでオーナーからは敬遠されがちです。
そして、前述と同じく国立社会保障・人口問題研究所の『日本の地域別将来推計人口(2018年推計)』のデータによると、宮崎県、秋田県、大分県、高知県などにおいてそれぞれの県庁所在地への高齢者(65歳以上)人口が集中していくことが推計されています。
高齢者が集中するのは東京も同様ですが、地方都市は人口が減るうえに高齢者ばかりになる方向性がより顕著なのです。
長期的に考えるなら地方物件は持ってはいけない
これらの事実を踏まえると、不動産投資を今後10年、20年といったスパンで考えたとき、東京の物件以外を持つ選択肢は考えにくいといっていいでしょう。
もちろん地方でも個別に見れば儲かる物件は残るでしょうが、マクロのデータから長期的に見たときに、地方物件の資産価値が下落するのはほぼ間違いありません。
地方の物件は表面的な利回りが高いので目が眩みがちですが、果たして長期的に運用した際にどうなるのか。出口まで含めて自分なりに計算して判断することが必要でしょう。
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著者紹介
不動産投資塾編集部不動産投資塾編集部
投資への関心が高まる中で、高い安定性から注目を集める不動産投資。しかし不動産業界の現状は残念ながら不透明な部分が多く、様々な場面で個人投資家様の判断と見極めを要します。一人ひとりの個人投資家様が正しい知識を身に付け、今後起こり得るトラブルに対応していくことが肝要です。私たち一般社団法人首都圏小規模住宅協会は、投資用不動産業界の健全化を目指す活動の一環として本サイト「不動産投資塾新聞社」を介し、公平な情報をお送りいたします。