不動産投資の最新動向
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2020年3月27日(金)
価値のない負動産の運用は可能か?
価値のない不動産を業者に騙されて購入してしまった、親から相続してしまった……こんな悩みを抱える人は多いものです。不動産投資塾では、このような負動産の見分け方、抱えるリスクとデメリット、また自己防衛策について徹底的な取材をもとにまとめました。
負動産を持つことのリスク
価値のない不動産は僻地にある空き家、リゾート地のマンションや土地などが典型的です。100円の価値もない不動産もなかには存在します。こういった物件は買っても得することがほとんどありません。なんとなく不動産を持ちたいという少し変わった方が「安いから」という理由で購入に至るケースが多いようです。
しかし、負動産は持っているだけで以下のリスクとデメリットを抱えることになります。
固定資産税がかかる
不動産を持っていれば、毎年固定資産税を払わなければいけません。負動産は評価額が低いわけですからそれほど高い税金にはならないでしょうが、まったく利益を生まないのにキャッシュだけは出ていくことになります。
また、物件が「空家等対策特別措置法」に基づく「特定空家」に当てはまった場合はより税金が高くなってしまいます。
特定空き家の定義は、以下のとおりです。
『特定空家等とは、そのまま放置すれば倒壊等著しく保安上危険となるおそれのある状態又は著しく衛生上有害となるおそれのある状態、適切な管理が行われていないことにより著しく景観を損なっている状態、その他周辺の生活環境の保全を図るために放置することが不適切である状態にあると認められる空家等をいう』
事故の危険がある
人がいない建物を放っておくと、浮浪者などが住み着いたりいたずらで人間が立ち入ったり、それによって火災や事故が発生するリスクがあります。
火災は放火だけでなく、家の中に溜まったゴミなどが自然発火するケースもあり、もし火災や事故が起きれば近隣に大変な迷惑をかけてしまうのです。
メンテナンス費用がかかる
事故防止のため、価値のない不動産だからといって完全に放置しておくわけにもいかないでしょう。最低限の修繕工事を入れたり、メンテナンスの手間をかけたりする必要はあります。
それが嫌だから思い切って更地にしてしまうとしても、当然、解体費用がかかりますし、更地は上物がある不動産より固定資産税が高くなってしまいます。
負動産を運用して収益を生めるようにできるケースは、かなり限られます。可能性があるのは、一戸建ての空き家。適正なリフォームをかけて賃貸に出すのです。
ただ、負動産に対して大きな投資は避けるべきなので、リフォームの費用は必ず相見積もりをとって最低金額に収めるよう注意してください。
また、負動産を賃貸に出す場合、管理会社に任せてただ待っているだけで入居者が決まる可能性は低いでしょう。エリアの不動産会社にちょくちょく顔を出して自分の物件を入居者候補に出してくれるよう売り込んでおく、客付け会社に支払う広告料を設定しておくなど、プラスアルファの努力が必要になります。
ただ、戸建て物件の場合、入居者は一つの物件につき1世帯だけです。要はゼロか1かしかないので、自分の物件がどんなに魅力がないとしても、たまたま入居者が決まればそれでOKだという考え方もできます。
確率論に期待してとりあえず最低限のリフォームをかけ、入居が決まれば儲け物、というスタンスで気長に待ち続けるのも一つの手かもしれません。
持たないことが一番の防衛策
負動産の保有にはリスクやデメリットが付き物で、運用や売却しづらいのが実態です。「不動産を持っておけば何かしらのメリットはあるはず」と物件を持ってしまうケースもありますが、それは大きな勘違いです。
購入前や相続前など、まだ物件を持つかどうかの選択肢がある時点で負動産を見抜いて避けるべきでしょう。
もし既に物件を持ってしまっているのだとしたら、無難なのはさっさと売ることです。それも、一つの不動産会社に頼んで放置というのではなく、複数の不動産会社に依頼して頻繁にプッシュしたり、「1円でもいい」ことを強調してとにかく買い手を見つけたりするなど、オーナーの主体的努力が必要になります。
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著者紹介
不動産投資塾編集部不動産投資塾編集部
投資への関心が高まる中で、高い安定性から注目を集める不動産投資。しかし不動産業界の現状は残念ながら不透明な部分が多く、様々な場面で個人投資家様の判断と見極めを要します。一人ひとりの個人投資家様が正しい知識を身に付け、今後起こり得るトラブルに対応していくことが肝要です。私たち一般社団法人首都圏小規模住宅協会は、投資用不動産業界の健全化を目指す活動の一環として本サイト「不動産投資塾新聞社」を介し、公平な情報をお送りいたします。