『融資地獄』連載
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2019年9月30日(月)
【第22回】投資に失敗したら自分の頭と常識で考えず、専門家のアドバイスを得よう
“生兵法”は大ケガのもと。自分の頭と常識で考えるな!
トラブル解決で重要なのは、信頼できるプロを見つけることと、任せるところをきちんと任せることです。
インターネットで簡単に情報が手に入るようになったこともあって、少し情報を聞きかじっただけで「わかったつもり」になってしまう人がいます。しかし、融資、不動産、法律といった専門知識が求められる分野においては、言い方は乱暴かもしれませんが、素人はしょせん素人です。専門教育を受けたり、業界で経験を積んできた人とは圧倒的な差があり、その差をネット上の情報だけで埋めることは不可能なのです。
また、「わかったつもり」は、言い換えれば「正しく理解していない」ということです。そのため、わかったつもりの人が間違った情報を正しいと思い込んでいるケースもありますし、重要な部分を見逃し、表面的に理解しているケースもあります。
そもそもインターネットにある情報は万人向けに作られているため、融資トラブルのように個々で事情が異なる場合の解決策としては不十分である場合がほとんどです。オーナーが抱えるトラブルは、トラブルになった背景、金額、物件の運用状況、オーナーの家族構成といったさまざまな点に違いがあるため、「こういう時は、こうやって解決する」といったセオリーが通用せず、個別相談によって解決していかなければならないのです。
そのような事態避けるためにも、自分の常識や、自分が理解できる範囲のことだけでトラブル解決に取り組むのはやめましょう。
「わかったつもり」は危険です。その危険性に気づかずにいると、トラブルがさらに大きくなります。
多少のお金がかかったとしても、プロに任せた方が良いことはたくさんあります。弁護士はそのために存在しているのです。
傷ついたサラリーマン大家の“駆け込み寺”
返済不能になることも、その解決策として弁護士に相談することも、多くのサラリーマン大家にとってはおそらく初めての経験になるだろうと思います。
お金のトラブルは心理的に大きな負担になります。そのせいでパニックになる人もいますし、冷静に判断できなくなる人もいます。
そのような場合は、もっとも身近な相談窓口として、畑中弁護士の事務所に設立した『「融資地獄」脱出相談所──弁護士法人畑中鐵丸法律事務所 サラリーマン大家返済トラブル相談専用窓口──』を頼ってみてください。
この窓口では、私が尊敬する弁護士の1人で、サラリーマン経験もある畑中先生の事務所が対応してくれます。「不幸な大家さんを一人でも多く救いたい」という私の想いを汲み、先生がボランティア活動の一環として設立してくれました。窓口の役割は、サラリーマン大家の救済です。ボランティアとしての意味合いもあることから、初回の相談は無料ですし、事務所が東京駅の近くにあるため、アクセス面から見て相談にも訪れやすいと思います。
私が理事長を務める一般社団法人首都圏小規模住宅協会も、スポンサーとしてこの活動に協力しています。
また、返済不能という大きなトラブルを抱えているオーナーがいる一方には、トラブルがまだ表面化していない人、「もしかしたら」と不安に感じている人、弁護士に相談したほうが良いか迷っている人、何を相談したら良いかわからない人などもいると思います。
そのような状況の人に向けて、一般社団法人首都圏小規模住宅協会内に『「融資地 獄」行き予防サロン』も設置しました。
この窓口は法的相談ではなく、返済の現状や収益状態について不安を持つ人の相談を受け付けています。今の状況について話を聞いてほしいという人も、ぜひこの窓口を使ってください。相談することにより、融資地獄に陥る道を断ち切れることもあります。不安だなと感じたら、不安で夜も眠れないような状態になる前に、気軽に相談してほしいと思います。
希望を捨てるな! 投資の失敗、借金なんて、かすり傷だ!
不動産投資にはリスクが伴います。リスクとリターンの観点から見て、儲かる可能性があるのですから、損する可能性もあるのが当たり前です。
ただし、失敗した人を自己責任だからと突き放すのは、私は違うだろうと思っています。一般社団法人首都圏小規模住宅協会を立ち上げた理由にもつながりますが、不動産投資の業界を改善していけば、失敗して頭を抱える人は減らせると思います。私や協会のような立場で、失敗したり、失敗しそうになっているオーナーの力になることもできると思っています。
一方で、投資を広めたいとは思っていません。投資するオーナーに手を差し伸べる活動をしている立場でそのようなことを言うのは違和感があるかもしれませんが、無理に投資をする必要はなく、投資を続ける必要もないだろうと思っているからです。
投資はそもそも、やりたい人だけがやれば良いものです。失敗を経てやり直すのも良いですが、失敗に懲りて「もうやらない」と判断するのも良い選択だと思うのです。
これから投資を始めたいと思っている人や、すでに投資をし、失敗したり、失敗しそうになっている人に伝えたいことは、投資は人生を豊かにするための手段であり、目的ではないということです。
当たり前のことですが、投資よりも人生のほうがはるかに重要です。投資で人生が豊かになるなら良いのですが、苦しくなり、悩みが増えるのであれば、やらないという選択もあるのです。
そのこともしっかりと頭に入れて、投資をするかどうか、続けるかどうかまでを含め、とことん自分で判断する姿勢を徹底してほしいと思います。
不動産会社やコンサルティング業者は「やったほうが良い」というでしょう。それが彼らのビジネスなのですから当然です。成功している大家は「失敗しても大丈夫」「続けていけばうまくいく」と言いますが、その人が失敗をフォローしてくれるわけではありません。「大丈夫」「うまくいく」という意見は実はとても無責任なのです。
すでにトラブルを抱えていたり、失敗に向かっていると感じているなら、傷が浅いうちに急いで対応しましょう。トラブルを解決し、正常な状態で考えられるようになったら、改めて続けるかどうか考えてみてください。
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著者紹介
不動産投資塾編集部不動産投資塾編集部
投資への関心が高まる中で、高い安定性から注目を集める不動産投資。しかし不動産業界の現状は残念ながら不透明な部分が多く、様々な場面で個人投資家様の判断と見極めを要します。一人ひとりの個人投資家様が正しい知識を身に付け、今後起こり得るトラブルに対応していくことが肝要です。私たち一般社団法人首都圏小規模住宅協会は、投資用不動産業界の健全化を目指す活動の一環として本サイト「不動産投資塾新聞社」を介し、公平な情報をお送りいたします。