加藤隆が実際に体験した不動産投資の罠
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2019年1月21日(月)
リスク回避のための分散投資では、どのエリアに注目するべき?
私は現在、東京、博多、札幌、名古屋、京都、小樽、千葉と、全国展開で不動産経営を行っています。
自分自身が住んでいるエリアや、出張や旅行などで訪れた都市の中で、気に入った街の物件を買ってきたともいえますが、その根底には、地震などの自然災害、そして景気面でのリスク分散といった考え方があります。最初はリスクの低い東京から始め、都市ごとのリスクも考慮しながら、地方へ展開していきました。
自然災害にはエリア分散で対処する
自然災害といえば、地震や二次災害としての火災、建物倒壊、津波・原子力発電所爆発・放射能漏洩、そして台風・土砂災害などが思い当たります。
自然災害は、人間ではコントロールできないものなので、リスク分散と損害保険(火災保険・地震保険・第三者損害賠償責任保険など)の活用くらいしか、手立てはないかと思います。
さらに、自然災害に強いエリアを選び、建物をしっかり選定することが大切だと考えています。
例えば関東ローム層の西側など、地盤がしっかりとしているエリア、埋立地でないエリアや海岸線から遠いエリア、標高が高いエリア、そして木造家屋密集地でないエリアなどです。
新耐震基準(1981年6月以降建築申請)の建物にするなど、しっかりとした物件を選ぶことも大事です。
自然災害については、同時に全エリアで起こるわけではないので、エリア分散は効果的です。
ただし、日本は地震大国ですので、どのエリアにも地震リスクはあります。
リスクの低い場所を強いて挙げるなら、札幌や博多あたりでしょうか。
景気変動のリスクにもエリア分散は有効
景気対策については、それぞれの都市に特徴がありますので、ある程度はリスク分散を図ることができます。
例えば東京は日本の首都として、政治・経済・文化・観光などの中心地です。
神奈川や千葉、埼玉を含めた「東京圏」として、最大の都市圏を形成しています。
大阪や神戸、京都は「大阪圏」として日本第二の地位があります。経済・文化・観光も盛んです。
名古屋は、自動車の工業都市として不動の地位があります。
札幌は、北海道の中心地として観光が活発です。博多は、九州の中心地として、自動車などの工業が元気です。以下では、各エリアの特徴についてみていきたいと思います。
まずは、東京から解説していきましょう。
東京は「世界のTOKYO」といわれるように、日本を代表する大都市です。
日本全体では、人口や世帯数は減少しつつありますが、東京は今だに増え続けています。
神奈川県(横浜・川崎)、千葉県(千葉)、埼玉県(埼玉)といった政令指定都市も含めて、首都圏を形成しています。
学生や若い方、生産年齢人口も多く、平均所得も高いです。
2020年に開催される東京オリンピックや、品川~名古屋~大阪で開通するリニアモーターカー構想もあります。ただし、地震のリスクは高いです。
名古屋は、中部ブロックの中心地で、トヨタといった自動車産業をはじめとした工業都市です。
2005年には中部国際空港(通称セントレア空港)の開港もありましたし、名古屋駅前の再開発が続いています。
リニアモーターカー構想が実現すれば、品川~名古屋間は約40分で移動可能となり、もはや大東京圏ともいえそうです。
ただし、こちらも地震のリスクはあります。
札幌は、北海道ブロックの中心地で、ロシアへの玄関口でもあります。
自然に恵まれており、観光地としても有名です。
道路は碁盤の目のように整備されており、地震も少ないです。ちなみに、じゃがいも、トウモロコシ、蟹、ジンギスカン、味噌ラーメン、スープカレー、アイスクリーム、白い恋人、六花亭ラムレーズンサンド、じゃがポックルといった特産品や銘菓もあります。
小樽は、昔からの港湾、金融、観光都市として栄えましたが、大都市である札幌からも近く、海産物が有名です。
北海道新幹線やカジノシティ構想もあるようです。
博多は、九州ブロックの中心地であり、韓国、台湾、中国の玄関口でもあります。自動車産業なども盛んで、地震のリスクも低いです。
京都は、神戸・堺・姫路等と共に大阪圏を形成しています。
学問の街でもあり、学生が多いであり、技術都市・観光都市でもあります。
京都おばんざい、八ツ橋などが美味しいです。
不動産投資をするなら土地勘があるか馴染みのあるエリアで
ところで、私の出身は広島ですが、今は東京に住んでいます。
勤め先の出張では、仙台、伊東、名古屋、大阪、神戸、広島、博多、大分、長崎、熊本、宮崎、台湾(新竹)などに行ったり、東京以外にも、仙台、福島、大宮、浦和、横浜、沼津、静岡、名古屋、大阪、岡山、広島、博多などに講演で呼ばれたり、旅行で訪れたりしました。
その中で、気に入ってご縁があった街で物件を購入してきました。
やはり、自分自身の出身地や住んだことのある街、もしくは出張や旅行などでよく行く街など、馴染みがあり、土地勘のあるエリアから選んだ方がいいかと思います。
投資エリアの選定には、人口の多寡も重視するべき
日本全体としては少子高齢化が進んでおり、これからも人口は減っていきます。
その中でも、人口・世帯数増が続いているエリアを選ぶこともポイントです。
さらに、国・企業・個人ともに、貧富の差が拡大しています。
富裕層が好むような、もしくは住みたいエリアと、そうでないエリアが分かれつつあるのです。
東京、大阪、名古屋、札幌、博多、仙台、広島等、中核ブロック都市あたりが無難かと思います。
あとは、都道府県庁所在地でしょうか。逆にいえば、人口30万人未満の小都市クラスですと、そもそも融資受けにも苦労するようです。
交通インフラの充実しているエリアは、今後の発展にも期待できる
上記に挙げた都市の中でも、やはり交通インフラが発展していくエリアは有望だと思います。
最たるものは、リニアモーターカーでしょう。先ほども述べたように、品川~名古屋(西口)間の移動時間は約40分となり、さらに大阪まで開通が予定されています。
品川・橋本・甲府・名古屋・大阪を通過することになるので、ますます便利になっていくでしょう。品川と名古屋は、在来線・新幹線・リニアすべてが集中します。また、港や空港にもアクセスがよいため、陸・海・空すべての移動手段において便利になるのです。品川はさすがに高価ですが、現在、私は名古屋駅にアパートを3棟所有しております。
その他のエリア(沖縄)
その他の地域も挙げてみましょう。
沖縄は、那覇であっても大都市とまではいえない上、平均所得が低いエリアです。
一方で人口が増えているという珍しいエリアです。
観光都市でもありますが、基地も多く、立地のいいエリアが限られてくるのでしょう。
私も、何度か旅行で訪れましたが、沖縄そば、パイナップルなど特産品も数多くあり、カジノ構想や経済特区構想もあります。
その他のエリア(海外)
私の場合、海外旅行に行く機会があります。
最近では、イギリス、ベトナム、カンボジア、ハワイ、タイ、マレーシア、シンガポールなどです。
以前は、グアム、サイパン、オーストラリア、そしてかなり昔になりますが、中国、台湾、韓国、インドネシア、アメリカ、フィリピン、イタリア、ドイツ、フランス、オランダ、スイスなどにも出向きました。
最近では、資産運用物件の視察という視点で、エリアや物件を見ることがあります。
もっといえば不動産投資だけでなく、移住という点でも海外に注目しています。
日本は、少子高齢化によって、人口減、不景気であり、国も1,200兆円の負債を抱え、年金制度も崩壊しています。
片や海外を見渡すと、若年層が多く、人口増、好景気で成長している国が多いのです。
ただし、諸外国は、調達金利も高く、キャッシュフロー・インカムゲインが出ず、値上がり益期待しか狙えません。
いわば、博打に近いものがあります。法令・税制も違いますし、何より遠く、目が行き届きにくいものです。
現状では、まだまだ課題が多いようです。
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著者紹介
加藤 隆加藤 隆
サラリーマンのままで、経済的・時間的・精神的自由を目標に、預貯金・外国為替・貴金属・株等の資産運用を経て、不動産経営歴31年。数々の失敗・バブル崩壊を生き抜き、リスク分散をモットーに、東京・博多・札幌・名古屋・京都・小樽・千葉に、区分所有マンション・一棟物アパート・一棟物マンション・戸建等、物件108戸を運営。総資産7億円・借入5億円・自己資本2億円、年間家賃収入4,100百万円・借入金返済3,100万円・キャッシュフロー1,600万円。節税で、所得税・住民税ゼロ。