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「アパート・マンション経営の専門家」大長伸吉の不動産投資、成功の法則

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知っておくべき!不動産投資と不動産経営の違い

目次

不動産投資と不動産経営は、同じように使われることもある言葉ですが、全く意味が異なると私は思っています。不動産投資として常識であることも、不動産経営としては非常識であることが多いことを知っておくべきです。

世の中にはたくさん情報があります。不動産について情報を得ようとしているときに、一見、欲しい情報だと思っていても、それが不動産投資のものか、それとも不動産経営のものであるかという前提条件が異なっているため、まったく別の結論を出しているものがあります。そういった情報をそのまま信用してしまうと、自分の目的とは異なるものであることに気づかず、大きな失敗をしてしまうことがあります。今回は不動産投資と不動産経営の違いについて説明したいと思いますので、参考にしてください。

不動産投資と不動産経営の違い

不動産投資は、文字通り資金を投じ、その資金よりも多いリターンを期待して収益不動産を取得するものです。

そもそも投資という言葉には、資本を増加させるために現在の資金を投下することに加えて、リスク(不確実性)を伴うことが意味として含まれています。つまり、リスクのない投資はないのです。

収益性が高い物件ほど、リスクの負担がより大きくなる傾向があります。このリスクを踏まえて、不動産投資を実行するかしないかを決めなければなりません。

しかし、現在の不動産投資では、そのリスクを十分に把握しないまま、サブリース契約を管理業者などと結ぶことで安心し、管理や経営を人任せにしてしまう投資家が増えているように感じます。

これに対して、不動産経営でも資金を投じることは不動産投資と同様ですが、リスクに対する考え方が異なります。あらゆる業界でも経営者がリスクの細部の内容と原因を知らず、そして対策方法をあらかじめ準備せずに、経営を行うことはまずありません。

経営において、準備不足は破滅を意味します。

一般的には、不動産投資という言葉が多く使われています。

株式投資やFX投資のような流れで、お金を動かすだけの行為、収益が出ることだけを見込んだ収益不動産の取得が多く、もし収益が上がらないとなるとすぐに売却をしてしまう事例が多くみられます。つまり、不動産投資のために収益不動産を取得しても、多くの人が不動産経営のためには取得していないのです。

このような状況だからこそ、不動産経営という言葉を使うより、不動産投資という言葉のほうがふさわしい印象になるのでしょう。

ただし実態は、投資のために割り切って収益不動産を取得する場合が多いというより、オーナーとなる人の心構えが甘く、徹底的な準備と対策をすることなくワンルームマンションやアパートを取得してしまうため、十分な対策の準備が足りずに収益が悪化して売却する事例が多いといえます。

不動産経営をするつもりで収益不動産を取得しても、収益が悪化したからと赤字覚悟で手放す、そんな現状が不動産投資の世界にはあるのです。

不動産投資のメリットはもう有効とは言えない

株式投資やFX投資など、他の投資と比べたときに指摘される不動産投資の主なメリットは、以下のようなものがあります。

メリット1.日々の収益の変動幅が小さいこと
メリット2.不動産という現物の資産を所有できること

そのため、各種の投資と比べて安定性があるとも言われます。

さらには、次のようにオーナーの苦労が少ないこともあげられます。

メリット3.サブリースや管理委託ができ、オーナーの手間がかからないこと
メリット4.オーナーに不動産の知識がなくても、資金を出すだけで始められること

上記のようなことをメリットとする情報が、街の広告やチラシなどで多く語られています。

しかし本当に、それを信じてよいのでしょうか。

実際には、上記のメリットを常に得られるわけではありませんし、そもそも投資として比較している対象の性質が大きく異なるため、一概にメリットと言えない場合もあります。

それに、不動産投資は以前のように簡単に収益をあげられるものではなくなりました。

以前は人口が増え、日本経済が成長をしていた時代でしたが、現在は人口が減少し始め、将来の景気が良くなるとは言えない状況です。

賃貸不動産業界が厳しい状況に置かれています。

誰もが、不動産オーナーとなり成功を収められる時代ではなくなってしまったのです。知識がなくてもいいからと、あるいは管理が業者任せで楽だからと手を出すと、痛い目を見る、そんな話をよく聞くようになっています。

不動産投資のデメリットとトラブル事例

これまでの話から、私はデメリットとして次のことをまず指摘したいと思います。

「不動産投資のデメリットは、資金を準備するだけで収益不動産オーナーになれること」です。

先ほどはメリットとしてあげましたが、実際はこれをメリットとは言えません。オーナーが習得しておくべき知識や技術を取得することなしに、高額な不動産を所有してしまうことは危険なことです。

また、サブリースにすることや管理を外部委託することで、オーナーが楽をすることができるとも言われますが、このサブリースや管理委託には高額な費用がかかります。これらは毎月の費用として細分化されると少額であるように感じますが、数十年のトータル費用を計算するととても高額な費用となることを認識しておくべきです。

楽なことには、費用がかかっているのです。

例えば、毎月50万円の家賃が得られる物件を所有し、管理費用が家賃収入の5%である場合、毎月の管理費用は2万5千円です。年間費用は30万円です。これが35年間ですと1,050万円です。

この費用を収益として得られなくなることは、大きなデメリットです。

しかし、もっと大きなデメリットがあります。
それは、オーナーが物件の管理方法を全く知ることがなく時間が過ぎてしまうことです。

収益不動産オーナーとして、初年度、2年、5年、10年と歳を重ねるとともに、オーナーの管理能力は増長されるべきなのに、全てを業者任せにしてしまうと、当初初心者であったオーナーはいつまでたっても初心者のままです。収益不動産のオーナーとしての経験が得られないことは、トラブルなどの対応で自己判断ができなくなるため、経験値を積むという意味では損失と言えるでしょう。

例えば、市場ではサブリース契約におけるトラブルが多発しています。

当初は、オーナーはサブリース会社に全権を任せて、空室でも定期家賃をもらえるという契約をしています。しかし、空室が多い物件では、サブリース会社が予定通りの家賃を得ることができなくなります。

サブリース会社は経費も負担しており、得られる月家賃よりもオーナーへの月の支払い額が多ければ大きな赤字になってしまいます。

そのため、サブリース会社がサブリース契約を解除してしまうケースが増えているのです。
10数年間、オーナーは楽をして定額家賃を得られたのかもしれませんが、楽をしたために不動産管理の知識が全くない状態です。

いきなり空室物件を満室にするなどとの高度な技術がなく、大きな赤字を抱えて、破綻をする人も出てきています。これはオーナーが楽をしてしまった“つけ”と言えるでしょう。

先ほど指摘したように、近年は、誰もがアパートやマンションなどの物件を持ち収益をあげられる時代ではありません。東京の中でも、成功をする地域、成功できない地域の差が大きくなっています。

新築物件の実態を見ても、満室となる物件と空室だらけの物件との差異が大きくなっています。この差異にはさまざまな要因がありますが、物件管理もその一つです。

管理が行き届いた物件では満室が続きますが、建物の周りが汚い物件からは入居者が退去をしてしまいます。管理能力は、不動産経営を成功に導くためにとても重要なものなのです。

不動産経営で成功をつかむ

不動産経営をしようとしているオーナーは、しっかりと勉強をして事前の準備をしているため、不動産賃貸事業を十分に理解しています。その上、日々、オーナーが頭・手・足を使っています。そのため、オーナーの意思で各種の管理費用を節約できています。

いままで、不動産投資として成功をしていた人でも成功できない時代となっています。
不動産投資としての“楽”は、失敗のもとです。

現在の不動産市場では、不動産投資という浅はかな気持ちで不動産を取得した場合は空室が増え、賃貸経営について十分な技術を持ったオーナーは満室を維持できています。

不動産経営でのチェック事項

最後に不動産経営をする上で大切なチェック事項をご紹介します。

・入居者が住みたいと思える適正な立地であるか
・入居者が住みたいと思える適正な建物であるか
・管理を依頼している不動産業者は適切な仕事をしているのか
・無駄な支出がないか
・適正な家賃で募集ができているか
・適正な募集方法であるか
・建物の管理体制、修繕計画は適切であるか

これらは、必ず確認をしておくべきことです。

この確認作業ができていない、または修正をすべきと感じたのならば、すぐにオーナー自身が行動を起こすべきです。

まとめ

不動産投資と不動産経営は、異なるものです。他の各種の投資と不動産投資を比較するのではなく、収益不動産市場の中で勝ち抜く方法を優先して考え、実行するべきです。

不動産投資では、楽をしている分大きな費用がかかり、また賃貸経営においてオーナーが習得するべき技術を習得できません。

賃貸経営のリスクを十分に把握せずに、サブリース契約を管理業者などと結び人任せにしてはいけません。オーナーが賃貸経営に対して、しっかりとした心構えを持ち、リスクに対する徹底的な準備と対策をすることが大切です。

近年は誰もが収益をあげられる時代ではありません。日々、オーナーが頭・手・足を使って成長することが有効です。

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著者紹介

大長 伸吉
大長 伸吉

ランガルハウス株式会社 代表、年金大家会 主宰。
生涯所得の1/3ほどの住まいにかかる出費をゼロにするために、賃貸併用住宅を活用して、サラリーマンや事業主をサポート。
千葉大学大学院工学研究科卒、新築及び中古1Rマンション、中古アパート、世田谷/北関東/多摩新築アパートなど各種の不動産賃貸業の経験をもとに、主にサラリーマンのアパート経営の支援。建築サポート実績127棟。通算2050人の聴講者と2450回を超える相談会にてサポートを継続中。著書に『サラリーマン大家の「クズ土地」アパート経営術』『王道アパート経営で「マイ年金」づくり』など
所持資格:宅地建物取引士、貸金業務取扱主任者、FP2級技能士

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