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石川貴康の超合理的不動産投資術

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かつて諦めたRCマンション投資に、再度チャレンジしようと思った理由

目次

1棟物を投資対象にしていた私は、長い間木造アパートを中心に投資を考えていました。できれば、鉄骨や、RC造のマンションは避けていました。ところが、ある時地方のRC物件を買うことになりました。自分の方針と違う決定をしたわけです。その前後では鉄骨も買っています。少し、方針がぶれた時期があったのですね。

RCは買わないことを方針にしていましたが、ふとしたきっかけでRCを買い、7年ほど所有し、結局手放すことにしました。その後、再度RCは買わないことを自分なりの方針として掲げました。

しかし、昨年、またRCを買ってしまいました。なぜ、一度やめたRCを再び買い始めたのか、この辺の経緯も今回書いてみたいと思います。

木造中古1棟物を方針としていた私がRCを買ったわけ

1棟物不動産を購入し始めた時に、私は木造のみを購入し、RCは購入しないと決めていました。理由は以下です。

①コストがかかる

RCは木造に比べてコスト高だと考えていました。まず、固定資産税が高い。建物に対する固定資産税は、建物の価値に対してかかる前提です。RCは建築コストが高いので、木造に比べて固定資産税が高くなります。

また、管理費用も高くなります。この場合の管理費用とは清掃代や保守費用です。RCの建物は大規模になるため、清掃にもお金がかかりますし、エレベーターや給水設備、受電装置の点検・保守費用もかかります。共用部の電気代、階ごとに設置する消火器の交換代なども高いのです。

もちろん、木造でも同じように費用がかかりますが、RCに比べて規模が小さいため、費用は少なめで済みます。

家賃収入に対して、RCも木造も変わらない率でコストがかかるなら正当かもしれませんが、私はそうは思っていませんでした。同じ表面利回りなら、RCの方が固定資産税と設備などに関わる管理費用が大きいので敬遠していました。

②大規模修繕などの大きな資金需要が発生する

木造でも修繕はありますが、RCの場合はやはり規模が大きくなります。外壁塗装、屋上塗装などは足場が相当な高さになり、修繕費がかさみます。一度3億円ほどのRCの購入を検討しましたが、大規模修繕で3、4千万を覚悟して欲しい旨言われて、購入を断念したことがあります。

購入後数年でこれだけの費用を賄うような収益は見込めませんでした。もし、それだけ稼げたとしても、大規模修繕で数年分の収益が一気に吹っ飛びます。これでは買えないと思いました。

また、エレベーターの撤去・交換が大きな費用です。ざっくりいうと、エレベーターを全撤去・交換すると1,500万円ほどになります。これも、大規模修繕にオンされます。RCは利回りが良いとしても、ここまでの巨額の資金をプールできるのか不安だったのです。

③出口戦略が描きにくい

理由の3点目として想定したのが出口の描きにくさでした。私が描く不動産投資の出口は、そのまま売却、取り壊して土地での売却、再建築でした。

まず、そのまま売却の場合、規模が大きいマンションにすぐ買い手が現れるかどうか、心配がありました。億単位のマンションを売るにも、もし、景気が悪くなり、融資が下りにくくなったりしたら、「切羽詰まっているのに売るに売れない状況」にならないだろうか、といった心配です。

次に、取り壊しての土地での売却ですが、取り壊し費用が気になりました。規模が大きければ数千万円の取り壊し費用がかかるので、果たしてペイするのか心配になりました。木造なら数十万円から数百万円で済むところ、桁が一つ以上あがってしまいます。

再建築も同様です。取り壊し費用が多額になるため、取り壊し費用+再建築費用で必要以上にコストがかさみ、資金が必要になり、かつ、収益を圧迫するのではないかと想定しました。

このような3つの理由により、RC1棟物の購入はしない方針にしていたのです。

RC1棟物の投資と運用の顛末

RCは買わないと決めていた私ですが、あるとき、RC1棟物を購入してしまいました。2006年でしたでしょうか、北関東の地方都市で、企業城下町です。

表面利回り14%、売り出し価格1億4,500万円でした。築25年、6階建て、1階事務所4戸、2階から6階で3LDKまたは2LDK20戸の合計24戸。駐車場は1戸に対し2台確保され、敷地は700平米でした。屋上からは太平洋が望める、堅牢なRCでした。

2006年当時は木造アパートで表面利回り8%から10%くらいでしたから、利回りも魅力的でした。また、当時はある大手都市銀行がフルローンをつけてくれるとのことで、購入もとんとん拍子でした。(ローンは、いろいろな銀行側の手違いもあり、最終的にオーバーローンとなりました)

さて、この物件、表面14%といっても満室ではありません。1階事務所が4戸のうち3戸空いています。居住用も満室ではありませんでした。実質は8%くらいでしたね。

家賃はだいたい月100万円ほどでした。そこからローンで70万円出ていきます。さらに管理費や電気代、点検費用、掃除などで月10万円は出ていきます。月の手残りは、100万円△70万円△10万円で20万円。年間で合計すると20万円×12=240万円でした。さらに年間の固定資産税が150万円でした。結局、年間の手残りは90万程度、これだけの規模でたったの90万です。

これでは、5千万円に満たない木造アパートに負けています。その後頑張って満室にすることで、月の手残りが30万ほど増えましたが、そんなに儲からないというのが実感です。

これでは、大規模修繕やエレベーターの交換は無理だとの判断をしました。特に地方は徐々に雇用情勢が悪化し、経済が衰退していて、RCの3LDKや2LDKの家賃が支払える層が減っていきました。かつては県内一を誇った人口も今は減少の一途、企業城下町もさびれてきていました。家賃が賄える層が減れば、さらに経営が苦しくなるリスクがありました。

ということで、この物件は、ここのところの好景気で売却してしまいました。価格を安めにしたので、即売れるかと思いきや、やはり融資が引けない人が続き、思った通りというか、出口が描きにくいなという印象を持ちました。

売却益はほとんど出ませんでしたが、僅かな利益も、所有期間が5年を超えていたおかげで、長期譲渡所得で済みました。経営にも苦労しましたし、金額のわりに私が持つ他の木造に収益も負けていましたから、やはりRCはもう買わないと思った次第です。

再びRCを買い始めたわけ

しかし、ここにきて、実は昨年(2017年)11月に再びRCを購入しました。表面利回り9%、9400万円。築25年です。場所はやはり、北関東地方都市で、またまた大手企業の工場が立ち並ぶ地域の近くです。

もうRCは買わないと決めた私ですが、以下の理由で再度チャレンジすることにしました。

①エレベーターなしの小規模なRCにすることで運用コストを抑える

購入したRCマンションは5階建てですが、エレベーターがありません。それでも、入居者がちゃんといます。エレベーターがなければ管理費用も木造とそう変わらないので、コストが抑制できると踏みました。

もちろん、不動産取得税や固定資産税は高くなりますが、賄える範囲です。

②大規模修繕などの資金需要も抑制できる

今後、大規模修繕が発生しても建物規模が大きくないため、コストは抑制できるでしょう。

③不動産価格の高騰で9%利回りでも希少

ここ数年、不動産価格が上昇し、利回りが悪化しています。そのなかでも表面ではありますが、9%の利回りが確保できる物件は希少でした。

また、地方物件で利回りが高いと紹介される物件は、空室が多く、満室想定なら高利回りという訳アリ物件だったりします。しかし、この物件はそんなことはなく、きちんとした物件で満室でした。

まあ、地方でも最近では出てきにくい利回りでしたので、つい買ってしまったというところでもあります。この物件もフルローンでありながら、今のところかなりのキャッシュを毎月生んでくれています。

ところで、私がRCを買わない理由として先述した③の「出口が描きにくい」という点は、解消が難しいところです。とはいえ、一応1億円以内なので、売却のハードルは億円単位の物件よりは低いでしょう。しかしながら、解体をする際に費用がかかる点はいたしかたなく、土地での売却や再建築ではどうしてもコストが高くつきます。

しかし、この物件は潤沢なキャッシュが残ります。この資金を積み立てておき、将来に備えようと思います。ということで、出口でお金がかかる点を、どこまで手残りのキャッシュで積み立ていけるか、というところが勝負でしょう。今のところ、この1年ほどは順調そうです。
改めて、木造、鉄骨、RCによる手残りの相違を吸収しつつも、不動産投資で確実にキャッシュを残せるなら、構造にこだわらず、今後は買っていくことにしました。

不動産投資はマラソンのように、長い期間保有するものと私は思っています。出口も含めて、トータルでキャッシュが最大化するように努力をすることも、また楽しいものです。頑張って今後も増やしていこうと思います。

著者紹介

石川 貴康
石川 貴康

外資系コンサルティング会社、シンクタンクに勤務し、現在は独立の経営コンサルタント。大手企業の改革支援を今も続ける。対製造業のコンサルタントでは業界第一人者の一人。会計事務所も経ており、経理、資産評価、相続対策にも詳しい。2002年から不動産投資を始め、現在は15棟153室ほか太陽光3箇所、借地8箇所を経営する。著書に『いますぐプライベートカンパニーを作りなさい! 、サラリーマンは自宅を買うな(東洋経済新報社)』『サラリーマン「ダブル収入」実現法 、100円ちゃりんちゃりん投資、(プレジデント社)』など

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