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不動産投資の最新動向

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不動産業の独立は失敗が多い? 気になる開業資金は?

目次

不動産投資で安定収入や高額収入を得ているオーナーの中には、不動産事業者として独立する人もいます。

不動産営業から不動産事業者として独立する人もいるでしょう。

しかし、事業が失敗して苦しむ人が少なくないのも事実。

今回の記事では、独立を目指す上で知りたい開業資金や年収、失敗要因などを紹介します。

不動産業は独立が簡単?

2018年の不動産業界の法人数は全国で約33万8000社にのぼり、全産業の12%を占めています。

宅地建物取引業の法人や個人に限っても、合計約12万件あり、約5万8000店舗あるといわれているコンビニの約2倍の数を誇っているのです。

不動産会社が多く生まれるのには、どのような背景があるのでしょうか。

その理由を3つ紹介します。

理由1:開業資金が安い

不動産業の独立開業のしやすさの大きな理由の一つとして、開業資金が他の業種に比べて安価であることが挙げられます。

たとえば、飲食店を開業する場合、店舗費用や内装費用のほか、店舗でサービスや料理の提供を行うスタッフを雇う必要があります。

これらをすべて揃えると、開業資金として1500万円ほど用意しなければなりません。

一方、不動産業の場合は必ずしも店舗や事務所を構える必要はないので、多く見積もっても500万円ほどで開業することができます。

開業資金の内訳としては、法人登記費用が30万円ほど、宅地建物取引業協会(宅建協会)への加入費用が150万円ほど。

もし事務所を構える場合も、マンションの一室など賃貸契約の敷金と礼金を用意し、あとは月額の家賃を支払えば十分です。

さらにコストを抑えようとするのであれば、コワーキングスペースで仕事する手段も考えられます。

開業資金が抑えられるのは、独立、開業するにあたってとても大きなメリットとなります。

理由2:人件費を抑えることができる

会社を設立しようとすると、人を雇わなければなりません。

さらに、雇用をすると健康保険料、年金保険料、雇用保険料といった社会保険料の支払いも必要になります。

不動産業が人件費を抑えることできるのは、営業マンは固定給を安く、歩合を高く設定している会社が多いためです。

固定給の発生しないフルコミッション制(完全歩合)を採用している会社も少なくないため、結果の出ない営業パーソンに対しては給与の支払いを抑えることが可能なのです。

また、成果を出した社員に対しては高いインセンティブを支払う制度のため、売上げを確保しながら給与を支払うという仕組みを構築できます。

フルコミッション制を採用して効率的に社員の給料を支払っていることも、不動産業が低コストで開業できる特徴の一つといえます。

ほかにも、不動産仲介業の場合は、自社で物件を買い付ける必要がないため、在庫を抱えるリスクもありません。

前述した飲食業などは、大量に在庫を抱えることと大量廃棄が常に不安要素になります。

経費が少ないのも不動産業を開業するうえでのメリットといえるでしょう。

理由3:営業力ひとつで大きく売上げを伸ばすことができる

不動産業は営業力が命です。

一定の不動産知識さえ持っていれば、営業力ひとつを武器に売上げをどんどん伸ばしていくことが可能な業界

違う業種で営業マンとして優秀だった人が、不動産オーナーとしても成功し、後に不動産業で独立する話は非常に多いのです。

ただ、不動産業の事務所には5人に1人の割合で宅地建物取引士が必要なため、開業する際に地建物取引業免許の取得が必須であることは覚えておきましょう。

実は廃業がかなり多い⁉︎

不動産業は独立や起業のハードルが低いことは、理解できたと思います。では、不動産業は稼げるのでしょうか。

もちろん、成功者の中には億単位を稼ぐ人も存在します。しかし、実情それほど甘い世界ではありません。

2019年から2020年の間に、新規開業した不動産会社は約5900社あります。

この数字をより細かく見ると、2019年の不動産会社は123,782社ですが、2020年では124,451社とたった669社しか増えていません。

つまり、1年のうちに5000社以上が倒産しているのです。

不動産業が廃業になってしまう主な要因

では、不動産業の廃業について、具体的な失敗要因を見ていきましょう。

失敗要因1:いい加減な支出管理

不動産業の廃業の主な要因の一つとして、支出管理の不徹底が挙げられます。

営業主体で売上げを作り出していこうという意識は強く持っている人が多い一方、出ていくお金に関しては無頓着な人が多いようです。

会社勤めの営業パーソンは、稼ぎが多ければ多いほど湯水のようにお金を使い、出ていくお金はまた稼げばよいという認識の人が実に多いのです。

不動産業として独立したら、営業マン時代を同じようにお金を使っていれば会社は破綻します。

会社は、事務所の家賃のほか、人件費や不動産ポータルサイトへの掲載費用、広告費、事務用品の購入費など、毎月50万〜100万円が必ず必要。

営業パーソンから経営者になった人は特に、会社の運転資金の管理をしっかり行いましょう。

具体的な失敗談で、売上げが好調だった一方で人員や広告に予算を投じず、社長が毎晩のように飲み歩いて散財してしまった……という例が実に多いのです。

失敗要因2:営業力を過信してしまった

営業力の高い経営者は、トーク力に自信を持っているようです。

しかし、話術だけで安定した経営をすることはできません。

自分の実力を過大評価した人は、会社の看板があったからアポが簡単に獲得できたり、契約締結が早かった、と独立後に初めて気づくのです。

特に社長1人で開業した不動産会社の場合、事務所に終日居ない日もあるでしょう。

そのため連絡が取りづらくなったり、有名会社の看板がないことで、お客さまが別の不動産会社に流れることは多いのです。

くわえて、事務作業や契約書作成など、自分でやってみると勝手が違い、独立後に苦戦する人も。

前職での人脈や紹介で営業をひと回りしたら、次の新規開拓がうまくいかず売上げが激減したというケースも珍しくありません。

営業力を過信せず堅実に稼いでいこう

不動産業は新規参入が多い業界です。

しかし、多くの会社が廃業し、思ったように稼げない例が多いことも理解できたでしょう。

独立、開業を目指すのであれば、開業資金だけでなく、運転資金や事務作業などの不安をしっかりと解消しておくべきです。

営業職として稼いでいるから独立しても大丈夫だろうと、たかをくくらずに
に気をつけましょう。

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著者紹介

不動産投資塾編集部
不動産投資塾編集部

投資への関心が高まる中で、高い安定性から注目を集める不動産投資。しかし不動産業界の現状は残念ながら不透明な部分が多く、様々な場面で個人投資家様の判断と見極めを要します。一人ひとりの個人投資家様が正しい知識を身に付け、今後起こり得るトラブルに対応していくことが肝要です。私たち一般社団法人首都圏小規模住宅協会は、投資用不動産業界の健全化を目指す活動の一環として本サイト「不動産投資塾新聞社」を介し、公平な情報をお送りいたします。

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