不動産投資の最新動向
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2021年1月31日(日)
不動産投資は儲からない!? 期待どおりの利益があがらない理由とは
資産運用の方法として、資産家はもちろん、サラリーマンや経営者、公務員まで、広く人気を集めている不動産投資。
長期的に安定した収益が見込めると期待される不動産投資ですが、一方で、「不動産投資は儲からない」という声もしばしば聞かれます。
本記事では、不動産投資が儲からないといわれる理由と、どうすれば利益をあげることができるのかについて解説します。
「不動産投資は儲からない」といわれる5つの理由
「不動産投資は儲からない」という声が投資家からあがるのには、次の5つの理由が挙げられます。
理由① 利益を多く見積もりすぎている
不動産会社は物件販売を成約させるため、賃貸経営によって投資家の手元に月々残る金額を実態より多く見せようとしてきます。
よくあるのが、満室時の家賃がずっと続く前提で収支計算を作ってくるケース。
入居者から人気の物件であっても、入れ替わりのタイミングなどで空室になって家賃が入らないタイミングは必ずあるため、満室時の家賃をアテにして投資を実行するとほぼ確実に、計算上の収支より実際の収支が悪くなります。
くわえて不動産投資を行なううえでは、銀行ローンの返済や物件の修繕費など、さまざまな出費が発生します。そのため、スタートしてしばらくはそれほど収益があがりません。
不動産投資で生活できる安定的な収益を得られるようになるのは、一般的にはローンの完済後です。
その仕組みを理解せずに物件を購入すると、購入後に「不動産投資は全然儲からない」という感想を抱くことになってしまいます。
理由② 1年目から黒字になると思っている
不動産投資を始めて1年の間は、不動産仲介会社に払う手数料や購入時の事務手続き費用、不動産取得税など、多くの支払いが生じます。
ほとんどの場合、物件を取得した1年目は、賃貸経営の収支が赤字になるのです。
しかし、不動産営業マンは物件売りたさに、1年目が赤字になる事実をあえて伝えようとはしません。
そのため、「すぐに利益が得られる」と思い込んでいた投資家は、がっかりすることとなります。
理由③ 売却で儲けることを狙っている
不動産投資は「ミドルリスク・ミドルリターン」の投資方法だといわれます。
株式投資やFXによる資産運用のように短期間で大きく儲かることは、ほとんどありません。
月々の安定した家賃収入(インカムゲイン)の積み重ねが基本的な収益になるのです。
したがって、「物件価格が上がったらすぐに売って利益を得よう」という心づもりで不動産投資を始めると、たいていの場合は最終的に損をすることになります。
保有期間が短い場合の売却には、多額の課税が生じるため、売買利益(キャピタルゲイン)を得るのはかなり難しいからです。
たとえば、保有期間が5年以上の不動産を売却した際の利益には、約20%の所得税がかかります。しかし、5年未満の保有期間で売却した場合には、所得税率が約40%に跳ね上がるのです。
高率の税金を支払ったうえで、物件取得時の費用もまかなえるほど大きな値上がりが実現し、キャピタルゲインをしっかり得られるようなケースは、かなり稀なのです。
なお、新築物件は中古物件と異なり、新築であることによる付加価値が購入時の価格に乗っているため、新築であることによる付加価値がなくなる売却時はキャピタルゲインがまず望めません。
理由④ 賃貸経営を甘く見ている
投資用不動産を売る営業マンの多くは、「購入後の管理は管理会社に丸投げなのでほとんど手間はかからない」ということを強調します。
しかし、そのようなセールストークを鵜呑みにしてはいけません。アパート経営は立派な事業経営ですから、経営者である大家には相応の手間がかかります。
たとえば、入居者からのクレームがあったとしましょう。クレームの窓口自体は管理会社が担当してくれても、どのように対応するのかは、オーナー自身が判断する必要があります。
入居者との交渉が難航すれば、オーナー自身が入居者の言い分を管理会社に何度も確認して対応策を考え、解決に導かなければいけません。考える労力がかかりますし、場合によってはストレスも大きくなるでしょう。
このような大家業の苦労を甘く見ていると、物件購入後に「想像以上に手間がかかる」と嘆くハメになります。所有するのがたとえマンション一室だけであっても、油断は禁物です。
理由⑤ 節税メリットはサラリーマンの場合、さほど大きくない
「サラリーマンでも不動産投資で節税できる」――不動産投資セミナーでもよく謳われている、多くの不動産営業マンが使う殺し文句です。
ただ、不動産投資で実現できる節税メリットは、サラリーマンにとってそれほど大きくはありません。
投資1年目こそ、購入費用などで赤字が生じて一定の所得税還付を受けられる仕組みがありますが、2年目以降はそれほどの節税効果は生じない可能性が高いのです。
不動産投資が効果的な節税対策になるのは、非常に多くのお金があることが大前提です。現金よりも不動産で持ったほうが節税になる、ごく少数のケースでしかありません。
不動産投資で成功する3つの秘訣
「不動産投資が儲からない」という声があがる背景には、投資家がメリットばかりに目がくらみ、デメリットを認識していないという実態があります。
では、不動産投資について正しく理解して、成功するにはどうすればいいのでしょうか。
3つのポイントを紹介します。
秘訣① 実質的な収支にこだわって物件を選ぶ
物件販売の際に不動産会社が見せてくる年間利回りの多くは、「表面利回り」です。
表面利回りの計算では、満室経営時の収入が想定されており、物件の修繕費やローンの返済金額は加味されていません。
つまり表面利回りというのは、収支を判断する指標としては、あくまで目安にしかならないのです。
不動産投資を検討するならば、購入する物件から現実的にどれくらいの家賃が入り、どんなコストが生じるのかを自分で勉強し、確実な「実質利回り」をシミュレーションしたうえで、物件を選ぶ必要があります。
秘訣② 長期的な利益を目的にする
不動産投資は、ほかの投資と比較して短期で利益をあげるのが難しいことは、すでに述べたとおりです。
裏を返せば、長期的なスパンで収支を把握すれば、不動産投資で成功する可能性は高いのです。
たとえば、「購入から15年後に売却する」という計画で、将来の収支をシミュレーションしてみてください。
「このエリア・地域だと、15年後までの入居状況と家賃の下落はどうなるか?」「修繕費はいくらぐらい見込むべきか?」「売却時に物件価値はどのくらい下がっているか?」といったように、具体的な検討事項が出てきます。
それらの検討事項を踏まえて、納得できる物件を購入すれば、投資成功の確度は格段に上がるでしょう。
秘訣③ 家計に余裕があるタイミングで投資する
不動産営業マンは、あらゆる営業トークを用いて物件を売り込んできます。
多いのは、低収入であってもローンを組める、頭金になる資金が少なくても高額物件を購入できる、といった売り込みです。
しかし、営業マンの口車に乗ってギリギリの家計で投資を実行したことにより、ローンの金利が高くなって破綻してしまったり、突然の修繕費が払えなくなってしまったりするケースは非常に多いのです。
不動産投資は、月々のローン返済額や修繕費のほか、想定外の出費がかかることもあります。
無理のない返済プランを立てるなど、家計が破綻しない状況で、余裕をもったシミュレーションをして実行すべきでしょう。
想定外の事態を必ず意識しよう
「不動産投資が儲からない」といわれる背景には、多くの人が、不動産投資の良い面ばかりを過大に見積もって投資を実行し、結果的に失敗している実態があります。
不動産投資の初心者は、とことん現実的な収支のシミュレーションに基づいて投資判断することがとても重要です。
営業マンの説明だけを鵜呑みにせず、「思っていたのと違う」という状況が発生する前提で、知識や情報をしっかりと蓄えましょう。
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著者紹介
不動産投資塾編集部不動産投資塾編集部
投資への関心が高まる中で、高い安定性から注目を集める不動産投資。しかし不動産業界の現状は残念ながら不透明な部分が多く、様々な場面で個人投資家様の判断と見極めを要します。一人ひとりの個人投資家様が正しい知識を身に付け、今後起こり得るトラブルに対応していくことが肝要です。私たち一般社団法人首都圏小規模住宅協会は、投資用不動産業界の健全化を目指す活動の一環として本サイト「不動産投資塾新聞社」を介し、公平な情報をお送りいたします。