不動産投資の最新動向
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2020年11月30日(月)
【マンションや土地の売買にかかる仲介手数料……値引きや無料のリアル】
不動産取引において、不動産会社を通して売買の手続きをする場合は、仲介手数料がかかってきます。不動産売買に際してかかる費用の中でもとりわけ大きい金額になり、無視はできません。中には仲介手数料が値引きや無料になる不動産会社もありますが、ここには大きな落とし穴が潜んでいます。ここでは仲介手数料の基礎知識や計算方法、そしてなぜ値引きや無料にする業者が出てくるのか、その仕組みについて解説していきます。
不動産売買における仲介手数料とは
仲介手数料とは、売買や賃貸など不動産会社の仲介業務に対して支払われる成功報酬のことです。売買や賃貸の契約成立を手助けすることが目的のため、大前提として契約成立とならなければ仲介手数料は発生しません。
仲介手数料の金額はいくらかかるか?
売買契約の場合、不動産会社が受け取る仲介手数料は、宅地建物取引業法で、算出方法とその上限額が定められています。
仲介手数料上限額の計算方法は、以下の通りです。
(売買価格)200万円以下の部分 → (報酬額)取引額の5%+消費税
(売買価格)200万円超400万円以下の部分 → (報酬額)取引額の4 %+消費税
(売買価格)400万円超の部分 → (報酬額)取引額の3%+消費税
ただし、上記の計算方法では価格帯ごとに計算して、それを合計しなければならないため、かなり面倒です。たとえば、500万円の物件の仲介手数料を計算する場合、200万円以下の部分(200万円)、200万円超400万円以下の部分(200万円)、400万円超の部分(100万円)の3つに分けて計算した上で、それぞれを合計する必要があります。このように大変面倒なこともあり、一般的には以下のような速算式を使います。
・(取引額×3%+6万円)+消費税=仲介手数料
仮に先ほどと同じく500万円の売買価格だった場合ですが、
(500万円×3%+6万円)+消費税=231,000円(税込※消費税率10%の場合)が仲介手数料となります。これだと一回の計算で算出できるので、大変簡単です。
また、平成30年(2018年)1月1日の宅建業法一部改訂で、400万円以下の仲介手数料の上限が18万円となりました。これは不動産会社が売主に事前に説明して合意を得ておく必要があるので、オーナーとしても覚えておきましょう。
不動産会社はなぜ仲介手数料を値引きや無料にするのか
これまで説明した計算式で算出されるものは仲介手数料の金額そのものではなく、あくまで上限額です。仲介手数料は不動産取引の中でも大きなウェイトを占めるため、できれば安く済ませたいと思うのがオーナーの本音でしょう。
不動産会社はなぜ値引きを行うのか
不動産会社は、儲けを減らしてまでなぜ値引きをするのか、疑問に思うかもしれません。実は、他社との差別化のために仲介手数料を値引きしたり、買主には仲介手数料を請求しなかったりするケースも見受けられます。上限額の定めはあるものの、下限額の定めがないことから、上限額さえ超えなければ不動産会社で自由に設定することができるからです。
つまり、仲介手数料の上限額を、あたかも法律で決められた当然支払うべき金額のように請求をしてくる不動産会社には注意が必要です。仲介手数料の請求については、信頼できる業者を見分ける一つのバロメーターともなるでしょう。
仲介手数料の値引きのメリットとデメリット
仲介手数料を値引きする最大のメリットは、単純に不動産の売買にかかる費用を安く抑えることができる点です。では逆にデメリットは何でしょうか。仲介手数料が安くなれば、不動産仲介会社の儲けは少なくなります。その分、仲介活動を一生懸命行わないことが考えられるのです。
チラシを用いた広告費がかかるような特別な売却活動は取らないようにしがちなので、なかなかいい買い手が見つからないということも珍しくありません。仲介手数料が安いに越したことはありませんが、それだけで不動産会社を選択するのは早計と言えるでしょう。
仲介手数料の値引き交渉
ここまでに説明した仲介手数料の基礎知識を知っているだけで、不動産会社との交渉の準備は整ったと言ってよいでしょう。不動産売買の仲介手数料が法律で「上限額」のみ定められていることを知っていれば、それを武器に交渉することができます。ただし、値引き交渉を行う場合は、できるだけ早い段階で、媒介契約を締結する前にしましょう。「専任媒介契約」や「専属専任媒介契約」を結ぶことを前提に、条件面も含め事前に値引きの相談をすれば、前向きに検討してくれる不動産会社は少なくありません。
仲介手数料を支払うタイミング
仲介手数料は、売買契約が成立してから手数料額が決定します。通常、売買契約成立時に50%、引き渡し完了時に残りの50%を支払うことになります。決済引き渡し時に一括で支払うパターンもあるので、支払いのタイミングは事前に確認するようにしましょう。
仲介手数料を含めたシミュレーションを
不動産の売買において、仲介手数料はとても手痛い出費になります。手数料の上限額の計算式をしっかりと把握した上で、できるだけ安く済ませるようにしていきたいところです。一方、仲介手数料の安さばかりを気にして後で痛い目を見ないためにも、そのほかにかかる諸経費も含め事前にしっかりとシミュレーションを行うようにしましょう。
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著者紹介
不動産投資塾編集部不動産投資塾編集部
投資への関心が高まる中で、高い安定性から注目を集める不動産投資。しかし不動産業界の現状は残念ながら不透明な部分が多く、様々な場面で個人投資家様の判断と見極めを要します。一人ひとりの個人投資家様が正しい知識を身に付け、今後起こり得るトラブルに対応していくことが肝要です。私たち一般社団法人首都圏小規模住宅協会は、投資用不動産業界の健全化を目指す活動の一環として本サイト「不動産投資塾新聞社」を介し、公平な情報をお送りいたします。