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マンション相続で知っておきたい税金のあれこれ

目次

親が亡くなり突然マンションを相続することになったら、相続税がかかる可能性があります。急な相続の場合、これまでマンションや相続のことを考えたことがない、という人も多いでしょう。多額の相続税がかかると急に知ったら、困ってしまうかもしれません。そんなときのために、知っておくべき相続の手続きとマンションの相続税について解説します。

マンションを相続後、最初にすべきこと

親が亡くなるなどした際、相続人がマンションを相続します。相続発生から相続税の申告など、相続手続きについて知っておきましょう。

流れとして、まずは相続人や相続財産を確認します。相続放棄(3ヶ月以内)や準確定申告(4ヶ月以内)には期限があるので気をつけてください。

相続人や相続財産の内容、遺言内容を確認し、遺産分割協議で遺産をどのように分けるか決定したら、次にすることは不動産をはじめとした、登記のある相続財産の名義変更です。これを相続登記と言います。

マンションの相続登記で必要なのは土地と建物の所有権移転登記といって、被相続人から相続人にマンションの名義を移すのに必要な手続きです。

相続登記に用意すべき必要書類

必要書類は以下の8つです。

・「対象不動産の登記事項証明書(登記簿謄本)」
・「本籍の記載のある被相続人の住民票の除票」
・「被相続人の死亡時から出生までの戸籍謄本」
・「相続人全員の最新の戸籍謄本」
・「対象不動産を取得する相続人の住民票」
・「対象不動産の固定資産評価証明書」
・「相続人全員の印鑑証明書」
・「遺産分割協議書」

登記簿謄本は法務局に取りに行き、遺産分割協議書は自分で用意します。その他はすべて市区町村の役所で取得できます。

ひと通り書類が揃ったら、法務局へ相続登記の申請をしましょう。書類の不備があると、書類の取得し直しや申請書の修正などで大きな手間やお金がかかります。

詳しくは法務局や相続に詳しい税理士、行政書士などに相談することをおすすめします。

相続する不動産が複数あるなど煩雑な場合は、司法書士に相続登記の代行を利用することも一つの手です。相場としては8万〜15万円で依頼を受けてくれます。

ほか、所有権移転登記には登録免許税がかかってきます。登録免許税は、「固定資産税評価額×0.4%」で計算します。なお、100円未満は切り捨てです。

マンションの相続税額と評価の仕方

相続した遺産は基本的にすべて相続税の対象になります。

プラスの財産もマイナスの財産(負債、借金)もすべてに相続税がかかってくるのです。マイナスの財産が多い場合は相続放棄も視野に入れる必要があります。

相続の放棄は、相続開始から3ヶ月以内に家庭裁判所で手続きをしなければなりません。

被相続人が住んでいたマンションだけでなく、遺族も知らない土地などの可能性も考えて調べておきましょう。

マンションの相続のみであれば、そのマンションに対する相続税が発生しますが、ほかにも土地などを相続していれば、そのすべてを合計した評価額に課税されるのです。

ちなみに、一戸建ての場合は自宅建物と敷地はそれぞれ独立して所有権を設定できますが、マンションは敷地権だけ部分的には分離できないので、まとめて相続し、名義変更対応する必要があることは覚えておきましょう。

マンションの相続税評価額の計算方法

マンションの敷地は区分所有者で権利を共有しており、その権利の割合は「持分割合」で示されます。土地の価値は以下の計算式で算出をします。

路線価(1㎡あたり)×土地の面積(㎡)×持分割合=相続税を出すためのマンションでの土地の価値

路線価とは、国税庁が公表している道路ごとに設定された土地の価格のことです。

建物の評価については、固定資産税評価証明書、もしくは毎年送られてくる固定資産税の課税明細書で金額を確認しましょう。

知っておきたい相続税控除と税金対策のポイント

実は、相続財産にかかる相続税をすべて納める必要はありません。一定額の控除があります。

基礎控除

「基礎控除」は、遺産総額が基礎控除を超えない場合は一般的に相続税が課税されず、申告の必要もありません。基礎控除の計算方法は以下のとおりです。

3,000万円+(600万円×法定相続人の数)=基礎控除額

他にも、以下のような控除や特例によって、いくらか相続税の軽減を図れます。

配偶者控除

被相続人の配偶者の場合は、基礎控除に加え、配偶者控除によって相続税が軽減されます。配偶者が相続した遺産額のうち、1億6,000万円もしくは配偶者の法定相続分のどちらか大きい金額まで相続税が課税されないという制度です。

小規模宅地等の特例

相続する土地の評価を下げることで、相続税を圧縮できる方法です。
被相続人が居住していたマンションの場合、原則として配偶者や同居人が引き継ぐのであれば問題なく特例が適用され、土地面積30㎡まで80%の減額ができます。

配偶者の場合は要件なく80%の減額となりますが、その他の相続人の場合は被相続人と同居していたこと、相続人の誰かがそのまま居住することの両方の条件を満たす必要があります。

・おしどり贈与

生前贈与を使って税金対策する、おしどり贈与という方法もあります。

婚姻期間20年以上の夫婦間で居住用住宅を生前贈与する場合、2,000万円まで贈与税の控除が受けられる制度です。

マンションにも適用可能で、もし将来的に相続が発生しても相続財産としての課税対象になりません。そのため効果的に相続財産を減らすことができるのです。

このようにマンションの相続が発生した場合、相続税対策や控除の方法を知っているだけでも、費用負担の心配が減ります。

相続登記など慣れない行為は司法書士などの専門家に任せることも検討できます。仕組みを理解して、状況に応じてスムーズな相続ができるようにしましょう。

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著者紹介

不動産投資塾編集部
不動産投資塾編集部

投資への関心が高まる中で、高い安定性から注目を集める不動産投資。しかし不動産業界の現状は残念ながら不透明な部分が多く、様々な場面で個人投資家様の判断と見極めを要します。一人ひとりの個人投資家様が正しい知識を身に付け、今後起こり得るトラブルに対応していくことが肝要です。私たち一般社団法人首都圏小規模住宅協会は、投資用不動産業界の健全化を目指す活動の一環として本サイト「不動産投資塾新聞社」を介し、公平な情報をお送りいたします。

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