Column

不動産投資の最新動向

1,008 view

続ける?売る?赤字物件を見限るタイミングの見極め方

目次

賃貸経営において、赤字で持ち出しが発生している状態は何よりもストレスです。多くのオーナーは自分の物件に愛着があるものですし、もう少し頑張れば入居者が入ってくれるかも……と期待して粘ってしまいがちです。赤字物件を手放すことを、いつ判断すればよいのかをまとめました。

OKな赤字もある

まず知っておきたいのは、不動産投資において赤字はすべてアウト、というわけではないことです。

具体的には、入居率がきちんとある程度ありながら、減価償却で赤字になっているケースは問題ありません。実際にキャッシュが出ていっているわけではなく、オーナーの本業や別事業の稼ぎと通算して所得税・住民税を節税するメリットを生むことができるからです。

問題なのは、月々のキャッシュフローで赤字が出てしまっているケース。空室によって賃料が入らないことで赤字になってしまっているのが一番最悪ですが、中にはサブリースの条件やローンの返済額などによって、最初から赤字経営が前提になるスキームで物件を買っている投資家もいます。

その場合、減価償却で節税メリットを出しつつ、キャッシュフローが悪いことをいかに売却益でカバーするのかが重要になります。表面的な利回りだけでなく、節税メリットも含めた収支の累計を綿密に計算し、短期譲渡から長期譲渡に切り替わる6年目以降のタイミングで物件を売却して利益が出るようであれば、あまり引っ張らずに判断してしまったほうがいいでしょう。

ただそもそも、いくら売却益も含めて多少の手残りが出る可能性があっても、ベースのキャッシュフローが赤字なのでは不動産投資をするうまみに欠けます。不動産業者のトークに騙されず、物件購入の際にはきちんと利益が出る条件にこだわっていったほうがいいでしょう。

赤字はどんどん膨らんでいく

空室によってキャッシュフローが悪化して赤字になっているパターンでは、ことは一刻を争います。

特に一棟もの物件で常に空室率が高く続いてしまっているような場合、物件を持ち続けたからといって収支が改善することはあまり期待できません。新規でサブリースを契約したりローンを借り換えたりすることでキャッシュフローが改善する可能性もなくはないですが、赤字物件では現実的に厳しい交渉になってくるでしょう。

そのまま物件を保有し続けた場合、当然、築年数が過ぎるほどにますます空室率が高まってきます。また、レントロール(入居の履歴)の見え方も、空室率が高い状態が長く続けば悪化する一方。つまり、赤字物件は持ち続ければ持ち続けるほど、築年数の経過による自然な価格下落よりも速いスピードで売値が低下する危険性が高いのです。

そのような物件は築古であると思われがちかもしれませんが、そもそも築古の状態で買ったのであればそれ以上、価格が大きく落ちることはないので実はまだマシです。

問題は、築浅で購入時はうまく回っていたのにだんだん空室が出てきてしまったケースで、持ち続ければ持ち続けるほどに売却損の傷が深くなってしまいます。判断を早くするべきでしょう。

売却の際に気を付けるポイント

赤字物件を売却する決断をした後、まず行いたいのは空室を埋めることです。

「空室が埋まらないから赤字になっているんだ」と思われるかもしれませんが、客付け業者に広告料を支払うなど費用をかけてでも、いったん満室にしてから物件を売却査定に出してください。入居率は売却価格に大きく影響するからです。

もちろん、サクラを入れたり空室に入居者がいるように見せかけたりするのは満室詐欺にあたるので、やってはいけません。

また、最終的に空室があるまま物件を売ることになった場合、空き部屋を前の入居者が出ていったままにしているのであれば必ずハウスクリーニングしてください。投資物件だから部屋が汚れたまま売っても問題ないと考えるのはよくある落とし穴で、汚い部屋をそのままにしていると買い手からの値引き交渉の良い材料になってしまいます。

売却損を覚悟して売りに出す際はつい投げやりになり、追加の費用なんてとんでもないと考えてしまいがちですが、そんな時こそ損失を最小限にするためのコストは惜しまないようにしてください。

自分でルールを決める

赤字物件を売るタイミングは、「もうだめだ」と判断した時点で最速であるべきです。

しかし、そうは言っても自分の頭で考えて損切りのタイミングを決めるのはなかなかできることはありません。

一番いいのは、購入する以前のタイミングで、「空室率○%以上が一年続いたら売る」など、自分で損切りラインを定めることでしょう。株式投資で成功するトレーダーも、こういったマイルールを愚直に守り続けることで長期的な成功を勝ち取っている人が多いものです。

投資の失敗は恥ではありません。見込みがないのに変に粘るのより、上手に撤退して次で成功することを冷静に考えるようにしましょう。

投資用不動産業界に関する情報が毎週届く!
不動産投資塾新聞社メールマガジン登録はこちら

著者紹介

不動産投資塾編集部
不動産投資塾編集部

投資への関心が高まる中で、高い安定性から注目を集める不動産投資。しかし不動産業界の現状は残念ながら不透明な部分が多く、様々な場面で個人投資家様の判断と見極めを要します。一人ひとりの個人投資家様が正しい知識を身に付け、今後起こり得るトラブルに対応していくことが肝要です。私たち一般社団法人首都圏小規模住宅協会は、投資用不動産業界の健全化を目指す活動の一環として本サイト「不動産投資塾新聞社」を介し、公平な情報をお送りいたします。

関連記事

【2020年最新版】関東地方の不動産相場

不動産投資の最新動向

1,178 view

【2020年最新版】関東地方の不動産相場