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不動産を売却する際に知っておくべき業者の選び方

目次

ワンルームマンションの売却では、売却を依頼する業者選びが重要です。良い業者を見つければ、より高値で売ってくれる可能性も大きくなります。そこで今回は、業者選びのポイントと、売却を依頼する際の契約について見てみます。

良い業者を見つけて売却を任せよう

物件の売却では、自分で色々と情報を集め、不動産投資に関して勉強することが大事です。ただ、実際に売却する際には、買い手探しから売却の段取りなどを仲介業者などに依頼することがほとんどだと思います。

高く売るという点から見ると、どの仲介業者に依頼するかが重要なポイントです。というのは、業者によって物件の査定額が変わりますし、また売れるまでの期間も変わってくるからです。少しでも高く売却したいなら、ここで妥協しないことが重要なのです。

その点を念頭に置いて、ワンルームマンション投資の出口戦略を考えましょう。売却を依頼する業者を慎重に選ぶことと、依頼するまでの流れをきちんと押さえておくことが大切です。

安心して任せられる業者を選ぶ

初めて連絡をとった仲介業者に運任せですべてを任せてしまうのはおすすめしません。評判のいい会社でも頼りない社員はいるように、結局は人次第なのです。何とかして良い担当者と出会って、不動産の売却というとても大きなミッションを一緒にこなしたいものです。では、どんな点に注意すれば良い業者と出会えるのでしょうか。

まずは基本的なこととして、宅建の資格を持つ宅建士(宅地建物取引士)の人を選ぶようにしましょう。当たり前のことと思うかもしれませんが、実は宅建の資格がなくても不動産の営業はできるのです。法律的にも、不動産会社の社員のうち5人に1人が持っていればよく、異業種から転職してきたばかりで、入社してから資格を取ろうと考えている人もいます。もちろん、宅建を持っていない優秀な営業マンもいるでしょうが、資格があるということは、それなりにきちんと勉強したという証ともいえます。もし自分の担当者が宅建を持っていなかったら、すぐに交代をお願いしないまでも、慎重に言動を見て、大事な物件を任せられる業者かどうか判断する必要があります。宅建を持っていれば、ひとまず安心です。

同様の理由で、過去に行政処分などを受けた業者も避けた方が無難でしょう。売却を依頼するということは、高額な取引を任せるということでもありますので、不要なトラブルを避けるためにも、安心感がある人や会社を選ぶことが大事です。

ただし、宅建があり、行政処分を受けていないからといって、無条件で信用できるわけではありません。あくまでもスタートラインとしての条件と考えておいてください。

査定の根拠は明確か

資格や実績に問題がなければ、次に良し悪しをみるポイントとなるのは査定を依頼した時です。査定の額は業者によって差がありますが、実は査定の詳細を説明する方法や、そのための資料の作り方なども様々です。

極端な例で言えば、簡単な書類一枚で「3000万円です」と説明する業者がいれば、市場動向や周辺の物件価格などをレポートにまとめ「3000万円です」と説明する業者もいます。

査定金額が同じだったとしても、売り手となる投資家側からみれば信頼度は変わります。

査定額は、査定の根拠が理にかなっているかどうかが大事ですので、その点を分かりやすく、丁寧に説明してくれる業者の方が良いと思います。

また、買い手候補に関しても、買い手を探す力がある業者や、すでに買い手の目星がついている業者の方が望ましいのですが、そこでも根拠が重要になります。

業者から口頭で「あるお客様が3000万円で買いたがっている」と言われたとしても、実際にそういう人がいるかどうかはわかりません。

査定額の根拠が理にかなっていることが前提になりますが、例えば、「こういうお客様に、この値段で売ったことがある」といった実績や、「このエリアには、この値段で探しているお客様がこれくらいいる」といったデータなどをわかりやすく説明してくれる業者を選ぶのが良いでしょう。

ちなみに、各業者の販売実績などは、営業マンに聞くこともできますし、ウェブサイトなどで調べることもできます。そのような情報を確認することも業者選びの目安になると思います。

また、実際の買い手探しは媒介契約を結んだ後に本格的にスタートするわけですが、査定額の説明などが丁寧なところは、買い手探しに関する進捗状況の報告なども丁寧になる傾向が見られます。その点で、査定依頼時の対応をしっかり比べ、信用できる業者を見定めることが大事です。

査定に向けて準備するもの

査定を依頼する売主側の準備としては、話をスムーズに進めるために、必要な書類や資料を用意しておくことが大事です。準備する資料は、どれくらい本気で売ろうと思っているかによって変わります。例えば、売却価格のだいたいの相場を知るための査定(簡易査定)であれば、住所、階数、築年数、間取り、専有部分と共有部分の面積などがわかればある程度の金額が出ます。営業マンが知りたい数字がわかれば、査定金額だけでなく売却目標などの話もしやすくなるでしょう。

反対に、準備する情報が少ないほど査定額も曖昧になります。また、営業マンなどと会って話す場合、書類が少ないほど本気で売るつもりがないと判断されやすく、対応が後回しになる可能性もあります。

そのような点を踏まえると、売買契約書、権利書、重要事項説明書、図面など、購入時に受け取った書類は一式準備しておくのが良いと思います。売却の意思が固まっていて、売り出し価格をきちんと決めるための査定(詳細査定)であれば、さらに細かな書類が必要になります。具体的には、簡易査定のために用意する売買契約書や権利書などのほか、固定資産評価証明書、マンションの管理規約や維持費などに関する書類、ローン残高証明書などがあると話が進みやすくなります。購入時のパンフレットなどもあれば持参すると良いでしょう。また、実際に売却を依頼する場合は、本人確認のための免許証など身分証明書、印鑑証明書、住民票なども必要になります。

3つの媒介契約の中なら専任媒介契約がおすすめ

売却の依頼では、業者と媒介契約を結ぶことになります。媒介契約は大きく3種類に分けられますので、その内容を抑えておきましょう。

一般媒介契約

まず一般媒介契約です。これは、複数の仲介会社に売却の仲介を依頼する契約です。各業者が買主候補を見つけてくるため、その中で売りたいと思う人を見つけてきた業者と取引を進めていきます。また、自分で買い主を見つけた場合は、自分でその人と直接交渉することもできます。

専任媒介契約

専任媒介契約は、1社に絞って売却を依頼するものです。契約すると、3か月はその1社のみが担当となりますので、他の業者から買い主候補を見つけてもらうことはできなくなります。ただし、自分で良い買い手を見つけた場合は、直接交渉ができます。

専属専任媒介契約

専属専任媒介契約は、1社に絞って売却を依頼する点では専任媒介契約と同じですが、自分で見つけた買い手への売却も制限されます。3つの中ではもっとも条件が厳しい契約といえるでしょう。

どの契約も一長一短ではあるのですが、信用できる業者を見つけたのであれば専任媒介契約にするのがよいと思います。一般媒介の方が関わる業者数が多いため、より多くの買い手候補が見つかる可能性がありますが、業者側としては他社と買い主探しを競うことになるため、本気度が低くなる傾向があります。

また、専属専任媒介契約にすると自分が見つけた買い手に売ることができません。実際には自分で見つけるケースは少ないかもしれませんが、もし見つけられた場合、業者を挟むよりも高く売れる可能性があります。その点から見て、専任媒介契約が売り手にとってメリットが大きいと言えるのです。

業者を選べるようになるには自分が投資家としてふさわしい人物になること

自分の物件を任せるのにふさわしい業者かどうか、それを見抜くテクニックはありますが、やはりご自身の知識や経験がとても重要な要素になります。売却時に何が必要で、どんなトラブルがあるのかを、本やウェブサイトなどから情報を得て学ぶことです。そうして得た知識は、業者を選定する上でとても役立つことでしょう。

大事な物件を任せられる業者を選ぶには、まずは自分がその業者にふさわしい投資家になること。そうすれば、おのずと最善の投資活動ができるようになり、またそういう人に、有能な業者も集まるようになるのです。

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著者紹介

小島 拓
小島 拓

一般社団法人首都圏小規模住宅協会 代表理事
大学卒業後に不動産会社の営業職に従事し、以来10年以上にわたって、不動産投資のプロとして個人投資家の資産形成をサポートしてきました。しかし不動産投資の初心者を狙った悪質な業者の話を耳にすることや、自身が勉強不足なまま、先行き不安な物件に投資しようとする人を目の当たりにするにつれ、投資用不動産業界をもっとクリーンで、多くの人が正確な知識を持って安全に投資できるようにする必要があるという思いが募り、2018年度より、不動産業者としての立場に一旦区切りをつけ、投資用不動産業界の健全化を目的とした「一般社団法人首都圏小規模住宅協会」を発足しました。不動産投資による被害や失敗を減らしていく取り組みを随時行ってまいります。

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