不動産投資の最新動向
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2021年7月15日(木)
不動産営業マンは、個人の連絡先をどこから入手しているのか?――迷惑業者の知られざる黒い世界
突然知らない番号から電話がかかってきて出てみると、不動産投資勧誘の営業電話だった
――こんな経験をお持ちのかたは多いでしょう。
はたして彼らは、どこから電話番号や個人情報を入手しているのでしょうか?
今回の記事では、不動産営業マンから迷惑電話がかかってくる理由と、知られざる業界の恐るべきテクニックを解説していきます。
なぜ突然、勧誘電話がかかってくるのか?
見覚えのない番号からかかってくる、投資用不動産の勧誘電話。
電車に乗っていても、仕事中であっても、自宅で休日にのんびり過ごしていても、営業マンの知ったところではありません。
不動産業界の営業マンには、非常に苛烈なノルマがあります。
成果を上げるためには、相手の都合はおかまいなしで、とにかく投資商品を売りつけなければなりません。
インターネットが普及した現代でも、不動産業界では、前時代的な電話営業をいまだに活用しています。
電話営業は、年代を問わず多くの相手にアプローチできるうえ、広告を出すよりもコストが安いという圧倒的なメリットがあるからです。
投資用不動産は数千万円〜数億円といった高額商品なので、容易く売れるものではありません。
成約確率のアップに繋げるべく、とにかく多くの顧客と接点を持つために、彼らは必死なのです。
個人情報が流出する!? 知られざる業界の闇
そもそも、営業マンはなぜ、個人の電話番号や名前などを知っているのか?
電話営業をかけてくる業者は、「ビジネスマンデータ」を活用している可能性があります。
ビジネスマンデータとは、簡単にいえば社会人名簿のようなもの。
個人の氏名、住所、電話番号、生年月日、職場といった情報がリスト化されているのです。
この元データは、各種ネットの申込みや資料請求での個人情報入力、通信販売等の購入履歴であることが多く、名簿業者が個人に営業を行なう会社に販売しています。
個人情報を売買するなんて、普通に考えたら不愉快極まりない行為ですが、それがまかりとおっているのが不動産業界の恐ろしいところ。
なかには、「年収情報」や「上場企業勤務」、「公務員」といった属性ごとにグループ分けされ、効率的に勧誘電話を仕掛けられるリストも販売されているのです。
そもそも、「個人情報の販売」は違法では?
個人情報の売買という行為は、実は「個人情報保護法」で法的に認められています。
たとえば、ウェブサイト上で資料請求を行なうときなどに、以下のような表示を見かけたことはありませんか?
・第三者への提供を利用目的とすること
・第三者に提供される個人データの項目を明示すること
・第三者への提供の手段または方法を明示すること
・本人の求めに応じて当該本人が識別される個人データの第三者提供を停止すること
これらに「同意しますか?」と確認を受けたうえで「同意」すると、個人情報を提供してよいと同意したことになってしまいます。
原則的には「本人の同意が必要」というのが法律上の定めですが、上記の内容を記載してさえいれば、決して違法ではないのです。
とくに不動産を相続した人は要注意!
不動産営業マンからの電話は、不動産を相続した人に対しても執拗です。
身内に不幸があると、物件や土地といった財産の相続が発生することがあります。
遺産相続が決まると、一度も面識のない不動産会社や税理士事務所から電話があったり、ダイレクトメールなどが届いたりします。
実は、相続が発生すると「法務局」で情報が開示されるため、他人でも登記簿の閲覧や取得が可能になるのです。
相続情報は、法務局で安く手に入れられることもあって、不動産業者にとって大事な情報源となっています。
流出した個人情報を消すことはできないのか?
個人情報の売買は、不動産投資を求めていない人からすれば、迷惑でしかありません。
しかし、ひとたび流出してしまうと、すべての勧誘電話をやめさせるのはほぼ不可能です。
基本的に個人情報提供会社は、別の同業種の会社にもリストを横流ししており、複数の不動産業者にリストが渡っているものだからです。
医師や公務員、弁護士や上場企業勤務のサラリーマンなどの高属性な個人情報であればあるほど、利用価値は高いため、どんどん広がっていくのです。
リストからの削除を求めることはできるが……
なかには、「勧誘電話をかけてきた営業マンに、流出先を問いただせばいい」と考えるかたもいるでしょう。
業者としても、トラブルはなんとしても避けたいところなので、提供元の個人情報提供会社までは教えてくれるかもしれません。
ただし、提供元はあくまで個人情報保護法にもとづいて情報を提供しているのですから、削除要請に応じるかどうかはその業者しだい。
仮に問い合わせたうえで削除に応じてくれたとしても、いちど流出した以上は、既にほかの会社に拡散している可能性が大きいでしょう。
結局、電話がかかってくるたびに一件ずつ断るしかありません。
宅地建物取引業法の禁止項目を把握しておこう!
電話勧誘に対する一つの対策としては、法律を把握しておくことが重要なカギとなります。
たとえば、次のような行為は、宅地建物取引業法で禁止されています。
・「確実に儲かる」といった断定的判断を提供する
・自宅に押しかけたり、勤務先に電話をかけたりして長々と話し込む
・不動産投資の勧誘であること、社名や担当者名を最初に説明しない
・興味ないと一度断っても勧誘電話をやめない
・怒鳴りや脅しといった脅迫まがいの行為をする
・午後9時から午前8時の間といった非常識な時間帯に電話をかけてくる
このような法律に抵触している行為であれば、指摘すれば功を奏す場合もあります。
それでも勧誘電話がやまなければ、「監督官庁に相談する」と宣言してみましょう。
最終手段として、警察や国民生活センターに通報して悪徳業者を告発するのも、選択肢の一つです。
しつこい勧誘を断れずに契約してしまったら、すぐにクーリングオフを!
過酷なノルマが課される不動産投資の営業マンが、焦ったあまりに悪質な営業を仕掛けてきます。
なんど断ろうと、「節税に効果的です」や「年金代わりになります」といった信用ならない営業トークを駆使して、勝手に話を進めるケースもあるでしょう。
もしも断りきれずに契約してしまった場合は、すぐにクーリングオフの手続きをしましょう。
不動産取引では、クーリングオフの説明を受けてから8日以内であれば、契約を撤回する書面を提出することができます。
▶クーリングオフについては、関連記事「不動産のクーリングオフにまつわるトラブルと解決法」も、ぜひあわせてご参照ください。
法律を味方にして毅然とした対応を
現代は当たり前のように個人情報の売買が行なわれる時代になりました。
これについての行政への相談件数は、ますます増えるばかりです。
求めてもいないマンションなど、高額な投資商品を売りつけられないためには、法律を味方につけることが大切。
基本的な知識を身に付けたうえで、勧誘電話がかかってきたら毅然と断る勇気を持ちましょう。
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著者紹介
不動産投資塾編集部不動産投資塾編集部
投資への関心が高まる中で、高い安定性から注目を集める不動産投資。しかし不動産業界の現状は残念ながら不透明な部分が多く、様々な場面で個人投資家様の判断と見極めを要します。一人ひとりの個人投資家様が正しい知識を身に付け、今後起こり得るトラブルに対応していくことが肝要です。私たち一般社団法人首都圏小規模住宅協会は、投資用不動産業界の健全化を目指す活動の一環として本サイト「不動産投資塾新聞社」を介し、公平な情報をお送りいたします。