不動産投資の最新動向
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2020年9月30日(水)
パソナが淡路島へ移転! 都心オフィスビルの今後は?
人材大手のパソナグループが、人事や総務、経営企画など主な本社機能を兵庫県の淡路島に移すと発表し、大きな話題を呼んでいます。約1800人の本社スタッフのうち、1200人ほどが淡路島に移住することになります。
コロナショックに揺れる我が国の、オフィスの今について紐解きます。
パソナ移転の理由
パソナの本社機能移転は、実は以前から検討されていたのだといいます。
神戸市出身の南部靖之代表は、家賃の高さや通勤の大変さなどから、東京にオフィスを構えていることの限界を感じていたのだそう。そこにコロナショックが訪れたことで、淡路島移転を決断するに至りました。
パソナは今回の移転の根拠として「真に豊かな生き方、働き方」や、「災害などのリスクに備えるBCP(事業継続計画)」の実現を掲げ、約1200人の移住を2024年5月までに完了させると発表しています。
オフィスの賃料が東京に比べてかなり安いことも決め手の一つで、登記上の本社は引き続き東京におくとのことです。
おそらく、淡路島で行っているテーマパークやレストランの事業がコロナショックによるインバウンド消失で苦境に陥っており、大量に「新住民」を投入することでテコ入れしようという狙いもあるのでしょう。
淡路島を選定したのは南部代表が神戸市出身なことも理由の一つかもしれません。
「社員の人生設計に大きな影響を与える」といった批判もあり賛否両論を呼んでいますが、他の大企業が自社のモデルケースとするため、今回のパソナの本社移転を注意深く見守っています。
他社の動きは?
7/2(木)に配信された毎日新聞ウェブ版の記事には、以下のようにあります。
インターネット広告代理会社「アド・プロモート」は今年5月、本社を東京都渋谷区の繁華街、道玄坂から栃木県小山市郊外の国道4号沿いに移転した。「テレワークがこれだけ普及した今、もう東京に本社を置く利点はない。これからは栃木を拠点にやっていく」。吉田英樹社長(50)は、こう話す。
引用元:
https://news.yahoo.co.jp/articles/6984622a476814beedd0acdb727fb4da6eb69184
この記事ではアド・プロモート社の他に広島のウェブ制作会社の事例や、大同生命保険が地方在住の社員でも本社業務をできる「どこでも本社」制度を始めたことなどを伝えています。
コロナ後の「脱・東京」の動きが顕著になっているようです。
不動産業界の足元の動きでも、「以前にはなかったオフィス縮小の相談が急激に増えた」と不動産関係者は言います。これは業績悪化による縮小というだけではなく、業績は安定していても、仕事の何割かはテレワークでできることがわかってしまったのでもっと安い賃料のオフィスに移転したい、というニーズが高まっているそうです。
エリアで言うと、埼玉や千葉、神奈川など都内へのアクセスが良好な場所に、東京から移転するケースが増えていると言います。以前であれば「オフィスの所在地は都心部でないと取引先に相手にされない」という意見を持って都心にこだわる会社も多かったのですが、ここに来て価値観が急激に変わってきているようです。
ただ、こういった動きは中小企業やスタートアップが中心で、大企業のオフィス縮小はパソナ以外にそれほど目立ったニュースは入ってきません。やはり、大きな決断だけに大企業ではもう少し時間がかかる、ということなのでしょう。
都心オフィスビルの未来
しかし、新型コロナウイルスによって企業が脱・東京を意識し始めるなか、都心部の不動産開発はむしろ活発です。
例えば渋谷。東急グループ主導の再開発として、大きなところだけでも渋谷ストリーム(2018年9月開業済み)、渋谷スクランブルスクエア第I期(東棟)(2019年11月開業済み)、渋谷フクラス(2019年11月開業済み)、渋谷駅桜丘口地区(2023年竣工予定)、渋谷二丁目17地区市街地再開発事業(2024年度開業予定)、渋谷スクランブルスクエア第II期(中央棟・西棟)(2027年開業予定)などがあります。
また、森ビルを中心とする虎ノ門地区の再開発も気になるところです。東京ワールドゲート 神谷町トラストタワー(2020年開業予定)、虎ノ門・麻布台地区再開発(2023年開業予定)、など、都心の再開発は2027年ごろまで花盛りといってよく、地上40階を超えるような大型ビルの建設がいくつも進んでいます。
もちろん、大規模開発だけでなく中小規模のビル建設も増えている状況です。
大規模移転は様子見か
パソナの決断が大きな話題を呼びましたが、逆に言うとそれは他の大企業がまだ状況を静観している状況で、オフィス移転を判断するタイミングではないと思っていることの裏返しでしょう。
おそらく、大規模な移転はまだまだ検討を続ける会社が多いはずです。
脱・東京のトレンドが出てきているなかで、オフィスビルの供給は増える。果たしてテナントがきちんと埋まるのか、今後の動向から目を離せません。
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著者紹介
不動産投資塾編集部不動産投資塾編集部
投資への関心が高まる中で、高い安定性から注目を集める不動産投資。しかし不動産業界の現状は残念ながら不透明な部分が多く、様々な場面で個人投資家様の判断と見極めを要します。一人ひとりの個人投資家様が正しい知識を身に付け、今後起こり得るトラブルに対応していくことが肝要です。私たち一般社団法人首都圏小規模住宅協会は、投資用不動産業界の健全化を目指す活動の一環として本サイト「不動産投資塾新聞社」を介し、公平な情報をお送りいたします。