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経験から過去・現在・未来を語る「大家座談会」

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異常気象?入居者不足?不動産投資のリスク対策 第2回大家座談会

目次

不動産投資について、現場で起きているリアルな体験を大家さんから聞く本企画。

前回に引き続き、当サイトにて連載コラムを執筆している3人の大家さんにお集まりいただきました。

第2回となる今回は、不動産投資における「今の心配ごと」がテーマです。大家業を続けていく中で起こる、自然災害や入居者トラブルといったリスク、それに対して不安を感じていることや、その対策を教えてもらいました。

地震や異常気象の対策は基本中の基本

大家業を続けていく上で心配なことはなんですか?

加藤 いろいろありますが、多くの人に共通するのは、地震などの自然災害と入居者のトラブルではないでしょうか。それぞれに対策が必要ですよね。

大長 そうですね。例えば地震対策としては地震保険がありますが、それ以外の方法として、物件を持つ場所の分散などもあります。大きな地震はいずれまた起きる可能性がありますが、日本各地で一斉に起きるわけではないでしょうから。

星野 近年の異常気象も気になりますよね。ゲリラ豪雨などで浸水する場所もあります。

加藤 星野さんは多摩地区を中心に物件を持っていますよね。それも浸水などを気にしてのことですか。

星野 それもあります。ただ、物件をすぐに見に行けるからという理由もあります。私の投資方法は義理の父の影響があり、きちんと手をかけることが大事と教わってきました。そのため、自宅から近いエリアに物件が多く、管理会社に頼んでいる物件も、時折自分で確認しに行きます。分散という点から見ると、物件が同じエリアに集中しているのでリスクが高くなるのですが。

大長 多摩地区は地盤がいいですよね。気になるとすれば立川断層でしょうか。

星野 私は立川に自宅を建てた時に立川断層が気になったのですが、その時は担当だった不動産屋さんに「5,000年大丈夫」と言われました。その後、東日本大震災が起きたこともあり、本当に大丈夫なのかなと思っていますが…。

大長 断層の影響は断層との距離で大きく変わりますよね。東日本大震災の時も、全壊した物件がある一方、そこから500メートル離れた場所の新築物件は、被害がなかったという話を聞いたことがあります。また、断層の上に建っている物件は、行政が赤札をつけることによって住めなくなり、建て直しもできなくなる可能性があります。ただ、地震で影響を受けることとして、液状化についても警戒するべきだと思います。

加藤 そうですね。昔から地名に水関連の漢字がつくところは注意した方がよいと言われますが、沼や川があった場所はリスクが高くなりますよね。

大長 大事な資産を持つわけなので、古地図で照らし合わせるくらいの確認はしたいです。都内の古地図であればインターネットで見つかりますし、今の地図を重ねてみるだけですからね。

星野 もっと基本のものとして、ハザードマップも無視してはいけないですよね。

大長 そうですね。あとは建物と土地の価値の比率も考えた方がよいと思います。東京の場合、土地と建物の価値はだいたい1対1の比率です。しかし、地方は土地が安いので、建物の価値がほとんどです。そのため、仮に自然災害などによって建物が壊れたときに価値が大きく下がる可能性があります。

加藤 災害がなかったとしても建物の価値は時間とともに下がっていくので、土地が大事ですね。そういう意味では土地の比率が高い東京がよいということになります。もちろん大きな地震が起きる可能性はあるわけですが。

大長 地震の被害の話をいったん脇に置くと、仮に東京で大きな地震が起きた場合、復興の過程で現状のようなごちゃごちゃした町並みが整理されるでしょうね。

星野 現行の法律に沿って新たにまちづくりが行われるからですね。

大長 そうなんです。都内の狭い道路沿いに建っている家などは、セットバックの法律ができる前に建てられています。建て替える時は道路から後退しなければなりませんので、地震で多くの家が倒壊した場合は町並みが変わります。42条2項道路と呼ばれる幅2、3メートルの道が少なくなるでしょうね。

根本的な問題は「空室よりまし」と考えてしまうこと

加藤 入居者についてはどうですか? 人口減少と少子高齢化は長期的に影響しますし、そもそも物件の数が多いですから、需給バランスという点でも入居者確保は心配な点ですよね。

大長 高齢化は難しい問題です。大家の側から見ると、身寄りがない高齢者は家賃を支払い続けられなくなる可能性があると考える人が多いと思います。それが実はオーナーの物件選びにも反映されています。例えば、地方より若い人が多い東京の物件を選ぶ人が増えていたり、高い家賃が得られる物件を選ぶ、といったことです。賃料が高いなどと条件が合わなければ、高齢の入居希望者も減りますからね。

星野 そういう側面はありそうですね。私はファミリー向けの物件が中心ですが、そういう物件を選んだのも、ファミリーの方が経済的に安定している場合が多いのと、長く住んでくれそうという期待がありました。

加藤 私の物件の入居者の中にも、20年くらい住んでくれている人がいます。ファミリー向け物件は、他のタイプと比べて利回りはいまいちの場合が多いのですが、そういう安心感がありますよね。入居者が掃除してくれますし、修理してくれることもあります。たまにリフォームしていいですかと聞かれることもあります。入居者の中には勝手に部屋をいじってはいけないと思っている人が多いのですが、内容によっては大家にとって嬉しい場合もあります。この前も、バリアフリーの工事をしてよいかという問い合わせがありました。出るときに直しますと言っていたので、直さないでいいですよと答えました(笑)。

星野 リフォームなどは奇抜なものでなければ嬉しいですよね。

大長 ファミリーに限ったことではありませんが、入居者が長く住む場合に課題になるのは、建て直ししたいときなどに退去してもらうのが難しいという点ですよね。

加藤 そうですね。一棟建ての場合、最後の一室が退去するまで工事できません。他の物件に新たな人を入れるわけにもいかないので、残りの部屋の家賃収入がゼロになります。

大長 法律上は貸主より借主の方が強く、普通借家の契約を途中で定期借家にすることもできません。対策するとしたら、あらかじめ建て替え工事の事業計画などをしっかり立てておいて、退去のタイミングで定期借家にするしかないですよね。あとは、更新ごとに家賃上げていく。すると、借り手も高いからという理由で別の物件を探してくれます。ただ、これも時間がかかりますよね。通常、更新は2年ごとの場合が多いですから、更新3回、6年くらいはかかることがあるかもしれません。

星野 いい人に長く住んでほしいという気持ちはありますが、書類だけで見るのも限界がありますよね。

加藤 私は基本的には審査会社に任せているのですが、借主と連帯保証人の筆跡が同じだった時があります。さすがにこれはおかしいだろうと思いました。連帯保証人が兄弟の場合も少し警戒します。以前、夜逃げがあった時に兄弟を訪れたとき、「知るかあんなやつ!」と言われたことがありました。あとは社長が借主、会社が保証人のようなケースもリスクがありますよね。会社が傾けば社長の家計もおそらく悪化するでしょうから。

星野 そう考えていくと、どんな属性の人がいいのでしょう。サラリーマンとか公務員の人ですかね。

加藤 数は少ないですが、学生さんで親が連帯保証してくれる人じゃないですかね。

大長 学生さんの親は滞納などがあったときにすぐに対応してくれますよね。滞納はどの物件にもあるリスク要因ですし、3カ月以内の滞納だと、判例的に大家との信頼関係が崩壊していないとみなされ、退去してもらうのが難しいという現実があります。

加藤 そうですね。逆に3カ月くらいの滞納なら追い出されないという点を逆手にとって、それくらいのペースで物件を移っていくツワモノもいると聞きます。地方は敷金礼金がない物件も多いですから、それを悪用しているわけです。

星野 家具付きの物件なら移動しながら住み渡ることができますよね。誠意を見せるために、滞納しつつ、ちょこちょこ払っている人もいると聞いたことがあります。

加藤 そう考えると、逆に高齢者や外国人の方が安心して貸せるともいえますよね。私の物件にも高齢者と外国人の入居者がいます。彼らは、退去することになった場合に新たな物件を探すのが大変だと認識していることが多いので、トラブルなどが起きないようにしてくれますし、物件も丁寧に使ってくれるように感じます。

大長 あとは保証人をどうするかですね。

加藤 連帯保証をつけてもらうのがもっともいいのですが、少なくとも緊急連絡先は書いてもらいます。仮に夜逃げされた場合、残された荷物を引き取ってもらわなければなりません。大家としては、退去してもらうだけでも助かるので。

星野 私は職業、年収、年齢などで見ているのですが、ケースバイケースで考えています。入居した時に無職だった人もいます。その人は離婚したばかりの女性で小さなお子さんと二人で住む場所を探していました。看護師さんで、すぐ仕事をするつもりだと不動産屋さんから聞きました。真面目そうな人と思って入居してもらいましたが、実際、すぐに看護師として働き出しました。逆に、年収があっても話にチグハグなところなどがあると感じた場合は断ることもあります。

加藤 怪しいのはありますよね。振り込め詐欺のアジトに使おうとする人とか民泊っぽいものとか。大麻の栽培、売春宿、賭博場などに使われたという話も聞いたことがあります。

大長 あと年末も怖いですよね。普通に考えると、年末の忙しい時に引越しする人は少ないですから、年末に退去させられたのは相当な退去理由があり、追い詰められた人なのかなと思ってしまいます。

星野 そうですね。借金の返済に追われている人とか滞納で追い出される人などもいるのだと思います。

加藤 私の物件で練炭自殺した人がいて、その人も年末に入った人でした。すぐに入りたいというのでおかしいとは思ったのですが、案の定、入った途端に自殺してしまったんです。

大長 事故物件になるリスクはありますよね。

加藤 はい。ただ、自殺で事故物件になった場合は家賃を下げれば入ってくれます。むしろ怖いのは、殺人事件などが起きるケースです。あとは、その筋系の人が住み、抗争でドンパチが起きるケース。こうなると近隣の人が恐れますから全部空室になる可能性があります。

星野 それは引っ越すでしょうね。借り手としてはいつでも引っ越せることが賃貸に住むメリットの一つでもあるわけですし。

大長 根底にある問題は、空室が長くなることによって誰でもいいから入ってほしいと大家が思ってしまうことなんですよね。

加藤 地方は特に人が減っていますから、家賃収入ゼロになるのが嫌という気持ちが強くなると思います。

大長 そうなんです。逆に東京など人がいるエリアは断ったとしても次の入居希望者が来ます。断っても次があるというのが重要で、その点でもエリア選びは大事だなと思います。

星野 そうですね。どんな人が住んでいるか。どんな人が借り手になるか。そういった点を考えてエリアや物件を考えることが心配事を減らすポイントですね。

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著者紹介

不動産投資塾編集部
不動産投資塾編集部

投資への関心が高まる中で、高い安定性から注目を集める不動産投資。しかし不動産業界の現状は残念ながら不透明な部分が多く、様々な場面で個人投資家様の判断と見極めを要します。一人ひとりの個人投資家様が正しい知識を身に付け、今後起こり得るトラブルに対応していくことが肝要です。私たち一般社団法人首都圏小規模住宅協会は、投資用不動産業界の健全化を目指す活動の一環として本サイト「不動産投資塾新聞社」を介し、公平な情報をお送りいたします。

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