不動産投資の最新動向
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2020年6月30日(火)
家賃が2倍多く取れる!?コンセプト賃貸物件という切り札
不動産投資においては、「無難な設計」がセオリーと言われます。
たとえば外観や内観に黒やピンクを多用していたりクセのある間取りであったりするなど、入居者の好みが大きく分かれるような設計は入居付けのチャンスを逃してしまう可能性があるからです。
しかし、賃貸物件の中には、特定のターゲットに特化することによって地域の他物件との差別化を図り、満室経営と高利回りを実現しているものが存在します。
不動産投資塾の取材から、ちょっと変わった物件の実例をまとめました。
「音楽マンション」の奇跡
リブラン、越野建設などが手掛けているのが、いわゆる「音楽マンション」です。
音楽マンションの特徴は一言でいって「楽器演奏可」であること。通常の物件では楽器の練習をしていると周囲の騒音になりトラブルに繋がりがちですが、音楽マンションでは遮音性に着目した設計によって、楽器を弾いていても周囲にほとんど音が漏れません。
また、遮音性だけでなく部屋の中が快適な音響空間になるような独自の設計がされています。音楽のプロやバンドマン、音大生などを中心に人気を集め、家賃はやや割高であるにもかかわらず稼働率99%を維持といった驚異的な成果も聞かれます。
建設にあたって一部屋あたり50万円ほどの追加の工事費がかかりますが、音大が近くにあるなど場所を選べば高い利回りが狙えるでしょう。
家賃2倍?「サーファー向け物件」
通常、海沿いの地域は駅から遠いことが多く、潮風が吹くなど環境が良いとは決して言えません。「海が好き」という人は多いものの、実際に海のすぐそばの地域で賃貸物件を経営するのはなかなか難しいのです。
関東のとある海沿いの地域につくられた物件は、サーフボードの置き場所があったり玄関からバスルームにすぐ行けたり、仲間の荷物をシェアしておく場所があったりと「サーファー向け」に特化して設計されています。
サーファー向け物件は、住むのではなくサーフィンをする時だけ使うものと割り切ったコンセプトです。家賃は周辺の約2倍と高額ですが、同様のコンセプトの物件は近隣に一つもありません。サーフィン大好きな東京の高額所得者から大人気となり、入居は順番待ちが生じていると言います。
ペットと一緒に住む物件
賃貸住宅といえば、今でもペット禁止というところが多いようです。ペット愛好家にとっては引越し先を探すのにも余計な手間がかかり、「犬はいいけど猫はダメ」などと痒いところに手の届かない状況をもどかしく感じています。
そんな中、まさに逆転の発想で作られたのが「ペットと一緒に住む物件」です。ただペット可というだけでなくペット専用の様々な設備をしつらえ、中には一階はペット用で二階が人間用、などという極端な間取りのところもあるようです。
「猫を10匹飼っている」など、通常の賃貸物件に住むのが難しい愛好家は決して少なくありません。特定のニーズに対応することに思い切って特化して成功しているパターンです。
女性に特化した「オーダーメイド賃貸物件」
大半の賃貸物件は画一的な内装や設備で、入居者は家具や雑貨などで部屋に自分らしさを出すしかありません。デザイナーズ物件だとしても、もともとのデザインから大きく雰囲気を変えることは難しいのです。
ところが、「オーダーメイド賃貸物件」では、壁紙や照明、シャワーヘッド、小物などを入居時に自由に選べるようになっています。自分で買ったら何十万円もかかるような設備を無料で好きに選び、自分だけのインテリアを楽しむことができるのです。
元々は何の変哲もない築古のワンルームマンションをリノベしたのにもかかわらず、オーダーメイド賃貸物件は周辺相場より1万円高い賃料で満室を維持しているのだといいます。壁紙や照明などの費用を負担してもあまりある高利回りを得ているようです。
ニッチなニーズを理解して、そこに投資をする
コンセプトマンションの設計思想に共通しているのは、画一的な賃貸物件では満たされない入居者のニッチな要望を汲み取り、それに添えるような物件をつくるために追加で費用をかけていることです。
逆にいえば、ただコンセプトマンションをうたっていても、きちんとニーズに添えるようなウリを説明できなければ、ただ入居者候補の幅を狭めるだけになってしまいます。
一番いいのはオーナー自身が入居者に重なる属性を持ってよく理解できていることですが、それが難しいのであれば、対象になる入居者が住まいにどんな希望を持っているのかをきちんと理解できるようなパートナーに相談しながら設計を進めたほうがいいでしょう。
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著者紹介
小島 拓小島 拓
一般社団法人首都圏小規模住宅協会 代表理事
大学卒業後に不動産会社の営業職に従事し、以来10年以上にわたって、不動産投資のプロとして個人投資家の資産形成をサポートしてきました。しかし不動産投資の初心者を狙った悪質な業者の話を耳にすることや、自身が勉強不足なまま、先行き不安な物件に投資しようとする人を目の当たりにするにつれ、投資用不動産業界をもっとクリーンで、多くの人が正確な知識を持って安全に投資できるようにする必要があるという思いが募り、2018年度より、不動産業者としての立場に一旦区切りをつけ、投資用不動産業界の健全化を目的とした「一般社団法人首都圏小規模住宅協会」を発足しました。不動産投資による被害や失敗を減らしていく取り組みを随時行ってまいります。