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不動産投資の最新動向

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不動産業界での独立起業に失敗するケースと成功する経営者の条件

目次

「独立を絶対成功させたい営業マンのための、不動産業界「起業」のリアル」では、不動産業界で起業するケースが多いことをデータから読み解き、その理由を多数の経営者への取材から分析してきました。意外に簡単にできそうというのは楽観的かも知れません。起業後のハードルとリスクを把握しておく必要があります。

不動産業の独立失敗は決して多くはない

帝国データバンクの「不動産代理・仲介業者の倒産動向(2016年)」によると、2016年度(2016年4月~2017年3月)の不動産代理・仲介業者の倒産(負債1,000万円以上、法的整理のみ)は93件です。

前年度の75件を24%上回って3年ぶりの増加になっていますが、全国に不動産会社が約12万社あることを考えると倒産はそれほど多くありません。内訳では、負債5,000万円未満の小規模倒産が7割を超えます。小さな会社はどうしても自転車操業になり、資金繰りが悪化すれば値引きして物件を売ったりせざるを得ないので、体力不足で倒れてしまったケースでしょうか。

しかし、不動産関係の経営者によると、「投資用不動産業は小さくやっている限りほぼ潰れない」といいます。

潰れているのは、販売力もないのに無理してたくさん物件を仕入れてしまった会社や、自社の身の丈を遥かに超えるオフィスに移転したり営業マンを急に大量採用したりした会社。本来、投資用不動産業の開業はリスクの大きな借り入れが必要なく安定経営できるはずですが、無計画な規模拡大が倒産につながる典型的なパターンとのこと。

「現状維持は衰退」といわれる経営観点からすれば、経営者はもちろん会社の規模を拡大したいと思うものです。大きな投資は不可欠ですが、自社のレベルを冷静に認識して的確なタイミングで、現実的にソロバンを弾くことが鉄則なのです。

スーパー営業マンだからと独立に成功するとは限らない

独立して成功する経営者の人物像について、見ていきましょう。投資用不動産の世界というと、何年も自社トップを独走するようなスーパー営業マンだけが独立に成功しているような印象を持っている人が多いようです。

ただし、必ずしもそうではありません。

いまや年商100億円を超えて大成功している某不動産業経営者は、実は最初に入社した大手投資用不動産会社で成績が上がらず鳴かず飛ばずだったそうです。内勤への異動を経験して、その後転職した別の投資用不動産会社でも、決して抜群に売り上げる営業マンではなかったのだとか。

開業直後の投資用不動産会社だと、社長の営業力があるに越したことはないですが、本質的に営業力と経営力は別物。トップ営業マンだった経歴がなくても経営者として成功することは普通にあるのです。とはいえ、効率的な事務作業や、社内コミュニケーションの活性化においては定評があり、営業以外の面で秀でています。

ちなみに、ベンチャー通信編集部が発表する「Best Venture100」に入るような投資用不動産ベンチャーの中にも、創業者がトップ営業マンではなかったどころか、不動産業界未経験だった状態から成功した企業がいくつも存在します。

もし自分が投資用不動産の業界でスーパー営業ではなかったとしても、起業の意思が固いのであれば決して諦めることはないのです。

一国一城の主になるために投資用不動産業界は最適

ここまで、不動産業界は独立しやすいわりに、無茶な経営をしない限りは失敗確率が高いわけでもないことがわかりました。結論をいえば、いつか起業を目指す人が投資用不動産業界に入るのはいい選択なのです。

不動産投資塾編集部としても、不動産業界にたくさんのベンチャー企業が誕生し、業界をもっともっと盛り上げてくれることを強く願っています。

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著者紹介

不動産投資塾編集部
不動産投資塾編集部

投資への関心が高まる中で、高い安定性から注目を集める不動産投資。しかし不動産業界の現状は残念ながら不透明な部分が多く、様々な場面で個人投資家様の判断と見極めを要します。一人ひとりの個人投資家様が正しい知識を身に付け、今後起こり得るトラブルに対応していくことが肝要です。私たち一般社団法人首都圏小規模住宅協会は、投資用不動産業界の健全化を目指す活動の一環として本サイト「不動産投資塾新聞社」を介し、公平な情報をお送りいたします。

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